フルカワJAZZ道場:ジャズのDNA(日本編A面)
芸能界、政治の世界を問わず、親子で同じ職業と
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「ララバイ・フォー・ザ・ガール」 |
土岐英史 |
| ”TOKI”より | |
![]() | ナベサダやヒノテル(渡辺貞夫や日野皓正)を筆頭とする、日本のフュージョン・ブームまっただ中の時でも、ストレートなジャズを目指す人々は多くいたのです。ただ、大量にあふれるフュージョン・サウンド=ジャズという構図をみんなが支持し、それ以外は顧みられず、CDとして再発されないレコードもたくさんありました。 つい最近、和ジャズのブーム(日本の70年代~80年代の主流のジャズ)があり、雑誌などで取り上げられ、復刻盤もかなりCDで発売されるようになったのです。 その中の1枚にサックス・プレーヤーの土岐英史の作品がありました。後でその人が土岐麻子の父親と知ったのでした。 モノクロームの写真と”TOKI”というタイトルのシンプルなジャケット。和ジャズを入手しようという意識がなければ、見過ごしてしまいそうでした。その紙ジャケのCDを、当たりであることを信じて購入したのです。 結果は大当たり!日本のジャズの底力を改めて知ることとなりました。 「ララバイ・フォー・ザ・ガール」の幽玄にたうたうように流れるソプラノ・サックスの調べ、他の日本人のジャズプレイヤーと一風異なったメロディー感覚にうなったものでした。 これはすごい! スロー・バラードながら、みなぎるパワーをおさえている雰囲気が感じられて、それが聞く者を異空間に誘います。アルト・サックスを吹かせても、スタンダードを吹いても、軽快で力強い音色は、本場のアメリカにも引けをとりません。その証拠に、スーパー・ジャズトリオ(トミー・フラナガン、レジー・ワークマン、ジョー・チェンバース)をバックに演奏した「シティ」というアルバムもあるのです。 ○○ブームというのを今まで敬遠していましたが、今回だけは乗ってよかったと思っています。 |
「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」 | 土岐麻子 |
| ”スタンダーズ~土岐麻子ジャズを歌う~オン・ザ・ソファー”より | |
![]() | さて、その土岐麻子です。 土岐麻子との出会いは、少し前にジャズ・ヴォーカルを聞き出した頃、「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」という曲がお気に入りになって、他に歌っている人いないのかと、インターネットで調べたことがきっかけでした。 フランク・シナトラと土岐麻子の名前が見つかったのですが、シナトラはあまりに原曲を崩して歌っているのでしっくり着ませんでした。 土岐麻子の歌声は甘すぎず、ちょうど良いくらいに力が抜けてて柔らかい声。その声の上を転がるように英語の歌詞が乗ると、そよ風のように心地よく響きます。 大石学のアレンジが冴えていて、古き良きジャズの雰囲気を醸し出す演出法を取っています。 娘を応援するかのように、父親の土岐英史がアルバムに参加しているのがうれしいところです。ここでも彼のソプラノ・サックスとアルト・サックスが情感豊かにしっとりと曲を盛り上げているのが印象的です。 他には、このアルバムの中のスティービー・ワンダーの「アナザー・スター」がせつなくて心に訴えかけます。ポピュラー曲でありながら、上質なスタンダードといっても疑わないでしょう。 ”シンバルズ”というロック・バンド、そして”ジャズ”、今では彼女は昔のJ-POPのカバー曲やオリジナル曲を歌っています。 けっして彼女はジャズ歌手というわけでもないのですが、でも曲のアレンジがフュージョンや70年代のアメリカのポップスのようで懐かしく耳になじむ。とくにJ-POPのカバーはその時代の記憶を喚起して、その刷り込みかもしれないが、まるで昔からの知人が語りかけてくるような懐かしさを感じるのでした。 歌の本当の力というのは、何オクターブの音が出るとか、大きな声量があるとかではなく、歌い手と聞き手の中に共通した”想い”をいかに抱かせるかということではないでしょうか。 |


