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フルカワJAZZ道場:ジャズのDNAⅡ(国内編)

20数年前、日本でもフュージョンが市民権を得た頃、
レコードを買わなくても、テレビのCMや番組で耳にする
ことは多かった。ジャズミュージシャンの中でも、
日野皓正や渡辺貞夫はテレビの出演や自分の曲の
流れるコマーシャルに本人が出演していたりと、
テレビの露出が多いのでした。
今回は前回に続き「ジャズのDNAⅡ(国内編)」です。

「モッコ」

日野皓正
”ホイール・ストーン(車石)/日野皓正ライブ・イン・ネムロ”より
terumasa.jpg日野皓正はその頃ヒット曲を続けざまに出し、人気を得ていましたが、それ以前のことを知る機会を持たないままでした。
このアルバムは、アメリカの武者修行に旅立つ前のライブ録音のレコードです。だから血気盛んな頃なので、レコードの内容が熱い。A面1曲、B面1曲両方あわせても2曲しかない。ライブ盤では片面2曲ずつ計4曲などというのは良く見かけるが、片面1曲ぶっ続けというのはかなり大胆です。実際にそのライブではもう何曲か演奏したらしいが、それでも1曲21分以上というのは圧巻というしかないです。その日は普通のコンサートの終了時間を1時間超えたそうなので、かなりの熱狂だったことがわかります。

これは1975年に北海道の根室市で行われたライブ録音のレコード化で、地元のジャズ・クラブが開催したコンサートでした。
コンサートの開幕を高らかに宣言するファンファーレのように、トランペットとテナー・サックスがゆったりした吹き鳴らされ、同じメロディーを少し変化させテンポ・アップした曲がテーマとなり、力強い絶え間ないリズムをバックに進んでいきます。まさに地響きのように鳴動するリズム隊がコンサートをさらにヒート・アップさせます。それらにサポートされて、日野皓正のアドリブも冴え渡ります。21分あってもそのフィーバーぶりが聞くこちら側にまで伝わってくるかのような迫力のライブです。
A面の曲名となった「モッコ」とは、日野皓正の弟の日野元彦が小さい頃おじさんから呼ばれていた愛称から来ています。
B面の「イン・ザ・ダークネス」方は打って変わってしっとりとしたスロー・バラードなので、彼の歌心が聞かれて素晴らしい。両方合わせてオススメなのです。

その後アメリカで修行を経験し、やがて帰国した日野皓正はフュージョンの牽引者として大活躍していくのでした。

「黒いオルフェ」

日野賢二
”ケンジ・ヒノ・イン・ワンダーランド”より
kenji.jpg今風のR&Bやヒップ・ホップの要素を取り入れたスタイルに、ジャコ・パストリアス以来顕著になった”ベースでメロディーを弾く”プレイヤーです。ただ彼の場合は、メロディーからオーソドックスにアドリブに展開していく形で、ジャコ・パストリアスのようにトリッキーではありません。ジャコが突拍子もない音や早弾きから”サックスやトランペット型”のアドリブなら、彼はどちらかというとベースでギターのフレーズを弾く”ギター型”だと思います。

ボサノバ・ブームのせいもあってか、最近良く取り上げられる「黒いオルフェ」をベースでテーマを弾いていきます。ベースでメロディーを弾くといったこういうアイデアの「黒いフォルフェ」は今までなかったでしょう。ベースでもけっこう歌えるものです。
ベースという楽器の性からか、ヴォーカルと主役を交替して脇に徹すると、普通のR&Bか何かのようになってしまうのが残念です。それよりもソロでメロディーを弾いたり、「ミスター.P.C.」や叔父である故・日野元彦に捧げられた「トコズ・ブルース」のようにホーン楽器とメロディーをデュエットしたり、アドリブで丁々発止とバトルをするという方が自己を主張しているように思えます。

ゲストミュージシャンだけでも大変なものです。父親の日野皓正(トランペット)をはじめ、ジョン・スコフィールド(ギター)、小曽根真(オルガン)、ケニー・ギャレット(アルト・サックス)、ドン・アライアス(パーカッション)、akiko(ヴォーカル)と名前を上げるだけでそうそうたるメンバーです。解説のインタビューの中で彼が最初トランペット専攻だったのをベースに変えたのには、そういった人たちと対等に渡り合うために、ベースが自分に一番向いていたということだったのでしょう。

国内編は今回が終わりです。
いずれ海外編の方も書きたいと思います。


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