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寒い夜の国に帰った猫

昔住んでいた家の近くのバス停から2つ先の
バス停のベンチに、夜になると、”大きな猫”
が居つくようになった。
誰かがどかせようとしても、ビクともしない
猫で、次第に町内の人々の知るところとなった。
この猫、ずいぶん長いことそこに出没していたが、
どこからやってきたのかわからないのと同じくらい
唐突に、どこかへ消えてしまった。不思議な猫だ。
きっと自分の”ワンダーランド”へ帰ってしまった
のだろうか。

「チェシャイアの猫」

メイナード・ファーガソン・オーケストラ
”クロスオーバー・ファーガソン”より
crossover.jpgタイトルの”チェシャイアの猫”とは、 「不思議の国のアリス」の中に出てくる 不思議な猫のことです。
ビル・エバンスの「アリス・イン・ワンダーランド」 という曲がありますが、そのやさしく穏やかな 曲調と比べると、こちらの方は不思議なハラハラする ような雰囲気の曲なのです。
メイナード・ファーガソンは代表曲の「ロッキーのテーマ」 や「スタートレックのテーマ」で知られるように、 ハイ・ノート(高音域をとくいとする)の トランペットの演奏で有名ですが、バラードの演奏の うまさのことをふれる人はあまりありません。
メイナード・ファーガソンの人気が絶頂期の頃、学生 ビッグ・バンドのトランペッターたちは、その情感の 豊かさにも魅かれ、お手本にしていたのでした。 コンボならマイルス・ディヴィスがお手本といったところ でしょうが。
1976年発売のアルバムの日本語タイトル(英語では 違う)のクロスオーバーという言葉も懐かしい響きです。
当時はジャズの垣根を越えた、ロックやポップス よりの新しい流れを表現する言葉がなくて、 ”クロスオーバー”としましたが、一般の人にとって 本格的なモダン・ジャズより、こちらの方が 身近に”ジャズ”として認知されていたように思います。 後にフュージョンという言葉にいつのまにか変わって いましたが、時代にも合っていて、少し高級な音楽に 感じられたほど、いいネーミングだったと思います。

「マイナー・ミシャップ」

トミー・フラナガン
”キャット”より
cat.jpgトミー・フラナガンの作品では「オーバー・シーズ」 の方が有名ですが、個人的にはこちらの「キャット」 の方が気に入っています。
まあ1つには、赤と黒の2色で処理されている”あまりかわいく ない猫たち”の写真のインパクトが強かったこともあります。
このレコードを買ったときは、まだ”ビッグ・バンド狂時代” だったので、2、3度聞いて長いこと彫っておいたのですが、 今聞き直してみるとなかなか名曲揃いです。
ハード・バップ(ジャズのスタイルのひとつ)の曲あり、 ラテン調の曲あり、セクステット(6人編成)やトリオ(3人編成) の曲ありとバラエティーに富んだナンバーで飽きさせません。 曲名で猫を連想するものはないですが、アメリカでは”猫” というスラングで”若い女性”、”ジャズ演奏家”、 ”ジャズ狂”という意味もあるそうなのです。
確かに輸入盤であるこのレコードの裏のライナーを見てみると、 そのようなことが書いてあるようです。(ほんの少ししか 読めませんでしたが)
ではジャズ演奏家は誰かということになると、リーダーで ピアニストのトミー・フラナガンの他、テナー・サックスの ジョン・コルトレーン、トランペットのアイドレス・シュリーマン、 ギターのケニー・バレルなどそうそうたるメンバーです。 各々名演奏を繰り広げており、ジャズをこれから聞こうと 言う人にも楽しめる内容となっています。
1曲目の「マイナー・ミシャップ」と特におススメです。

「コーリン・オール・キャッツ」

ルー・ドナルドソン
”ブルース・ウォーク”より
callin.jpgこのアルバムの「ブルース・ウォーク」は色んなブルーノートの コンピレーション・アルバムで取り上げられるほど、ブルース色の 強い名曲です。でもアルバム最後を飾るこの””をあえて紹介します。
題名だけ聞くと、猫がじゃれて遊んでいる様子が浮かぶような軽快で 愉快なメロディーを持つ曲で、ほっとした気分になれます。 ここでのオール・キャッツはもちろんバンドのメンバーのことです。
「コーリン・オール・キャッツ」というタイトルだけ聞けば、 猫好きが猫たちを呼んでいるのかと思いますが、キャッツを ジャズ演奏家たちと置き換えれば、演奏中のコール(呼びかけ)アンド レスポンス(応答)ということでしょうか。
でも大きな”猫たち”がスタジオで演奏している姿を想像すると、 音まで猫がニャアニャア鳴いている様に聞こえてくるようで、 楽しいですね。

今回で今年は最後になるようです。
ではまた来年お会いしましょう。


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