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2011年12月25日

マイ・フェイバリット・ソング・ブックB

マイ・フェイバリット・ソング・ブックB

~ジャズは曲を知れば楽しくなる~
Aを書いてから2年以上がたちました。
やはり多くの曲から1曲に絞るのは無理があるんですね。
今回は”3曲”チョイスしてご紹介します。

「BODY & SOUL(ボディ・アンド・ソウル)」

ファブリッツィオ・ボッソ・ニュー・プロジェクト
”ブラック・スピリット~フレディー・ハバートに捧げる”より

この曲のルーツ

作詞:ロバート・ソウア、エドワード・ヘイマン、フランク・アイトン
作曲:ジョニー・グリーン
レヴュー「3人ひと群れ」
bodysoul.jpg ジャズの面白さの一つにイントロ部分をヘッド・アレンジ(イントロ部分をアレンジする)することがあります。いくら個性が違うといえど、同じメロディーを演奏するのですから、それだけで変化をつけるのは難しい。そこで導入部をいかに凝るかで、曲のできが全然変わってきます。一例をあげると、マイルス・デイヴィスがそうでしょう。では曲の紹介に入ります。
1930年の作品で美しいスロー・バラードです。日本では「身も心も」という邦題の方が有名かもしれません。どちらかというと、サックス・プレイヤーが多く好んで演奏しているように思われます。しかし、はやりすたりがあるのか、最近は以前ほど取り上げられていないのではと思います。

最近では新人のファブリッツィオ・ボッソが取り上げています。彼はイタリア人のトランペッターで、大注目のグループ「ハイ・ファイブ」のメンバーであります。

曲の美しい旋律を更にふくらまして引用しながら、歌を歌うようにイントロを奏でます。曲の本編に入ると、これ以上ないほど音を大切にためながら、曲の世界観を作り上げています。また新しいカバーの名曲が生まれた気がします。

帯にはフレディー・捧ぐとありますが、聞いてみるとアドリブの飛び跳ね方、ハーフバルブの使い方、一気に低音から高音に駆け上がるアドリブの構成の仕方がウィントン・マルサリスの方に近いかもしれません。いろんなトランペッターから影響を受けているということでしょか。

「BLUE BOSSA(ブルー・ボッサ)」

エディ・ヒギンズ・トリオ
”美しすぎるあなた”より

この曲のルーツ

作曲:ケニー・ドーハム
bluebossa.jpg 折からのボサノバ・ブームの再燃によって、最近脚光を浴び始めた曲があります。 ケニー・ドーハム作の「ブルー・ボッサ」です。この曲はケニー・ドーハムのリーダー作ではなく、ジョー・ヘンダーソン(テナー・サックス)のリーダー作「ページ・ワン」に入っています。洋の東西、若手、ベテランを問わず好まれて、取り上げられることが多くなりました。

哀愁を帯びたボサノバ調の曲で、原曲の印象が強いため、トランペット、サックスなど管楽器入りのカルテット(4人)、クインテット(5人)の編成がよく見られますが、面白いところでは、予想外にピアノ・トリオの演奏も増えていることです。
おススメは、エディ・ヒギンズ・トリオからの一曲。彼はスローなバラードを演奏すると、一聴そのくつろいだ曲調からカクテル・ピアノ(バー・ラウンジで演奏されるピアノ)のように思われがちですが、一転ミディアム・テンポ以上になると強力にスウィングします。そのギャップに思わず引き込まれ、聞いているほうも自然と体が揺れ、のめりこんでいきます。選曲も秀逸でで、アルバム一枚聞き終えると、次は別のアルバムを聞いてみたいと思えるほどです。ヴィーナス・レコードからたくさんの枚数がリリースされているのはわかるというものです。(ちなみにヴィーナス・レコードはアートな写真を使ったジャケットが多い)

彼は1932年マセチューセッツ州ケンブリッジの生まれ。惜しくも2009年亡くなりましたが、このカバーは2006年なので、74歳の時のもの。なんという若々しく力強い演奏かと驚きです。

「BEMSHA SWING(ベムシャ・スウィング)」

セロニアス・モンク
”セロニアス・モンク・イン・イタリー”より

この曲のルーツ

作曲:セロニアス・モンク
bemsha.jpg 実は最後の一曲の選曲に苦労しました。なるべく違うタイプの曲にしたかったので、大胆にもセロにアス・モンクにしました。となると、カバーではその曲の良さが伝わらないで(それだけモンクは別格ということ)、ここだけはオリジナルです。モンク嫌いの人は多いでしょう。自分自身そうでした。
不協和音でできたメロディー、奇妙なシンコペーション、少しテンポをずらしたようなバッキングのどれをとっても、近づきがたいものがあります。しかし「ストレート・ノー・チェイサー」や「ブルー・モンク」など良い曲がたくさんあるのです。
今回は聞きやすい方の曲になります。曲名だけは知っている方もいらしゃるでしょう。
「Cジャム・ブルース」のように、ほぼ同じフレーズを繰り返しているだけの曲ですが、また逆にこれだけの音数でジャズが出来上がるという驚きの曲でもあります。
ライブ盤を選んだのは、アルバムの垣根なくモンクの代表曲が聞けることもありますし、この「ベムシャ・スウィング」のスタジオ録音の方の「ブリリアント・コーナー」より聞きやすいからです。
スタジオ録音の方は、アーニー・ヘンリー(アルト・サックス)、ソニー・ロリンズ(テナー・サックス)、クラーク・テリー(トランペット)の参加という豪華版、一見ベストに思えますが、大勢がこの不協和音のようなメロディーを演奏するとなると、音が多すぎてガシャガシャした印象で、少しうるさすぎる感があるのです。モンクになじみがない人なら、もう結構となるかも。むしろ、ピアノトリオ+テナー・サックスというカルテットの方が断然聞きやすい。テナーのチャーリー・ラウズのクリアでくせのない演奏も一役買っていると思います。シンプルなワン・ホーン(管楽器が一本のみ、後ピアノ・トリオ)の方がいいという典型だと思えます。

今回は最近発売(もしくは再発)された、
手に入れやすいものを中心に選びました。
今年はこれで終わりです。また来年会いましょう。


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2011年12月04日

JAZZに魅入られた監督たち part1 「ロバート・アルトマン」

映画のBGMにジャズを使う監督は多いです。
しかし、ここまで凝るかというものも中にはあるのです。
今回はそんな「JAZZに魅入られた監督」の一人を紹介します。

カンザス・シティ

koibitoyokaere2.jpg
なんとも「キテレツな犯罪映画」です。
1934年の不況時代、禁酒法時代のカンザスシティの裏社会を描いているので、登場する主な人物は悪人ばかり。しかも一人を除いてほぼ日本ではなじみのない俳優たちでキャスティングされているので、華やかさはなく一見地味な映画です。
有名なロバート・アルトマン監督の映画ということ抜きにしても、知名度は低いに違いありません。だが決して詰まらない映画ではなく、その混沌とした時代の再現性はみごとです。
キャスト
ブロンディ=ジェニファー・ジェイソン・リー
ジョニー=ダーモット・マローニー
セルダム・シーン=ハリー・ベラフォンテ
キャロリン=ミランダ・リチャードソン
他ジャズ・ミュージシャン多数

ストーリー
白人の青年ジョニーは、黒人のギャングのボスのセルダムの経営する裏カジノの客の金を狙って、送迎役の運転手と共謀し、黒人に化けて現金強奪を実行する。うまくいったかに思えたが、運転手が白状したために、ギャングの手下たちに拉致されてしまう。
その妻のブロンディは、彼を助けるために,ある計画を実行する。大統領顧問の妻キャロリンを誘拐し、大統領顧問の力を使って、黒人のボスからジョニーを助けるようにと脅迫をするのだった。
はたしてこの計画はうまくいくのか?
見どころ
黒人のギャングのボスのセルダム、ギャングの上前をはねる無職の男ジョニー、その妻で誘拐犯のブロンディ、大統領顧問の妻ながら薬物依存症ののキャロリン、その夫の大統領顧問が妻の救出を頼む政治家も選挙で不正当選をを企んでいたりと、ろくな人間は出てきません。
特にそれぞれの人物の性格の掘り下げはせずに、まるでドキュメンタリーか犯罪の再現ドラマのように淡々と話は進んでいきます。
主役らしいブロンディにしても、一切ニコリとすることもなく、変な髪形、誰にでも悪態をつき、感情移入のしづらい女性でなのですが、唯一会話のなかで彼女が当時人気のあった映画女優に似ているといわれて、金髪にしたいと思っていること(そこで変な髪形が脱色の失敗か、途中であることがわかるしくみになっている)、「グランドホテル」という映画がお気に入りであることなどがわかるだけなのでした。せっかく饒舌になっているのに、相手の誘拐されたキャロリンはラリッていて全然聞いてなかったりします。
一方、拉致されたジョニーのはというと、ボスのセルダムに向かって逆に「俺(白人)を殺したらどうなるのかわかっているのか」とすごむ始末。根強い人種差別をのぞかせるシーンとなっています。
黒人のギャングのボスに歌手で日本でも有名なハリー・ベラフォンテが扮していて、なかなか堂々とした貫禄でした。
面白いのは、誘拐したからといって、人里はなれた場所に隠れるのではなく、自分の勤める会社に連れて行って部屋に閉じ込めたり、大胆なことです。職場の同僚にも「薬物中毒だから変な事を言ってもまにうけないで」と言われて、周りが納得してしまうところが面白いところ。
同時間軸で複数の場所でドラマが展開するが、最後に一つになる。この映画は典型的な「グランド・ホテル形式」(映画グランド・ホテルから)の映画だ。(最近の邦画では三谷幸喜が得意としています。)シリアスな犯罪映画のはずが、曲者ばかりのブラックジョークあふれる映画だと気づくともうこの映画の中毒になっている自分を発見するでした。
JAZZ的見どころ
と、ここまで書いてこれらが今回さしたることではないと言うのは心もとないのですが、本当はアルトマン監督の興味は他のところにあるのではないかと思えてしまうふしがあります。
映画の中で1934年ギャングのボスのセルダムが経営するクラブでは毎夜熱いジャズのセッションが繰り広げられていた設定になっています。
客魅了するジャズ・バトルの数々。
監督は当時カンザス・シティ・ジャズの光景や熱狂まで再現しようとしています。
映画のキャストが無名なのとは逆に、そのシーンに出演したジャズ・ミュージシャンのきらびやかなこと。90年代を代表する新進気鋭の面々が網羅されているのだ。名前を上げるだけでもその快挙がわかると思います。
ジョシュア・レッドマン(ts)、ジェームズ・カーター(ts)、デビッド・マレイ(ts)、ジュリ・アレン(p)、サイラス・チェスナット(p)、クリスチャン・マクブライド(b)、ニコラス・ペイトン(tp)そして、御大のロン・カーター(b)。
それらの一流プレヤーが、ジャズ・ジャイアンツのレスター・ヤング、コールマン・ホーキンス、ベン・ウェブスター、カウント・ベイシーを演じるのだから、少しでもジャズを知っている者ならたまらないでしょう。

ぜいたくな顔ふれである。ただその時代を再現しましたというのにはとどまりません。そんなところに本当は映画の方が付録で、アルトマン監督が趣味を超えて、ギャング映画という形を借りながら、このセッションをどうしても実現させたかっただけなのではないかという気さえしてきます。
実はジャズ・ファンとしての究極の夢がこの映画に隠されているのです。

このDVDはたまたま店頭で見つけたものですが、
ベストに取り上げているメディアはないようなので、
なんとも惜しいことです。
映画雑誌からも、音楽雑誌からも見放されていて、
もっと注目されてもいいように思います。

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2011年08月22日

夏フェスはナツの枕詞(まくらことば)

今や夏には欠かせない夏フェス。
夏フェスといえば”ロック”と思う人も
多いでしょうが、日本でも海外でも
”ジャズ”の夏フェスは昔からあるのです。
今回は今なお続くもの、以前に終わってしまった
ものにかかわらず取り上げたいと思います。

☆「イン・パフォーマンス・アット・ザ・プレイボーイ・ジャズ・フェスティバル」

出演者多数
2枚組
playboy.JPGプレイボーイジャズフェスティバルはアメリカ、ロサンゼルスのハリウッドボウルで6月に2日間開催されるジャズフェスティバルです。

1950年代にシカゴに始まり一時中断を経て、1979年にハリウッド・ボウルで復活して以来現在まで続いています。
時期は1982年6月19、20日になっていますが、ライナーノートの日付をみると、日本で発売されたのは1984年のようです。以前はこういったライブ録音のレコードがよく出ていましたが、今は少なくなりました。
なんといってもフェスティバルものの醍醐味は、普通なら共演することのないミュージシャンたちのサプライズでしょう。それを機に一時期活動を共にすることもあるようです。数多くのミュージシャンが参加している中の抜粋されたものが収録されていて、2枚組なので4面それぞれの趣向が違っています。それでは各面ごとに紹介しましょう。

「A面」
当時若手のグループだったピーセズ・オブ・ドリーム(ピアノ・トリオ)の演奏から始まります。普段はフュージョンの演奏をしているのですが、1曲目はストレートなアコースティック・ジャズ・スタイルで「A列車で行こう」を演奏しています。とってつけた感じではなく、ストレートにジャズをやっても十分聞かせる力を持っています。2曲目は打って変わってエレクトリック・ジャズ・そのものになるのですが、その変わり方は見事といえるぐらいです。両方使い分ける力があって、フュージョンの方を選んでをやっていたのですね。 そこにグローバー・ワシントン.Jr(アルト・サックス)が加わります。グローバーは、「ワインライト」というアルバムで大ヒットし、今回はそこからの2曲が演奏されているのですが、最大の魅力は、人気曲のライブ・バージョンが聞けること。最初からメロディーを崩しながら、スタジオ録音とは違うただ一回だけのパフォーマンスを楽しむことができます。ローバー・ワシントン.Jrとピーセズ・オブ・ドリームは翌年の83年には一緒に来日しているそうなので、それはもうライブの賜物(たまもの)というものかもしれません。

「B面」

単独のライブと違い、フェスティバルではビッグな出演者が見ものです。
前半2曲はデクスター・ゴードン・グループです。1曲目の「フライド・バナナズ」は彼の「モア・パワー」というアルバムに収録されていますが、その時は同じテナー・サックスのジェームス・ムーディーが参加していましたが、今回はトランペットのウッディ・ショウに変わっています。アルバムより少し速いテンポで演奏され、冒頭のテーマの2人の合奏からスリリングで、もうすでにバトルが始まっていることがわかります。同じテンポでデクスターのアドリブ・ソロに入るのですが、その後のウッデイ・ショウのアドリブに入ったとたんテンポが急にゆっくりになって、十分にウッディのソロを聞かるのを待ったかのように、また前の急速調にもどって、そのままウッディのソロも速くなっていきます。またウッディの対応力をためしているようであり、最初から最後まで気を抜けない丁々発止の演奏になっています。
後半はウエザーリポートの演奏にマンハッタン・トランスファーが加わります。
これは、マンハッタン・トランスファーがジャズの曲のカバーアルバムを出したのがきっかけでしょう。その中にウエザーリポート代表曲「バードランド」が入っていたのが決め手で、本家との共演になったのではないでしょうか。このフェスティバル一のサプライズといえます。

「C面」

アートファーマーとベニーゴルソンのグループの演奏。
この2人は以前「ジャズテット」というグループを組んでいたことがあります。
ひさびさの共演ということのようです。美しいメロディーの「アイ・リメンバー・クリフォード」が演奏されます。若くして亡くなった天才トランペッター、クリフォード・ブラウンに捧げた曲で、ベニー・ゴルソンの代表曲です。アート・ファーマーのソフトだがよく響き渡る音で、せつせつと歌い上げます。大胆にメロディーをフェイクして吹いているのでアドリブを含めた曲全体が一つの曲のようになっているみたいです。
後半からはナンシーウィルソンがヴォーカルとして加わります。ジャズテット+ナンシー・ウィルソン。ジャズ。ファンにとってはなんとも幸せな時間だったと思います。ハスキーな歌声で時にはしっとりと、時にはパワフルに歌い上げる迫力に圧倒されます。

「D面」

ザ・グレイト・カルテットの名前を見たとき、正直「?」という気持ちでした。だけど、フレディー・ハバート、マッコイ・タイナー、ロン・カーター、エルヴィン・ジョーンズという名前を見てビッグな面々に「おおっ」と驚きを隠せませんでした。まだまだ知らないことはたくさんあります。この面々だけでじっくり演奏を聞くのが一番と思われるので、当然、途中参加のミュージシャンはありません。
ここには3曲収録されていますが、1曲目の「リズマニング」がおすすめ。難しいリズムの曲を軽快に繰り広げていきます。気心の知れた仲間を得て、フレディー・ハバートのノリノリのソロが楽しい。作曲者のセロニアス・モンクの名前を聞くと毛嫌いする人もいるかもしれないけれど、この演奏を聞けばいい曲だと思うはず。そこからモンクの原曲を聞いてみるのもいいモンクの突破口となるかもしれません。

このアルバムはいい演奏をたっぷり聞けるかなりのお得盤です。

☆「ライブ・アンダー・ザ・スカイ V.S.O.P ザ・クインテット」

V.S.O.P ザ・クインテット
2枚組
vsopq.JPG1977年から1992年まで日本の田園調布の田園コロシアムや、よみうりランド オープンシアターEASTなどで行われたフェスティバル。
VSOPのこのアルバムは、ライブ・アンダー・ザ・スカイ2回目の登場となるライブです。開催日は1979年7月24日~29日、このライブは7月26日にあたります。

もともとV.S.O.Pはハービー・ハンコック、ウエイン・ショーター、ロン・カーター、トニーウィリアムスのマイルス・ディヴィス・クインテット卒業生の再会セッションとして企画されたが、マイルスディヴィスが休養中だったため、マイルスの代わりにフレディー・ハバートを入れて組まれたバンドです。最初は名前どおり「ベリー・スペシャル・ワン・パフォーマンス」の一夜限りの興行のはずだったが、好評により数年間続けることとなったのです。

アルバム1曲目の「ワンオブアナザーカインド」は、ライブ史上最高のパフォーマンスの一つと言えると思います。フレディーハバートのトランペットが鳴り響いたとき電撃を食らったようなショックがありました。(もちろん本当に電撃を食らったことはありませんが。)フレディーハバートは以後自分のアルバムで何度か取り上げているがやはりこの興奮をこえるものではありません。
それに加え、「伝説」となっているアンコールでのハービーハンコックとウエインショーターの雨の中のデュオ演奏などもあり、同じV.S.O.Pのアルバムの中でもきわだったものになっています。
ただよくライナーノートを読むと、曲順が違っているのです。1曲目は本当はコンサートの最後の曲(アンコールの2曲を除く)だったのです。最初から最高潮のように見える曲をあえて最初に持っていく。聞くものの心をつかむ工夫がされているのです。レコードの編集マジックといえるでしょう。

アルバムには収録されていませんが、フェスティバルの他の出演者にチック・コリアや渡辺貞夫のバンドがいました。

☆「ベイシー・ビッグ・バンド・アット・モントゥルー'77」

カウント・ベイシー・ビッグ・バンド
 
SANY0140.JPG1967年にスイスのモントルーにて第一回が行われました。それから現在まで続いているジャズ・フェスティバルです。
カウント・ベイシーのライブ盤で最初に名が上がるアルバムだと思います。
他のライブ・アルバムが手に入りにくいこと、比較的再発されていることなどがあげられます。
その他にこのライブの前の1975年に「ベイシー・ビッグ・バンド」という大傑作アルバムが発売されて、そこから3曲演奏されていることも一つの要因でしょう。
バンドのメンバーにはトランペットのソニー・コーン、トロンボーンのアル・グレイ、ドラムのブッチ・マイルスなどの名手がいました。
オススメの曲はA面4曲目の「ザ・モア・アイシー・ユー」。アルグレイのメロディアスなトロンボーンがフューチャーされるスロー・バラードです。もともとは1945年の映画のためにハリーウォーレン(作曲)とマックゴードン(作詞)が作った曲で、ベイシーオーケストラの演奏としてはこのアルバムにしか入っていないレアな曲なのです。
ベイシーのライブ盤の良い所は、ビッグ・バンド・オリジナルの曲の他にスタンダードの曲が絶妙に配置されていること、そしてバンドの定番曲の「ジャンピング・アット・ザ・ウッドサイド」と「ワンオクロックジャンプ」で締めくくるバランスの良さでしょう。聞くものが期待をはずすこともなく、新しい発見もあり、スタジオ録音とは違う楽しみ方をするのです。

かつては山口県の黒井村で
「マリンピアくろいジャズ・フェスティバル」が毎年あったのですが、
なくなってから久しくなります。暑さで倒れそうになりながらも
一日過ごしたのが懐かしいです。
みなさんも熱中症には気をつけましょう。


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2011年07月19日

どうせ降るなら休みの日

今年は入梅が遅いと思ったら、もう明けたようで、
本当にあっという間でした。
日本の雨の歌というと、どこか物悲しい、寂しげな
ものが多いのですが、アメリカではどうでしょうか。
それではジャズの中の「雨」の曲を取り上げてみましょう。

「どうせ降るなら別の日に」

カウント・ベイシー・オーケストラ
”心を繋ぐ6ペンス”より
hokanohi.jpg1967年の作品。この曲はもともとはミュージカルの中の曲です。
カウントベイシーオーケストラのレパートリーの中でミュージカルものでは、「マイフェアレディー」の中の「時間通りに教会へ」があります。その方は有名で、その曲が入ったアルバムはcd化されていますが、こちらは全曲同じミュージカルの曲で構成されているのに、取り上げたミュージカルが日本ではマイナーなせいか、おそらくcdにもなっていないようです。それは逆に言えばレア盤ということなのですが、決して出来が悪いわけでもない。よくスイングするバンドの演奏はここでも健在です。
曲目が舞台のシーンを思わせるような「彼女は高嶺の花」「私は自分を知っている」「あるあまる金」など、おもしろい題名が並んでいて、ストーリーに沿っており、それだけで楽しめるアルバムなのです。
簡単にストーリーを言うと、貧しい青年のアーサー・キッブスが恋人のアンを捨てて、金持ちの令嬢のヘレンにプロポーズする。しかし上流社会になじめずヘレンをあきらめ、アンに許しを請い結婚する。その後叔父さんの莫大な遺産が転がり込むが、ヘレンの兄にだまされて、そのお金を使い果たされてしまう。その後アーサーは立ち直って小さな店を持ち、アンと一緒に幸せに暮らしていくというものです。タイトルの「心を繋ぐ6ペンス」とは6ペンス硬貨を2つに割って、アーサーとアンがそれぞれ持ち愛を誓うとことからです。
スイセンの曲は令嬢のヘレンとのデートの日が晴れになるようにと祈るが、結局土砂降りとなり、やけになったのか、雨の中を踊りまくるというもので、その内容とおりに愉快なメロディーを持った曲です。ブラス・セクションのアンサンブルとソロのバランスが絶妙によく、軽快なビッグバンドサウンドを堪能できる1曲です。
メンバーはベイシー亡き後3代目のカウント・ベイシー・オーケストラのリーダーとなったグローバー・ミッチェル(トロンボーン)をはじめ、マーシャル・ロイヤル(アルト・サックス)やイリノイ・ジャケー(テナー・サックス)など退団後も活躍した有名なプレイヤーが参加しています。

ヒアズ・ザット・レイニー・デイ

バド・シャンク
”バド・シャンク・ミーツ・ザ・リズム・セクション”より
shank.jpg ウエスト・コースト・ジャズを代表するバド・シャンクは、アルト・サックス、テナー・サックス、フルートを使い分けるマルチ・リード奏者です。
1996年作のスタンダードを集めたアルバムからの1曲です。
この曲はヴォーカルではフランク・シナトラが歌ってヒットしました。
冷え切ってしまった恋愛を悲しむ歌です。
おだやかな空が徐々に曇りだしたかと思うと、ポツポツと地面を雨粒がぬらし、駆け足で雨足が激しくなっていくといような、曲を大胆にフェイクしながら、ゆっくりとしたテンポで始まり、突然急速テンポに変わっていく。そこからはザンザン降りの雨のように怒涛のフレーズが展開していきます。
緩から急にだんだん変わる過程が楽しい曲となっていますので、そこに聞き応えがあります。 メンバーは他にサイラス・チェスナット(ピアノ)やジョージムラーツ(ベース)、ルイス・ナッシュ(ドラム)です。

「カム・イン・アウト・オブ・ザ・レイン」

オードリー・モリス
”ビストロ・バラッズ”より
morris.jpgしっとりしたおだやかな歌声で静かに心にしみるような歌を歌う。
最初聞いた印象はそういった感じです。無駄を剥ぎ取ったような、派手さはないが、その分聞くものを歌に引き込む力強さがある。よく耳を澄ますと、シンバルの音がかすかに入っているので、もう一人メンバーが参加しているのが分かりますが、ほぼ効果がないので、ピアノとベースがメインのバンドを言っていいでしょう。
ピアノはオードリーモリスの弾き語り。
1955年の録音なのですが、華やかなオーケストラをバックに歌ったものと違い、時代的な古さを意外と感じませんでした。それは最近のヴォーカルものが小編成のものが多く、あえて古いアレンジを意識していることが少なくないからでしょうか。
この歌唱を聞くと歌はシンプルなほど心に響くんじゃないかと考えさせられます。この曲は恋の仲直りの曲だとライナーノーツに書いてあります。夏の夜に聞くとじんわりと心に染み入り、オードリー・モリスのトリコとなるでしょう。

どうやらアメリカでも心情を背景にしたものが多いようです。
話は変わりますが、北九州の門司港レトロでは毎年7、8月はジャズのライブが船上レストラン前のハーバーデッキで行われています。
地元のバンドを中心に、毎週出演バンドが変わります。
18:00ごろからおそらく3ステージずつあると思いますので、夕涼みがてら、気になる方は行ってみてはどうですか。


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2011年06月25日

いつかの海賊

あの某有名海賊映画の4作目が公開されています。
そういえば前にも話題にしたことがあったような…。
やっぱり面白いんだからしょうがない。
前回は内容にシンクロしていませんでしたが、
今回はリスペクトを込めて、
テーマは「海と冒険」です。

「キャプテン・カリブ」

リー・リトナー
”スターズ・フュージョン”より
capcaribe.jpg1977年の作品。1970年代の後半から80年代にブームが起こった「フュージョン・サウンド」の中でも大ヒットした曲の代表のようなもの。当時はジャズ=フュージョンという気運があり、近年のボサノバ・ブームのように、世間的にもどこか洒落た音楽という雰囲気がありました。サウンドもギターやキーボードが主流になり、軽く耳に心地よいのが特徴となっていきました。アルバムに収録された歌ものがシングルカットされて、ヒットチャートをにぎわしたのもこの頃です。
この曲の特徴は、ユーモラスで明朗なテナー・サックスのメロディーが繰り返され、それにアクセントをつけるようにパーカッションが絶妙に入ります。時代を象徴するかのように、ギターのアドリブから始まり、 テナー・サックスのアドリブに渡されます。聞いたらすぐに覚えてしまうようなメロディーなので、つい口ずさんでしまうような、楽しさに満ちています。
取り上げているアルバムはフュージョンのコンピレーション盤ですが、もう古くなった曲という感じはなく、 いつまでも輝きを保っているようです。

「ビトウィーン・ザ・デヴィル・アンド・ザ・ディープ・ブルー・シー」

ジゼル・マッケンジー
”ジゼル・マッケンジー”より
btween.jpgこの曲は単に曲名だけで選んでいます。直訳してみると、「悪魔と深い青い海のはざまで」となり、映画の内容をイメージしていまいますが、実はちゃんと邦題がついており、「絶体絶命」というものです。
1931年に作詞テッドケーラー、作曲ハロルド・アーレンによるこの作品は、歌詞の内容が「浮気をされて離婚しようかしまいか悩んでいる」歌らしく、しかし聞いた感じはそれを微塵も思わせないほど陽気なメロディーなのです。ジャズではそんなギャップのある曲は珍しくなく、そこが粋というところなのでしょうか。(歌い手の技量も試されるところです。)

取り上げている歌手のジゼル・マッケンジーは、以前にも1958年のアルバムを紹介しましたので詳細はそちらに譲るとして、ろうろうと歌い上げる唱法は変わりませんが、不思議と1956年の今回のアルバムの方が細かな表現力が勝っているように思えますね。声の質もクールでクラシック的な歌い方からウォームさが増してジャズヴォーカルらしくなっています。いろんな歌い方ができる人なんでしょうね。
それに加え4曲づつアレンジャーが変わっていますので、(その中の一人がカウント・ベイシー楽団のアレンジで有名なニール・ヘフティー)その違いを比べるのも面白いかも。この曲のアレンジはジョージ・シラヴォによるものですが、出だしのドラムのシンバル・ワークにのっかるようにして、くずし気味で入ってくる歌い方が楽しい味付けになっていて、プロローグのような役目をしています。同じメロディーの部分を微妙に歌い方を変えて飽きさせないところもよい。そういうふうに聞いていると、他の曲に比べて一番リラックスして歌っているようにも聞こえ、もしかしたら、ジゼル自身この曲がお気に入りなのかなあと考えたりもします。
この曲の次の曲は「ラ・メール」となっていますが、原題を読むと「ビヨンド・ザ・シー」でした。前の曲の陽気さと違いしっとりと歌っています。この流れがまたすばらしい。選曲と曲順がどんなに大事なのかを改めて感じました。

「ブラック・パール」

ハービー・ハンコック作 演奏:高橋達也と東京ユニオン
”ブラック・パール”より
blackpeal.jpgファンクっぽいベース・ソロと拍を刻むドラムのハイハットの音がが始まり、どんな曲だろうと期待が高まっていきます。そこにギター、トロンボーンと続き、もう逃げられない。ときどき合いの手のように絡むフルートのフレーズがちょこちょこと動き回る小動物のようで面白い感じです。
絶え間なく流れるファンクと音符の波間の中を興味が湧いてグングン突き進んでいくと、最初は面食らうが、次第にその船の乗組員となって、気がつくとサウンドの大海原を目指している、そんな感覚にとらわれてしまいます。長めの曲ですが、次の展開がつかめず、ワクワクしどうしです。
これはもう、曲が終わるまでの時間にだけ許された、一つの大冒険なのでしょう!
このアルバムは1980年の作品で、プロデューサーにコンラッド・シルバート、コンポーザーにハービー・ハンコック(ピアノ・キーボード)とスライド・ハンプトン(トロンボーン)を迎えたもの。6曲のうちA面3曲でハービー・ハンコック、B面2曲でスライド・ハンプトン作の曲を演奏しています。

注目はA面2曲目に有名なブルーノートの「スピーク・ライク・ア・チャイルド」、B面2曲目に昔懐かしい「おれたちひょうきん族」の「ひょうきんベストテン」のオープニング・テーマに使われた「ウィズ・ザ・フォース・オブ・ネイチャー」が入っています。こちらも聞き所です。

聞きやすい曲と勢いがある曲が絶妙のバランスで収録されているので、オススメの1枚です。

発表された年代もバラバラで、
もちろんこれらの曲は映画のために作られたわけですから、
ただ、ジャズにはこんなタイトルの曲もあるんだなと知ってもらう
ためだけのものです。
この場だけ、今回は言葉遊びと思っていただければ”幸せます”。
(山口県人なのに、生まれてこの方、この”方言”を使ったことも、
使った人も一度も見たことない。なんでろう???)


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2011年06月12日

クールな楽しみ

長いこと更新しませんでしたがみなさんお元気でしたでしょうか。
休んでいるうちに、日本は大震災が起こって、
大変なことになってしまいました。
この夏は、節電15%目標ということで、
扇風機が飛ぶように売れています。
巷では「スーパー・クール・ビズ」が
賛否両論を巻き起こしているようですが、
元々「クールビズ」とは、
かっこいい?と涼しいの「クール」と
ビジネスの略語「ビズ」を合わせた造語ということ。
今回は、それにちなんで、「クール」がテーマです。

「サムシング・クール」

ジューン・クリスティー
”サムシング・クール”より
somethingcool.jpg ジューン・クリスティーの「サムシング・クール」。 昔から存在は知っていたのですが、CMで使われるような 曲と言うわけでもなく、耳にする機会もなかった。 ヴォーカルものはほとんどジャケ買いをする傾向にあるのでどうしても写真を使ったものに目が行きがちで、しかも淡色の古めかしいイラストとなると、ためらいなく今までパスしていたのでした。 しかしヴォーカルものをちょくちょく聞く今、「古いアレンジの方が好みである」ということがわかってきたので、ならばこのチャンスにと、このアルバムを手に取ったわけなのです。
適度にハスキーで、ハリのあるよく通る声、歌い上げる歌唱法の歌手は感情表現に乏しいんじゃないかと思っていたが、豊かな表現力と艶のある声で、情感たっぷりに歌っています。 この曲はこのアルバムのためのオリジナルであり、ジャケットのイラストからも分かる通り、”冷たい飲み物”なのですが、他にもジューン・クリスティーのクールな歌唱法にもかけているようです。 それは出身のスタン・ケントン楽団が”クール・ジャズ”を実践していたことがルーツになっています。
またここで取り上げたことのあるバド・シャンクやボブ・クーパーをはじめとするウエスト・コースト(アメリカ西海岸)の名手たちの要所をおさえたバツグンの演奏が、相乗効果として、ジューンクリスティーの歌の輝きを増しているのです。
この曲1曲だけを取り上げるのではなく、このアルバムを一つの作品として流れを楽しむのがいいでしょう。清涼感を感じさせること請け合いの傑作なのです。でもどうしても有名曲が聞きたい人には、 収録曲の中でも「朝日のようにさわやかに」がおススメ!

「クール・アンド・ホット」

ライアン・カイザー
”コンセプション-クール・アンド・ホット”より
coolhot.jpgこちらの「クール」は「冷静」、ホットは「情熱」でしょうか。
最初ゆっくり目の冷静なトランペットとアルト・サックスのユニゾン(同じ音でのメロディーの合奏)でテーマが始まります。その後、火がついたように急展開して、超ハイスピードの合奏に変わり、スピードを保ったままアルトサックス→トランペット→ピアノと各アドリブ・パートに移り、各楽器思いっきり情熱を発揮し曲を盛り上げていきます。そして最初のゆっくり目だったテーマを今度は急速調で再び合奏してを聞き手の意表をつき、最後は最初と同じ速さのテーマに戻りエンドとなります。
それにしても、曲の緩急を使い分けたアレンジもさることながら、巧みな3回のテーマのバリエーションの工夫はさすがです。しかし6分52秒のうち、ほぼアドリブの長尺の曲にもかかわらず、聞くものを飽きさせない、実は全てに「冷静」で、曲をコントロールする細かな計算がほどこされているのでしょう。
トランペットのライアン・カイザーは1992年「ワン・フォー・マイルス」でデビューし、この作品は2007年のリリース。スタンダードを多く取り入れているので、新しい響きでありながら、どこかなつかしいサウンドになっています。ソロでの活動の他、数々のビッグ・バンドの一員としても活躍しています。

「クール・ストラッティン」

ベニー・グリーン
”ノー・ブランド・ジャズ・シリーズⅡ レッツ・グルーブ”より
coolstruttin.jpg この曲を有名なオリジナルのソニー・クラーク盤で 紹介するのはたやすい。 でもそれでは能がない。 それでこの「ベニー・グリーン」盤を推薦するのには実はわけがあるのです。そもそも、最初にこのオリジナルで聞いたときの「違和感」に由来するのです。

当時、トランペットといえば軽快に歌い上げるもの。もしくはしっとりと奏でるものという感覚がありました。だけど「クール・ストラッティン」は全体的にどこか重くだるい、引きずるような演奏という印象があり、今思えばそれが「ジャズ的なもの」ということなのでしょうが、トランペットの音色自体がなぜか浮いたような、逆に音の軽さが合わないような感じを持っていたのです。まあ自分だけのものかもしれません。その思いがあったせいか、トランペットをトロンボーンに変え、重低音を重視した演奏がこの形がベストかな、と思えたのです。これならどっしりした曲風でしっくりくる。自分勝手でも、演奏したベニーグリーンにもそんな感覚があったのかなと想像すると、この曲をさらに楽しめるというものです。


「涼」を考えると、足りないかもしれません。
でもどの曲も「カッコよさ」の面では十二分に楽しめると
思います。
涼しい話題も、いずれしていきましょう。



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2009年04月24日

フルカワJAZZ道場:マイ・フェイバリット・ソング・ブックA

マイ・フェイバリット・ソング・ブックA

~ジャズは曲を知れば楽しくなる~

かなりひさしぶりになります。お元気ですか。
今までこのブログを何度か読んでいただいて、
いろんなジャズの形があることを知ってもらえた
と思います。
ではそこから少し進んでみませんか。
ジャズのスタンダードをはじめとする曲名を
覚えると、かなり楽しくなりますよ。
まあ、自分のお気に入りの曲をチョイスするのですから、
偏りもあるかもしれませんが、なるべく有名な曲を
ご紹介したいと思います。

第一回は季節柄から「Aーエイプリル・イン・パリ」に
しましょう。

この曲のルーツ

この曲は1931年ミュージカル「ウォーク・ア・リトル・ファースター」のためにヴァーノン・デューク作曲、エドガー・イップ・ハーバーグ作詞された曲です。

「エイプリル・イン・パリ」

カウント・ベイシー・オーケストラ
”エイプリル・イン・パリ”より
aprilinparis1.jpgaprilinparis2.jpgこの曲はカウントベイシーオーケストラの十八番の曲でよくコンサートでも演奏されました。1955、56年の録音。
中でもこのアルバムのバージョンは、トランペッターであり、作編曲家のサド・ジョーンズがアドリブ・ソロをとっており、一曲の中に別の曲があるかのように口ずさめるソロになっています。
ビッグバンドのアドリブは時々童謡やトラディショナル・ソングなど、有名な曲のフレーズを中にはさんだりすることがあります。このソロも遊び心あるものになっており、楽しく歌心にあふれています。このソロはトランペットのサド・ジョーンズによるもので、当然ながらライブでは少しずつアドリブも変化しているのですが、フューチャーされているとはいえ、いかんせん短い。
そのうっぷんをはらすように、自分のアルバム、ブルノートの「マグニフィセント・サド・ジョーンズ」では、のびのびと吹いています。そちらを聞いてみると、作編曲家やビッグ・バンドのリーダーとしての面の強いサ ド・ジョーンズのソリストとしての才能に驚かされるでしょう。
そして特にオススメな部分は大盛り上がりのエンディングの後に、ベイシー御大が「ワン・モア・タイム」と声をかけると、もう一度エンディングが繰り返されるのです。得した気分でいると、もう一度「ワン・モア・ワンス」と声がかかり、3度目のエンディングが!
なんともユーモアに満ちたアレンジになっています。ぜひ聞いてみてください。

「パリの四月」

ウイントン・マルサリス
”スタンダード・タイム vol.1”より
aprilinparis3.jpg独特の跳躍感のあるフレーズで、古いスタンダードに新しい命を吹き込んでいるようです。聞いていると、ウイントンのバックでリズムセクションが目まぐるしくテンポやリズムを変えています。それをなんでもないかのように平然とソロを繰り広げるあたり、すごい実力だと思います。そのリズムの変幻自在さもウイントンの指示があってのものでしょうが。
ウイントン・マルサリスは1961年ニュー・オリンズ生まれ。父はピアノで地元でジャズの教育をしているエリス・マルサリス、長兄はテナーサックスのブランフォード・マルサリスで、ウイントンは次男にあたります。三男のデルフィーニョはトロンボーン、四男のジェイソンはドラムと、音楽一家です。彼が1980年アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズでデビューしてから、それまでフュージョン全盛で肩身の狭い思いをしていたメイン・ストリームのジャズが徐々に復権していきました。ウイントンとブランフォードの2人を中心として若手の実力派が集まり、ジャズの伝統に回帰する「新伝承派」と呼ばれるようになります。 彼の演奏は一聴クールで、情熱に突き動かされるというより、考え抜かれた曲構成になっているので、頭でっかちでよく熱さがたりないといわれました。しかし今改めて聞きなおしてみると「80年代という時代を反映したスタイリッシュな情熱」を感じます。時代の風潮で”熱くならないことがかっこいい”というのがありました。でも曲を聞き進めていけば、かなりエキサイティングな気持ちになれると思います。他のプレイヤーにマネ出来ない超絶テクニックと曲構成の力があるからです。
このアルバムは1986年にリリースされたスタンダード集なので、ジャズを代表する曲が多く、スタンダード曲を楽しむのにオススメです。

「パリの四月」

ハリー・アレン
”ダウン・フォー・ザ・カウント”より
aprilinparis4.jpg他の2枚のアルバムに比べかなりゆっくりしたテンポでパリの異国情緒たっぷりに穏やかな春の雰囲気が感じられます。でもオリジナルのテンポはこちらが近いのではないでしょうか。もともとミュージカルの歌の曲だということもありますし。題名からくるイメージにもふさわしいと感じます。
このアルバムはカウント・ベイシーに捧げられたもので、収録されている曲もベイシーを代表するナンバーばかりです。どの曲も彼のテナーの太い低音が、ベイシーナンバーの良さを最大限に表現しています。 プロ、アマチュアを問わず、ジャズを志すプレイヤーは、その成長過程でいろんなジャズ・プレイヤーの曲に出会います。そのたくさんの影響を受けた曲の中からいくつかを、プロでは自分のアルバムの収録曲にする人もかなりいるでしょう。
ハリーアレンは1966年アメリカ、ロードアイランド生まれ。影響を受けたプレイヤの1人にスタン・ゲッツを上げています。彼は多くのボサノバの曲をカバーしていますが、ルーツはおそらくそこからなのではないでしょうか。また今回のアルバムのカウント・ベイシーは、高校生の頃父親にコンサート連れて行かれてから、熱心に聞くようになったといいます。カウント・ベイシーは1984年に亡くなって、その頃18歳ですから、1981~1984年ごろだと推測されます。亡くなる2年前と1年前にコンサートで来日していて、2年前の方は福岡での公演が自分もあり聞く事ができたので、同じようなレパートリーの演奏を聞いたんじゃないかなあと勝手に思います。
ただその時に演奏された曲は3曲くらいで、アルバムには古い時代の曲もあり、ベイシーファンをうならせる選曲もあり、ベイシー・トリビュート・アルバムとしてだけではなく、ジャズアルバムとしても完成度の高いものになっています。

曲にも”流行りすたり”があるようで、有名な曲の割には最近はあまりカバーされないようです。
同じ四月の曲でもアイ・リメンバー・エイプリル(四月の思い出)の方が、ジャズ・ミュージシャンには今は人気があるみたいですね。


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2008年12月30日

寒い夜の国に帰った猫

昔住んでいた家の近くのバス停から2つ先の
バス停のベンチに、夜になると、”大きな猫”
が居つくようになった。
誰かがどかせようとしても、ビクともしない
猫で、次第に町内の人々の知るところとなった。
この猫、ずいぶん長いことそこに出没していたが、
どこからやってきたのかわからないのと同じくらい
唐突に、どこかへ消えてしまった。不思議な猫だ。
きっと自分の”ワンダーランド”へ帰ってしまった
のだろうか。

「チェシャイアの猫」

メイナード・ファーガソン・オーケストラ
”クロスオーバー・ファーガソン”より
crossover.jpgタイトルの”チェシャイアの猫”とは、 「不思議の国のアリス」の中に出てくる 不思議な猫のことです。
ビル・エバンスの「アリス・イン・ワンダーランド」 という曲がありますが、そのやさしく穏やかな 曲調と比べると、こちらの方は不思議なハラハラする ような雰囲気の曲なのです。
メイナード・ファーガソンは代表曲の「ロッキーのテーマ」 や「スタートレックのテーマ」で知られるように、 ハイ・ノート(高音域をとくいとする)の トランペットの演奏で有名ですが、バラードの演奏の うまさのことをふれる人はあまりありません。
メイナード・ファーガソンの人気が絶頂期の頃、学生 ビッグ・バンドのトランペッターたちは、その情感の 豊かさにも魅かれ、お手本にしていたのでした。 コンボならマイルス・ディヴィスがお手本といったところ でしょうが。
1976年発売のアルバムの日本語タイトル(英語では 違う)のクロスオーバーという言葉も懐かしい響きです。
当時はジャズの垣根を越えた、ロックやポップス よりの新しい流れを表現する言葉がなくて、 ”クロスオーバー”としましたが、一般の人にとって 本格的なモダン・ジャズより、こちらの方が 身近に”ジャズ”として認知されていたように思います。 後にフュージョンという言葉にいつのまにか変わって いましたが、時代にも合っていて、少し高級な音楽に 感じられたほど、いいネーミングだったと思います。

「マイナー・ミシャップ」

トミー・フラナガン
”キャット”より
cat.jpgトミー・フラナガンの作品では「オーバー・シーズ」 の方が有名ですが、個人的にはこちらの「キャット」 の方が気に入っています。
まあ1つには、赤と黒の2色で処理されている”あまりかわいく ない猫たち”の写真のインパクトが強かったこともあります。
このレコードを買ったときは、まだ”ビッグ・バンド狂時代” だったので、2、3度聞いて長いこと彫っておいたのですが、 今聞き直してみるとなかなか名曲揃いです。
ハード・バップ(ジャズのスタイルのひとつ)の曲あり、 ラテン調の曲あり、セクステット(6人編成)やトリオ(3人編成) の曲ありとバラエティーに富んだナンバーで飽きさせません。 曲名で猫を連想するものはないですが、アメリカでは”猫” というスラングで”若い女性”、”ジャズ演奏家”、 ”ジャズ狂”という意味もあるそうなのです。
確かに輸入盤であるこのレコードの裏のライナーを見てみると、 そのようなことが書いてあるようです。(ほんの少ししか 読めませんでしたが)
ではジャズ演奏家は誰かということになると、リーダーで ピアニストのトミー・フラナガンの他、テナー・サックスの ジョン・コルトレーン、トランペットのアイドレス・シュリーマン、 ギターのケニー・バレルなどそうそうたるメンバーです。 各々名演奏を繰り広げており、ジャズをこれから聞こうと 言う人にも楽しめる内容となっています。
1曲目の「マイナー・ミシャップ」と特におススメです。

「コーリン・オール・キャッツ」

ルー・ドナルドソン
”ブルース・ウォーク”より
callin.jpgこのアルバムの「ブルース・ウォーク」は色んなブルーノートの コンピレーション・アルバムで取り上げられるほど、ブルース色の 強い名曲です。でもアルバム最後を飾るこの””をあえて紹介します。
題名だけ聞くと、猫がじゃれて遊んでいる様子が浮かぶような軽快で 愉快なメロディーを持つ曲で、ほっとした気分になれます。 ここでのオール・キャッツはもちろんバンドのメンバーのことです。
「コーリン・オール・キャッツ」というタイトルだけ聞けば、 猫好きが猫たちを呼んでいるのかと思いますが、キャッツを ジャズ演奏家たちと置き換えれば、演奏中のコール(呼びかけ)アンド レスポンス(応答)ということでしょうか。
でも大きな”猫たち”がスタジオで演奏している姿を想像すると、 音まで猫がニャアニャア鳴いている様に聞こえてくるようで、 楽しいですね。

今回で今年は最後になるようです。
ではまた来年お会いしましょう。


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2008年09月28日

フルカワJAZZ道場:ジャズのDNAⅡ(国内編)

20数年前、日本でもフュージョンが市民権を得た頃、
レコードを買わなくても、テレビのCMや番組で耳にする
ことは多かった。ジャズミュージシャンの中でも、
日野皓正や渡辺貞夫はテレビの出演や自分の曲の
流れるコマーシャルに本人が出演していたりと、
テレビの露出が多いのでした。
今回は前回に続き「ジャズのDNAⅡ(国内編)」です。

「モッコ」

日野皓正
”ホイール・ストーン(車石)/日野皓正ライブ・イン・ネムロ”より
terumasa.jpg日野皓正はその頃ヒット曲を続けざまに出し、人気を得ていましたが、それ以前のことを知る機会を持たないままでした。
このアルバムは、アメリカの武者修行に旅立つ前のライブ録音のレコードです。だから血気盛んな頃なので、レコードの内容が熱い。A面1曲、B面1曲両方あわせても2曲しかない。ライブ盤では片面2曲ずつ計4曲などというのは良く見かけるが、片面1曲ぶっ続けというのはかなり大胆です。実際にそのライブではもう何曲か演奏したらしいが、それでも1曲21分以上というのは圧巻というしかないです。その日は普通のコンサートの終了時間を1時間超えたそうなので、かなりの熱狂だったことがわかります。

これは1975年に北海道の根室市で行われたライブ録音のレコード化で、地元のジャズ・クラブが開催したコンサートでした。
コンサートの開幕を高らかに宣言するファンファーレのように、トランペットとテナー・サックスがゆったりした吹き鳴らされ、同じメロディーを少し変化させテンポ・アップした曲がテーマとなり、力強い絶え間ないリズムをバックに進んでいきます。まさに地響きのように鳴動するリズム隊がコンサートをさらにヒート・アップさせます。それらにサポートされて、日野皓正のアドリブも冴え渡ります。21分あってもそのフィーバーぶりが聞くこちら側にまで伝わってくるかのような迫力のライブです。
A面の曲名となった「モッコ」とは、日野皓正の弟の日野元彦が小さい頃おじさんから呼ばれていた愛称から来ています。
B面の「イン・ザ・ダークネス」方は打って変わってしっとりとしたスロー・バラードなので、彼の歌心が聞かれて素晴らしい。両方合わせてオススメなのです。

その後アメリカで修行を経験し、やがて帰国した日野皓正はフュージョンの牽引者として大活躍していくのでした。

「黒いオルフェ」

日野賢二
”ケンジ・ヒノ・イン・ワンダーランド”より
kenji.jpg今風のR&Bやヒップ・ホップの要素を取り入れたスタイルに、ジャコ・パストリアス以来顕著になった”ベースでメロディーを弾く”プレイヤーです。ただ彼の場合は、メロディーからオーソドックスにアドリブに展開していく形で、ジャコ・パストリアスのようにトリッキーではありません。ジャコが突拍子もない音や早弾きから”サックスやトランペット型”のアドリブなら、彼はどちらかというとベースでギターのフレーズを弾く”ギター型”だと思います。

ボサノバ・ブームのせいもあってか、最近良く取り上げられる「黒いオルフェ」をベースでテーマを弾いていきます。ベースでメロディーを弾くといったこういうアイデアの「黒いフォルフェ」は今までなかったでしょう。ベースでもけっこう歌えるものです。
ベースという楽器の性からか、ヴォーカルと主役を交替して脇に徹すると、普通のR&Bか何かのようになってしまうのが残念です。それよりもソロでメロディーを弾いたり、「ミスター.P.C.」や叔父である故・日野元彦に捧げられた「トコズ・ブルース」のようにホーン楽器とメロディーをデュエットしたり、アドリブで丁々発止とバトルをするという方が自己を主張しているように思えます。

ゲストミュージシャンだけでも大変なものです。父親の日野皓正(トランペット)をはじめ、ジョン・スコフィールド(ギター)、小曽根真(オルガン)、ケニー・ギャレット(アルト・サックス)、ドン・アライアス(パーカッション)、akiko(ヴォーカル)と名前を上げるだけでそうそうたるメンバーです。解説のインタビューの中で彼が最初トランペット専攻だったのをベースに変えたのには、そういった人たちと対等に渡り合うために、ベースが自分に一番向いていたということだったのでしょう。

国内編は今回が終わりです。
いずれ海外編の方も書きたいと思います。


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2008年09月07日

フルカワJAZZ道場:ジャズのDNA(日本編A面)

芸能界、政治の世界を問わず、親子で同じ職業と
いうのはかなりあります。
ジャズを志す人達も、枚挙にいとまがないのですが、
今回は日本人の中から気に入ったものを紹介
します。

「ララバイ・フォー・ザ・ガール」

土岐英史
”TOKI”より
toki.jpgナベサダやヒノテル(渡辺貞夫や日野皓正)を筆頭とする、日本のフュージョン・ブームまっただ中の時でも、ストレートなジャズを目指す人々は多くいたのです。ただ、大量にあふれるフュージョン・サウンド=ジャズという構図をみんなが支持し、それ以外は顧みられず、CDとして再発されないレコードもたくさんありました。

つい最近、和ジャズのブーム(日本の70年代~80年代の主流のジャズ)があり、雑誌などで取り上げられ、復刻盤もかなりCDで発売されるようになったのです。
その中の1枚にサックス・プレーヤーの土岐英史の作品がありました。後でその人が土岐麻子の父親と知ったのでした。

モノクロームの写真と”TOKI”というタイトルのシンプルなジャケット。和ジャズを入手しようという意識がなければ、見過ごしてしまいそうでした。その紙ジャケのCDを、当たりであることを信じて購入したのです。

結果は大当たり!日本のジャズの底力を改めて知ることとなりました。
「ララバイ・フォー・ザ・ガール」の幽玄にたうたうように流れるソプラノ・サックスの調べ、他の日本人のジャズプレイヤーと一風異なったメロディー感覚にうなったものでした。

これはすごい!

スロー・バラードながら、みなぎるパワーをおさえている雰囲気が感じられて、それが聞く者を異空間に誘います。アルト・サックスを吹かせても、スタンダードを吹いても、軽快で力強い音色は、本場のアメリカにも引けをとりません。その証拠に、スーパー・ジャズトリオ(トミー・フラナガン、レジー・ワークマン、ジョー・チェンバース)をバックに演奏した「シティ」というアルバムもあるのです。

○○ブームというのを今まで敬遠していましたが、今回だけは乗ってよかったと思っています。

「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」

土岐麻子
”スタンダーズ~土岐麻子ジャズを歌う~オン・ザ・ソファー”より
asako.jpg さて、その土岐麻子です。
土岐麻子との出会いは、少し前にジャズ・ヴォーカルを聞き出した頃、「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」という曲がお気に入りになって、他に歌っている人いないのかと、インターネットで調べたことがきっかけでした。

フランク・シナトラと土岐麻子の名前が見つかったのですが、シナトラはあまりに原曲を崩して歌っているのでしっくり着ませんでした。

土岐麻子の歌声は甘すぎず、ちょうど良いくらいに力が抜けてて柔らかい声。その声の上を転がるように英語の歌詞が乗ると、そよ風のように心地よく響きます。

大石学のアレンジが冴えていて、古き良きジャズの雰囲気を醸し出す演出法を取っています。

娘を応援するかのように、父親の土岐英史がアルバムに参加しているのがうれしいところです。ここでも彼のソプラノ・サックスとアルト・サックスが情感豊かにしっとりと曲を盛り上げているのが印象的です。

他には、このアルバムの中のスティービー・ワンダーの「アナザー・スター」がせつなくて心に訴えかけます。ポピュラー曲でありながら、上質なスタンダードといっても疑わないでしょう。

”シンバルズ”というロック・バンド、そして”ジャズ”、今では彼女は昔のJ-POPのカバー曲やオリジナル曲を歌っています。
けっして彼女はジャズ歌手というわけでもないのですが、でも曲のアレンジがフュージョンや70年代のアメリカのポップスのようで懐かしく耳になじむ。とくにJ-POPのカバーはその時代の記憶を喚起して、その刷り込みかもしれないが、まるで昔からの知人が語りかけてくるような懐かしさを感じるのでした。
歌の本当の力というのは、何オクターブの音が出るとか、大きな声量があるとかではなく、歌い手と聞き手の中に共通した”想い”をいかに抱かせるかということではないでしょうか。

今回は持っているものの中から
親子関係のプレイヤーを選びました。
実際日本でも多くの親子のプレイヤーが
いるのですが、両方がレコードやCDを
リリースしているとなると難しいのです。
紹介作品が4つと、少し長くなりそうだった
ので、残り2つは次回ということで。


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2008年08月17日

フルカワJAZZ道場:魔女のDNA 「タバサ」

むかしむかし、ごく普通のアメリカの女の子がおり、
ごく普通の家に暮らしておりました。
家族もごく普通の家族でした。
ママの名前はサマンサ、パパの名前はダーリン。
小さなタバサと弟のアダム。
成長するにつれ両親はタバサに”アレ”があることに
気づきました。そう例の”アレ”が。(以下略)

「タバサ」
tabitha.jpg
ストーリー
このドラマは「奥様は魔女」を彷彿とさせる中村正によるナレーションのオープニングから始まります。続編とわかるように、最初は「奥様は魔女」の子供の頃のタバサの写真や映像をはさみながら、学生時代、大学卒業のシーンは主演のリサ・ハートマンへバトンタッチするという方法をとっています。日本のテレビでは未公開だと思います。 放送時期はABCテレビで1977年という「奥様は魔女」終了から5年なのですが、子供だったタバサはなぜか大人になっていて、ロサンジェルスのテレビ局でトークショーの製作アシスタントをしているのでした。
主な登場人物は、タバサの弟のアダム、叔母で魔女のミネルヴァ、 トークショー「ポール・サーストン・ショー」の司会でスターのポール、プロデューサーのマービンなどなど。 弟のアダムは「奥様は魔女」では魔法が使える子供の設定だったのに、本作ではまったく魔法も使えず、父親のダーリンそっくりのまじめ一辺倒、タバサが魔法を使うことに大反対の”人間”に育っています。職場では「ポール・サーストン・ショー」のゲストを次に誰を呼ぶかなどブッキングを担当しているのですが、ホストのポールはスター気取りのプレイボーイで、口も性格も悪く、ゲストを怒らせて帰らすこともしばしば。収録直前にゲストを変えることも良くあるので、タバサとはしょっちゅう口喧嘩になります。プロデューサーのマービンは一応ボスという立場なのに、どちらかといえば日和見的で、スターのポールのご機嫌をとります。そんな中に魔女のミネルヴァおばさんが割り込んできて、魔法でいろんなイタズラをして、騒動を巻きおこすというストーリーです。
キャスト
主演のリサ・ハートマンは女優のほかに歌手という一面も持ち、このドラマの主題歌も歌っています。「タバサ」出演以後は映画の方にも活動の場を広げています。1977年当時「チャーリーズ・エンジェル」がはやっていたため、リサの髪型はファラ・フォーセット・メジャーズに影響を受けているそうで、ファッションをみても70年代アメリカへのなつかしさを覚えます。 ブロンドの髪も顔もどこかしらサマンサ役のエリザベスモンゴメリーににていることが出演の決め手になったのでしょう。(映像特典で別のキャストによるボツになったパイロット・フィルムが収録されてます。)それと魔法を使うときに鼻を動かすしぐさが。

「奥様は魔女」の1960年代は広告代理店、「タバサ」の1970年代ではテレビ局と、時代の花形職業の移り変わりがわかります。サマンサは専業主婦でだったことは、女性は家庭にいるのが当たり前というたとえで、母親のエンドラ他の魔女や魔法使いがサマンサを家庭から開放しようとする勢力にたとえられています。時代も変わってウーマンリブもさかんになった当時は、もうそういう風刺も過去のものになってしまいました。タバサは仕事もバリバリこなし、独身の若い女性なので家庭に縛られることもなく、やはり”恋多き女性”になっています。アクション物が多かった時代の中で、現代にもつづく”キャリアウーマン”物のさきがけともいえるでしょう。
おまけに上司はブラックパワーの台頭もあり黒人になり、もう1人はプレイボーイと、ダーリンが象徴していた”堅物で家族を守るのが一番”という男性像も時代遅れになってしまったようです。そのためか、ダーリンを投影した弟のアダムは、回を追うごとに物語の中で影がうすれていくようでした。
感 想
残念ながら「タバサ」は人気が出ず1クール13本で終わっています。理由はいろいろあるとは思いますが、一番の理由は続編というわりには設定がまったく変わりすぎていることでしょう。前作の登場人物を投影したキャラクター設定にしていますが、主役級の俳優誰一人として前作に出演していないこと(後日譚なので当然ですが)がスピン・オフ作品にとっては致命的でしょう。それに加えてシリーズの前半ではタバサは両親の言いつけを守ってあまり自分から魔法を使おうとしません。結果、ミネルヴァおばさんの魔法に振り回されるだけとなり、主人公としての強烈な印象がでていない感じをうけます。ミネルヴァおばさんにしても前作のエンドラ役のアグネス・ムーアヘッドに比べると、女優の格が落ちるのは否めず、ブラックな笑いも足りなかったと思います。ドクター・ボンベイやお隣のクラビッツ夫妻もゲスト出演していたのがせめてもの救いといえるでしょう。
エピソード案で父親役の新旧ダーリン(ディッ・ヨークとディックサージェント)との共演の話もあったそうです。実現はしませんでしたが、それが放送されれば、あるいはもう少し続いていたかもしれません。 ところがテコ入れのためか、後半からはタバサはバンバン魔法を使いまくります。そうなるとテンポもよくなって面白さも増してきたところで先への含みをもたせて終わりとなります。続編として見ずに別の作品とみれば楽しい作品です。せめて半年は続いてほしかった物語です。

ジャズとは関係ないじゃないかと思う方もあるかも
しれませんが、それはアメリカのドラマのこと、
ミネルヴァおばさんが突然グランドピアノとピアノ
弾きをつれて魔法で現れ、「クラブ歌手になる」と
いって「クライ・ミー・リバー」をピアノの上で寝そ
べって歌っていました。でも正直なところ、”歌う”
というより”叫び”に近く、おせいじにもうまいとは
いえません。
でもピアノの上で寝そべって歌ったことは、
映画「フュビラス・ベイカー・ボーイズ」でミシェル・
ファイファーがやったより先ですね。


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2008年06月29日

フルカワJAZZ道場50thメモリアル:いま★ココにいます。

50memorial.png

昔からひどい方向音痴で、初めて行った場所は
たいてい帰り道を逆に行って迷います。
目的地までの交通機関でのアクセスを事前に
調べて、最寄の駅やバス停からカンで歩く場合、
いつまでも着かずに”おかしいなあ”と思って
人に聞くと、まったく逆方向に延々と歩いている
ことが多々あります。そんな迷った時、商店街の
案内板や、町内会の住宅図に「現在地」の文字を
見つけると、なぜかホッとするのでした。(問題の
解決になってませんけど。)
今回のテーマは「現在地」です。

「ピンチ・ボトル」

スタンゲッツ・ウィズ・アルヘイグ
”プリザベーション”より
pinch.jpgこのアルバムの性格としては、どちらかというと未発表曲集ということになります。後半はアル・ヘイグトリオの演奏になっているので、全曲参加しているのはアル・ヘイグ・トリオで、スタンゲッツのアルバムというよりは、フューチャーリング・スタン・ゲッツなのですが、スタン・ゲッツのセッションから未発表曲4曲が入っていることから、スタンゲッツの名前が前に来ているのでした。
ピンチ・ボトルという意味は特別にライナーノーツにかかれていないので、確実なことはわかりませんが、スコッチウィスキーに”ピンチ”という銘柄があるそうで(現在ではティンブルの名に変わっています)、そのボトルのことではないかと思います。その創始者の名前がヘイグ家というそうで、もしかしたらそれに掛けているのでは。(作曲者はアル・ヘイグ)間違っている可能性もありますが。もしそうなら曲調がピンチとなっているのに楽しそうなくつろいだメロディーなのもうなずけます。ジャズ・プレイヤーの中には演奏の合間に必ず酒を飲む人もいると聞きますので。派手さはないがなかなか陽気ないい曲です。
他の曲でコーラスにブロッサム・ディアリーが本格的なジャス・スキャットを披露しています。ブロッサム・ディアリーという人、甘ったるい声のアイドルが歌ったようなイメージがありましたが、それだけではないんですねえ。そんな歌い方のほうが聴衆をひきつける一種のテクニックともいえるかもしれませんねえ。

「チャンス」

東京ブルースカイ・オーケストラ
”チャンス”より
chance.jpgこのアルバムが発表されたのは2001年、5曲入りのミニ・アルバムという扱いなので、新品ながら安かった覚えがあります。 新しいバンドだと思ったので調べてみたら、なんと結成は1947年! のダンス・バンドだということです。
リーダーの奥田英人は2代目で、初代は奥田宗宏。1992年に引き継ぎました。ジャズのオーケストラと思っていましたが、根底には踊れる音楽というノリのよさがあるのでした。その歴史の長さのせいか新しくも懐かしいような趣きの相まったバンドなのでした。
ラテンのりの曲もあれば男性ヴォーカル掛け声や歌の多用は、最近のラテン・ジャズ・バンドやニュー・スイング・ビッグ・バンドやファンクの影響が感じられるが、基本にしっかりした伝統に基づいたアンサンブルの土台が見えるのです。アレンジも凝っていて、チュニジアの夜をもじった「ナイト・イン・トウキョウ」は、ラテンなファンクであり”チュニジアの夜”の現代版といえるでしょう。
懐かしさでいえば、スイセン曲の「チャンス」となるでしょう。今から見ると、80年代のフュージョンアルバムに必ず一曲は入っていたようなヴォーカル入りのソウルフルな曲調です。女性ヴォーカルはこの一曲だけであり、合間に入るサックス・ソリ(サックスパートのみの合奏)が日本のビッグ・バンドの良さを十分に発揮しています。
人によっては懐かしさは違うでしょう。このバンドの特徴は過去の名曲の良さを生かしながら、新しいニュアンスを持った味付けをしていることです。でも他の新しいバンドと違うのは、そこに日本のビッグ・バンドの歴史がかいまみえることです。

「AIM」

ジミー・ウッズ・ウィズ・エルビン・ジョーンズ
”コンフリクト”より
aim.jpgこの題名を見つけたときは驚きましたけど、 北九州のAIMが平和的でフレンドリーな 感じがするのに比べて、このアルバムの 内容はかなり対照的なようです。
言葉の意味は”狙い”という意味らしいですが、 本人のインタビューによると、戦争をモチーフに 書かれた曲ということ。
黒人音楽から生まれたジャズとはいえ、 アルバムの発表された1963年は黒人ミュージシャンの 扱いはまだ悪く、たとえリーダー・アルバムを出していても 生活の苦しいミュージシャンは多かったようです。
当然黒人の解放運動の高まりと共に自分の音楽に 怒りを反映するミュージシャンも多く、彼もその1人でした。 アルバム名の”コンフリト”は”闘争”という意味であり、 同名の曲にはリズムに軍隊の行進のようなイメージがあります。 その意味からすると、ジミー・ウッズのいう戦争とは特定の 何かの戦争というより、白人優先社会との戦いという意味合いが あるのではないでしょうか。
トランペットのソロのメロディーにアルトサックスとテナーサックスが厚いハーモニーをつけ、アンドリュー・ヒルのピアノのモールス信号のような打楽器的なバッキング、エルビン・ジョーンズの激しい攻撃のようなドラミングが一貫しており、哀愁を帯びたカーメルジョーンズのメロディアスなトランペットと、フリーキーな響きを持つジー・ウッズの無機質一歩手前のアルト・サックスが好対照を成しています。曲のクライマックスで叫びとも悲鳴ともとれる合奏があり、好戦的な面ばかりではなく、闘いによってもたらされる悲しみもあらわしている感じがします。

手前味噌ながら、簡単に説明すると、このfan!tv!を
配信しているのがpinch!&chance!という会社で、
そこがAIMビルに入っているということなのです。
AIMビルは「世界の雑貨村」と西日本総合展示場が
あり、小倉駅裏からすぐです。


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2008年06月01日

フルカワJAZZ道場:ブラスに願いを

swinggirl2.PNG

おぼろげな記憶の断片をひもとくと、20数年前、他の大学の
サークルに1人だけ女性のジャズトランペッターがいたように
思います。その頃はまだアマもプロもジャズでは女性の管楽
器奏者はほとんどいなかった。”ホーンは男のみ”という何か
壁のようなものが確かにありました。
そして今ではジャズ聞く女性が増えたのか、女性のホーン・
プレイヤーの活躍は目覚しくなっています。泥臭いはずの
ジャズが、華やかになってきました。
今回は趣向を変えて、「ウーマン・ウィズ・ザ・ホーン」です。

「砂とスカート」

矢野沙織(アルト・サックス)
”サクラ・スタンプ”より
sakurastamp.jpg最近の日本の女性ホーン・プレイヤー人気の火付け役いいってもい いでしょう。デビュー当時まだ高校生で、チャーリー・パーカーに 心酔している本格派として、かなり話題になりました。テレビの「 情熱大陸」で取り上げられた時、学校帰りにセーラー服姿のままで スタジオに入った光景は、なぜかその時流行った「スウィング・ガ ールズ」とダブって見えた記憶があります。時代の風が吹いていた のでしょうか、あまり批判的な意見はなかったように思います。一 聴すればその実力のすごさはわかることですが、デビュー前、ライ ブハウスに飛び入りでよくプレイするという、武者修行をしていた そうですから、知る人ぞ知る存在だったのでしょう。
男のベテラン・プレイヤーを相手にしてもひるむことなく、堂々と パワフルに渡り合います。スタンダードの選曲もよく、聞き入って しまいますが、やはり彼女の最大の武器は”作曲”にあると思いま す。ラテン風の自作曲を聞いていると、ジャズはやっぱりオリジナ ル曲だなあと思ってしまうのです。聞き終えた後にいつまでも耳に のこるいい曲ばかりです。このアルバムもそうですが、オルガンを 加えたサウンドに面白みがあり、ソウルフルで、さらなる飛翔が期 待できます。
このアルバムはお気に入りの「スウィート・ラブ・オブ・マイン」 が入っているのでスイセンしましたが、一押しは彼女の自作の「砂 とスカート」のヴォーカル・バージョン(インストルメンタルは一つ 前のセカンド・アルバムに入っています。)。彼女の曲に歌詞をつ けたアレックス・キューバ・バンドのラテンどっぷりの歌がいい味 出してます。それを受けた彼女のいきいきとしたサックス・ソロが 、ジャズとラテンの切っても切れない絆と伝統を感じさせます。

「スターダスト」

市原ひかり(トランペット)
”スターダスト”より
stardust.jpg柔らかい音色でありながら、また時にはパッションのあふれたフレーズを次々と繰り出す。デビューはほとんど彼女の自作の曲による フュージョンでした。やさしい日差しのような、のびのびとした曲 調にいやされた人も多いでしょう。しかしセカンドはほぼストレー トなモダン・ジャズという選曲。カーペンターズの曲を入れるとこ ろが今風といいましょうか。いきなり路線を本格的な方にかえると ころ、かなり勇気があり大胆ともいえます。ジャズはやはり4ビー トということろですか。
父親がプロのジャズドラマーで、血筋といいいたいところですが、 以外にも大学まで吹奏楽でクラシックをやっていたそうで、クラシ ックの音楽大学に落ちて、ジャズ課のある音楽大学(洗足学園音楽 大学)に入ったのがきっかけだというから、何が幸いするかわから ない。やはり運命はジャズの”明るい表通り”につながっていたと いうことでしょう。
そしてスイセン曲の入ったサード・アルバムです。 有名な「スターダスト」これは原曲を変える人はほとんどいません 。それをゆっくり目のテンポでイントロが始めて、まるで別の曲の ようなメロディーを吹きます。メロディーパートの半分を受け持つ ベースの演奏でスターダストだとわかるような。そして途中小節数 を増やしているそうで、まだバースの部分というのにベースもアド リブを始めたりして、なかなか本編のメロディーにいきつかない。 少しやきもきした後にやっとあの美しいメロディー出てきます。待 たされた分に値するくらい幸福感にみちたプレイです。例えれば、 夜景を見ようと小高い丘に行ったら、まだ早くて日が暮れるまでし ばらく待った後、ようやく夜のとばりが落ち始め、宵の明星がきら めき、そして満天の星々が輝く。ふと眼下を見ると空からこぼれ落 ちた星屑のような街のあかりがまたたき、ほっとする幸福感に満ち たそんなふわっとした演奏です。
全体を通してみるとアイデアに満ち溢れたアルバムです。これを聞 くと、ジャズは楽しいなあ、やはりイントロが命だなあと思えるの です。昔のジャズが、その人の人生を全部背負ったような音楽とす れば、これは今風のしあわせを感じるジャズといえるのではないで しょうか。

「トーイズ・ジャム」

小林香織(アルト・サックス)
”グロウ”より
glow.jpgいいですねえ。マルタやスクエア、ナベサダにはまっていた自分に は、ワン・ホーンのアルト・サックスで吹きまくる演奏はこたえられ ませんねえ。デビューアルバムではシャニースの曲をカバーするな ど、音楽的な嗜好が広いようです。重い4ビートジャズをずっと聞 いていたり、コテコテなソウル・ジャズを聞きすぎてもたれたりし たら、何を置いてもこれを聞きましょう。さわやかな気分になりま す。そういった状態になくても、聞いていくうちに心が澄んで晴れ 渡るような感じがします。フュージョンもやはり最後は楽器そのも のの音、その人が奏でるメロディーが大切なのだとわかります。派 手に人工的に装飾された音楽はすぐ古くなり、シンプルなものほど 不変だと思えるのです。曲のトラック数が進むたびに、どんどん気 持ちが高揚して行き、楽しさでいっぱいになります。
彼女も前述の市原ひかりと同じ洗足学園音楽大学ジャズ科を卒業し ています。子供の頃からピアノエレクトーンを習い、中学で吹奏楽 部でフルートを演奏し、高校時代1年ぐらい音楽をやめていたが、 区民楽団のコンサートビデオのサックス奏者にあこがれて、アルト ・サックスに転向したのでした。ジャズは高校三年生の時からで クラシックからジャズへという1人ですね。
ほとんどが自作の曲ですが、中にはビージーズの「愛はきらめきの なかに」なども演奏しており、なんかこういう曲がこれからのニュ ー・スタンダードになるのかなあと思ったりするのでした。 スイセンの曲は、聞き終わってもフレーズが頭の中でリフレインし ているものを素直に選びました。

話は全然変わりますが、ギャオで「皆殺しのトランペット」
を見ました。禁酒法時代のジャズ・バンドの話で、
昔の映画過ぎて、かろうじて出演者のジャネット・リーと
リー・マービンの名前がわかるくらいで、主人公の
トランペッター役の人の名前は聞き覚えがありませんが、
エラ・フィッツジェラルドやペギー・リーなどの歌手が出て
いて、歌を披露します。
中でもペギーリー!!ジャケットの写真のまんまで感動し
ます。(あたりまえか)ギャングのボスの愛人の役で、
さらにアル中という難しい役を演じています。歌がさらに
いい。落ち着いた語りかけるような歌い口にしびれます。
9月1日まで配信しているそうなので、興味のある人は
見てみてください。


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2008年05月04日

フルカワJAZZ道場:いずくんぞ、馬のはなむけす

つつじ.png

ゴールデンウィークになりました。
行楽や旅行にでかけて、開放的になってついお酒を
飲みすぎるってこともあるんじゃないでしょうか?
旅といえば、高校の漢文の授業で、遠くの地に旅立つ
親友に、酒をくみかわして、別れを惜しもうと
いう内容の詩がありました。交通機関も発達していない
大昔のことですから、馬一頭に乗っての旅立ちは大変
困難で、再び合間見える保証はありませんでした。
今は文章も題名もほとんど覚えていませんが、
なぜか餞別の語源となった、”馬のはなむけす”
(別れを惜しむ者が旅立つ方位に相手の馬の鼻先を
向けてやる事がならわしだった)のみ
頭にこびりついて、ふと思い出すのでした。
今回のテーマは「酒」です。

「レッツ・ロール・イン・サケ」

原信夫とシャープス&フラッツ
”ダブル・エクスプロージャー”より
sake.jpg”さあ酒を飲もう”というこの曲は、秋吉敏子により作曲されたも のです。”サケ”とわざと日本的な言葉にしている通り、日本民謡 的なメロディーを持った曲になっております。イメージとしては、 お江戸日本橋と黒田節を足して2で割ったようなものでしょうか。 いかにも勇ましい武士のような曲といってもいいでしょう。
秋吉敏子の作曲は日本的な調べを特に強調して、それが成功してい る点でしょう。和的な要素がわざとらしくなく、古臭くもないモダ ンなサウンドを構成しているのは驚きとしか言えません。オーケス トラの持つダイナミックさも十二分に発揮した、思わず口ずさみそ うないい曲です。
A面は秋吉敏子による3曲、B面は藤井英一による2曲とラストに再 び秋吉敏子によるアルバム・タイトル曲の合計3曲で構成されてい ます。そのためA面とB面とはかなり印象の違うものになっていま す。藤井英一の方はミステリアスな調子の緊張感に満ちた曲で、ア ップテンポなアンサンブルの途中に急にバラードを挟むなど、アイ デアに満ち、アバンギャルドな空間を感じるパートもあり、秋吉敏 子の作曲と甲乙のつけがたいものがあります。
このアルバムために書き下ろしたいう秋吉敏子の代表曲”すみ絵” も収録されており、現在CDでも手に入るので、一度聴かれること をおススメします。

「ワインライト」

グローバー・ワシントン,jr.
”ワインライト”より
winelight.jpgこの曲との最初の出会いは、大学のとき友人が新しいスピーカーを買いに行くのについていった時、サウンドチェ ックの試聴用としてかけたものでした。まだCDは出始めの頃だっ たと思いますが、確かCDだったのではないでしょうか。そうだと するとまだ一枚4000円以上するもので、音の良さに感動したように 思います。それから20年以上たって、あの曲が急に聞きたくなり、 グローバーワシントン,jr.のアルバムを2枚ほど買いましたが曲名 がわからず、あきらめていました。ある時”プレイボーイ・ジャズ ・フェスティバル”のライブアルバムを買ったところ、2曲グロー バー・ワシントン,jr.の曲が収録されており、その1曲が”ワイン ライト”で一気に謎がとけたのでした。
このアルバムはジャケットからもわかるとおり、80年代初頭のフュ ージョンそのものというアルバムです。フュージョンを聞くことが オシャレといわれた良き時代でした。サイド・メンもスティーブ・ ガッドやエリック・ゲイル、マーカス・ミラーなど、自らもリーダ ーでレコードを出した一流のミュージシャンばかり。
サウンド構成はいたってシンプルで、無駄な音がありません。その 中をグローバーがサックスがワンホーンで吹き鳴らすという、聞き やすさが身上の作品です。他のフュージョンが時間を経て古くなっ ていく中、このアルバムはそうならず、エバー・グリーンなアルバ ムでなっています。

「スコッチ・ブルース」

デューク・ジョーダン
”デューク・ジョーダン”より
scotch.jpg 少しヘヴィーながらそれが嫌味にならない、メロディー・センスが デューク・ジョーダンにはあります。このアルバムはA面がトリオ 、B面がクインテット(バリトン・サックスとトロンボーンとピア ノトリオ)になっています。好みとしては管楽器が入ったものがい いのでB面でしょうか。曲調と管楽器でも低音楽器という組み合わ せで、ズシンと心に響く音楽です。
デューク・ジョーダンの評価は、昔はかなり冷遇されていたと聞き ます。ミュージシャンとして続けていけないほど仕事がなかったこ ともあったとか。しかし、ミュージシャン仲間からかなり支持が厚 く、レコーディングにはかけつけ、仲間から支えられたミュージシ ャンとも言えます。このアルバムを聞いただけでもそれがわかりま す。特別に新しいことをやるというのでもなく、個性的というもの でもありませんが、上質なジャズでくつろいで聞けるよさがありま す。そして”危険な関係のブルース””ジョードウ”などジャズの 歴史に残る曲の作曲者でもあるのです。
スイセンの曲はどこか外国の童謡のような、短いメロディーの繰り 返しから始まる曲で、コミカルな面味わいです。アルバムのエンデ ィングを飾るのにふさわしい、飲み会がお開きになるような物悲し さも秘めています。

一般にアルコールを必要以上にとりすぎると、
アルコール中毒となり、禁断症状が出で来るそうですが、
最近はCDを買わないと禁断症状がなりそうになります。
少しひかえなくては。(ムリムリ)


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2008年04月13日

フルカワJAZZ道場:たき火は焼きイモの枕詞

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昼間はだんだん暖かくなってきましたが、
夜となるとまだからきし寒いです。
昭和の頃は、暖をとるためのたき火をする人が
けっこういて、あたらせてもらったりも
しまして、その頃は”たき火”といえば”焼きイモ”
とすぐ連想するのでした。
今は住宅事情か使い捨てカイロの普及のせいか、
ほとんどなくなったように思います。
それだけではないでしょうが、時代とともに
近所付き合いや、季節の風情といったものも
自然と薄らいだように思えてならないのです。
今回のテーマは「火が燃える」です。

「ファイアー・ワルツ」

エリック・ドルフィー
”エリック・ドルフィー・アット・ ザ・ファイブ・スポットvol.1”より
firewaltz.jpgこのアルバムは学校を出て働き始めた頃に人から紹介されたもので 、その頃といえばビッグバンドの余韻を引きずっていたのために、聞 く物といえば大編成もの一辺倒のきらいがありました。 それまでコンボのモダン・ジャズを聞いてもあまりピンとこず、恐 らく体の奥底から感動した、コンボでは最初のアルバムといえるの ではないでしょうか。
エリック・ドルフィーとブッカー・リトル。
若くして亡くなったいう事実は、どうしてもドラマ性をかきたてま す。とくにこのアルバムの3ヶ月後にリトルが亡くなったことを考 えると、逆に命の輝きのようなものを感じてしまうのです。そのた め特に印象深いアルバムになったのでした。
聞くとわかるように冒頭からかなりダークです。薄暗いジャズ喫茶 でしか本当の良さが伝わらないのではないかと思えるぐらい、部屋 の照明が少しほの暗くなるイメージさえ受けるのです。
メロディアスなテーマと無機質なドルフィーのアドリブがなぜかピ ッタリきて闇雲にフリーなソロを展開していないことがわかります 。これぞアバンギャルド極まれり、といえます。エリック・ドルフ ィーは生前あまり認められていなかったと聞きます。だからこそブ ッカー・リトルという最良のバートナーを得て、暗くも熱いエネル ギーの波動を感じ取れるのでした。

「スロー・バーン」

バーニー・ケッセル
”オン・ファイア”より
slowburn.jpg何か007チックなジャケットですが、中身はホットなジャズ・ギター・トリオです。(ギター、ベース、ドラム)メロディーを奏でる楽器はギターしかなく、軽快なギターのソロに集中しやすいので、ジャズをあまり聞かない人にも、オススメではないでしょうか。もちろんジャズをよく聞く人にも楽しめるテクニックと歌心があります。
他にもバーニー・ケッセルは1956年度のジャズ雑誌の各楽器の人気投票の第1位を集めた”ポール・ウィナーズ”(他のメンバーはベース:レイ・ブラウン、ドラム:シェリー・マン)というグルーブでも人気を博しました。それだけでも名実共にそなわったプレイヤーと言えるでしょう。
スイセンの曲のイメージは題名からして”静かなる炎”でしょうか。一気に燃え上がるというのではなく、徐々にゆっくり炎が大きくなっていって、気が付くと曲の魅力に取り込まれています。
明瞭なサウンドのソロ・ワークは、肩肘張らずに聞けるジャズなので、イージー・リスニング好きの人にはジャズに進むのにもってこいでしょう。

「ハートに火をつけて」

ウッディ・ハーマン
”ハートに火をつけて”より
heartnihi.jpg ジャズのオーケストラがカバーした、元々はロックバンド、ドアー ズの代表曲です。伝記映画「ドアーズ」やこの題名をつけたデニス ・ホッパー監督の映画(アラン・スミシー名義。監督が途中で降り た場合によく偽名で使われる)もありました。「ドアーズ」という 映画の法では、ヴォーカルのジム・モリソンと一緒にドアーズを作 り上げた親友の役で、カイル・マクラクランが出演していました。 髪も金髪で、「ツイン・ピークス」のFBI捜査官クーパーとはがら りと違う演技をしていました。ジェリーマリガンやバド・シャンク など、多くの有名なプレイヤーを輩出しました。オハコの曲、ウッ ド・チョッパーズ・ボールやアップル・ハニーなどの代表曲とは別 に、その時その時の新しいヒット曲を取り上げるバンドでもありま した。80年代にはマイアミ・サウンド・マシーンの「コンガ」もレ パートリーに加え、レコードにも収録しています。
スイセンの曲は原曲よりややスローに演奏されています。原曲の荒 々しさとは違い、上品なポップスに仕上がっています。サックスの ソロがロックのスピリッツを表すかのようにうなっています。アン サンブルがそれとは好対照にエレガントにまとめられ、格調を上げ ているようです。

昔家に持ち運びが出来るくらいの小さな焼却炉が
ありました。なんどかゴミを焼くときにイモを
焼いて食べたのですが、ある時ゴミを焼き終わった
後見ると入れたはずのイモが見当たりませんでした。
あまりに火力が強くて小さなイモを灰にして
しまったのです。それ以来イモは焼かなくなったのは
言うまでもありません。
まだダイオキシンが問題になる前の話です。


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2008年03月15日

フルカワJAZZ道場:砂にけむるニッポン

rakudasabaku.PNG
つい最近、中国から黄砂が日本にやって
きました。もやっとした天候で、遠くも
よく見えません。車や建物の窓ガラスは砂だらけ。
おまけに今話題になっている”飛来物”は大気汚染
されていて、目が痛くなることもしばしば。
その前は光化学スモッグが襲来して、中国から
離れた日本にいれば大丈夫ということもなくなって
きました。
その昔、危険を冒してまで荒海に船で乗り出し、
経文を取りにいったあこがれの中国はいったい
どうしてしまったのでしょうか。(いつの話だそれは。)
とう言うことで、今回は「砂をかむ想い」ならぬ
「砂ジャズ」です。

クリスタル・ハーツのテーマ。音が出ます。クリックしてください。

「ブルー・サンズ」

チコ・ハミルトン・クインテット
”チコ・ハミルトン・クインテット”より
bluesands.jpgなにかとても幽玄な感じのする曲ですが、 昔yellowジャズのラジオ番組のテーマソングだったそうです。 こんな感じで番組が始まったらどっぷりはまりそうですね。 聞いていると、旅客機が沙漠の真ん中で不時着し、 謎の一団に捕らえられ、未知の王国の広間にひったてられ、 そこにきらびやかな衣装をまとって、豪華な輿に乗った 王が行進して来る、その太鼓の音のように響きます。 このアルバムはドラムをマレットで叩いもっとパーカッシブに 使っています。ベースとは別にセロを配し、クラシック的な味付け がされています。 でもやはり聞きものはバディ・コレットのフルート、アルト・サッ クステナー・サックス、クラリネットを使い分けたマルチな活躍で しょう。それにフレッド・カッツのセロの旋律が絡んで曲を盛り上 げていきます。ジム・ホールのギターもソロやバッキングに効果的 に使われており、ベースのカーソン・スミス、リーダーでドラムの チコ・ハミルトンと、ピアノのおらず、クインテットとしては異色 のサウンドです。1955年の作品ですが、きっと新鮮に耳に届くこと でしょう。

「デザート・ウインズ」

イリノイ・ジャケー
”デザート・ウインズ”より
desertwinds.jpg豪放磊落なテキサス・テナーの1人に数えられるイリノイ・ジャケーは名前は聞いていましたが、 いままで手に入れることがなかったのです。 自己のバンドを持たず、長らくフリーランスの仕事を していたため、いくつかのリーダー作があるものの 日本でリリースされるのも少ないらしく、これまで実際に どのようなプレイヤーなのか知る機会を持たずにきました。 たまたま中古CD(紙ジャケ仕様)で手に入れたのですが、 骨太のこれぞテナー・サックスという演奏で、 ウィリー・ロドリゲスのラテン・ドラム(ボンゴかコンガのようだ が)がリズムを強めており、スタンダードの曲がラテンタッチにな っています。 スイセンの曲はマイナー調の曲で、異国情緒をかきたてます。 ジャケットの砂漠の絵をみていると、ギラギラ照りつける太陽の下 をラクダの隊商が渡っていく姿が演奏にだぶりました。 アルバムの演奏曲を旅にたとえると、「ホエン・マイ・ドリーム・ ボート・カムズ・ホーム」での陽気な楽しさで夢を持って遠くの国 へ出かけ、「デザート・ウインズ」で灼熱の太陽を耐えながら、に 砂漠に吹き抜ける風で涼を得ながら勇気を奮い起こし、そして 「スター・アイズ」で夜は更け休息をとり、次の日もいろいろあり 、「ユー・アー・マイ・スリル」で困難に立ち向かいながら、 最後に「カナディアン・サンセット」で日が暮れる頃、街の灯が やっと見えてきたというところでしょうか。(カナディアンになっ いますがそこはイメージということで) まあ砂漠に引っ掛けすぎたきらいもなくはないです。、それにして もムーディーな「スター・アイズ」がこんなに陽気なラテン風味が 合うとは新発見ですね。

「サハラ」

マッコイ・タイナー
”サハラ”より
sahara.jpg ジャケットの裏を見てみると、「サハラ」1曲のみでB面が構成さ れています。分数を見たら23分28秒!1曲としてはかなり長いです ね。 フリー・ジャズのような冒頭のフルートやトランペットの 無軌道に漂う音の流れが、力強いマッコイ・タイナーのピアノのソ ロによって曲へとなっていくさまを見るようです。そしてソニー・ フォーチュンのソプラノサックスが奏でるメロディーがそれを引き 継ぎ、、曲を引っ張っていって、心地よい緊張感をたもちながら全 てのプレイヤーが一体になっていきます。合間に入るフリーなアプ ローチがあり、フルートが高音域を吹き、鐘が打ち鳴らされ、何か 祭囃子のようにも聞こえてきます。しばらくなにかの動物の泣き声 のようなソプラノ・サックスだかなにかのような音もあります。 それぞれのプレイヤーがパーカションや自分の得意楽器以外も使っ て音楽空間をさらに広げていきます。そしてマッコイのピアノが合 図のになってメロディーに戻り曲はエンディングを迎えます。 また他の曲ではマッコイが事も演奏しており、(和的な音楽への関 心というより、琴自体の音に興味をもったようなとくにメロディー のないの弾き方なのです)ジャズの表現の究極をきわめようとした テンションの高い演奏になってます。

こんなに砂で話が広がるとは思いませんでしたが、
曲を聞きながら、ジャケットを眺めながら
いろんな空想にふけれるのも音楽のいいところです。
実際砂漠を見たことは一度もありませんが、
(鳥取砂丘でさえないのです)見たような
気がするのは映画の影響でしょうか。


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2008年03月01日

フルカワJAZZ道場:川はただ流れてゆくのみ

nezumi5.jpg

川の思い出と言えば、あれはそう、就職して吉塚に
1人暮らしをしていた時、毎朝の通勤路の途中に
大きな川がありました。その川にかかるをの真ん中で、
朝日に光る水面を見ていると、水中から銀色に輝く魚が
飛び上がって、宙に舞うのを目撃したのです。
運がいいときは2度3度あちこちから魚が飛ぶのが
見れるので、それはまるでたった一人の観客のために
”川のサーカス団”が曲芸を披露しているようで、
なんとも不思議な光景だったのです。
あれは御笠川でしたでしょうか、遠く離れた今でも
そのことがフラッシュバックすると、
なぜかスイカの香りがする川辺の風を
思い出すのでした。
今回のテーマは「山とくれば川でしょう」です。

クリスタル・ハーツのテーマ。音が出ます。クリックしてください。

「隅田川」

フロント・ページ・オーケストラ
”ハーモニー・オブ・ソウル”より
frontpage.jpgこの前古い日本のオーケストラを紹介してきましたが、今回は2003年発表の新しい日本のオーケストラです。(といっても5年も前になりますが)
過去のオーケストラを見てみますと、有名なジャズやポップスのカバー曲の入っている割合が多いのですが、全曲オリジナルの意欲作です。
ビッグ・バンドでもソロイストのソロやアドリブに重きを置いているバンドが多く、アンサンブルはつけたしといったものもあり、(オールスター・セッション的なバンドはそういう傾向になりやすい)ビッグ・バンドと言うより大型コンボな感じがあったりするのですが、このバンドはアンサンブルを大事にしており、各パートの音のバランスのよさや丁寧な音作りが感じられ、各パートの音の絡み方にアンサンブルの妙があると思います。
スイセンの曲はスローバラードで、トロンボーンがソロをとります。 ジャズメンが曲名で日本語をつける例はありますが、「和」のイメージを簡単に想起させる単純な名前が多く、日本人自身が日常目にする川の名前をつけているのは、本当に珍しいのではないでしょうか。ソロイストの片岡雄三氏の叙情的なソロが聞かせます。作者でリーダーの三木俊雄氏も暇なとき、よくこの川を見ていたとか。この川は歴史からして日本人の、とくに東京に住む人々の心のよりどころとなり、いろいろな人々の生活をすべて包みながら流れていくようです。喜びも悲しみも。アメリカのミシシッピー川のように。

「クライ・ミー・ア・リバー」

ソニー・クリス
”アイル・キャッチ・アップ・ザ・サン!”より
illchatch.jpg1969年の作品です。
歌物ではジュリー・ロンドンが定番というところなんですが、この演奏もそれに引けをとらないと出来上がりです。むしろ言葉を交えずに語るのですから、表現的にむずかしく、泣きのアルトでせつなさをせつせつと表していると思います。たいていアルバムは一定のカラーやムードがあるのですが、このアルバムはその起伏が激しいように思われます。
らんちき騒ぎのような楽しい曲もあれば、さめざめと泣けるような悲しい曲もある。それをソニー・クリスの個性的なアルトが奏でると、いつのまにか曲のトリコとなり、聞く人の中の喜びや悲しみの共感する部分を揺さぶるのです。たとえその曲名も知らず、初めて出会った曲であっても。そして過去のジャズと現在の自分たちが知らないうちにつながって行くのです。ジャズのいいところですね。

「ムーン・リバー」

カウント・ベイシー・オーケストラ
”ゴールデン・ビッグ・バンド・ジャズ/カウント・ベイシー・オーケストラ”より
moonrive.jpg 原曲は映画「ティファニーで朝食を」の劇中でオードリー・ヘップバーンが歌った曲で、ヘンリーマンシーニとジョニーマーサーの共作で知られているものです。映画では少し寂しさを感じる曲調になっていますが、映画とはかけ離れて、楽しいポップなアレンジに変えたのは誰あろうクインシー・ジョーンズです。永遠の名曲としての親しみやすさが増してます。
このアルバムは「ジス・タイム・バイ・ベイシー」と「カウント・ベイシー/モダン・ジューク・ボックス」の2枚からそれぞれ7曲ずつ計14曲入っています。ポップ・チューンを集めた曲集ですね。
学生の頃、定期コンサート年1回開催していました。しかしお客さんは友人・知人・付き合いのあるサークルに限られますから、ジャズばかりやってもあきられるのです。でも本格的なジャズも演奏したいので、スウィング・ジャズやジャズ・ロックをやりながら、間に歌謡曲をやったり、ポップな曲を入れたりしてコンサートを構成していました。ベイシーで言えば、この曲のアレンジなどは、ポップな軽く聞きやすい部類ですね 。
今思えば学生ながら市民会館など大きな会場でやっていたので(応援や援助をしてくれた方々に感謝しています。)、舞台の上から見える客席や、色が濃すぎて楽譜が見えなくなる赤や青の照明、緞帳なにもかもがなつかしいです。

前回、動画が再生しないとの声があったので、
今回は音のみです。


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2008年02月17日

フルカワJAZZ道場:山はただそこにあるだけじゃない

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nezumisora.PNG
音が出るのでクリックしてください。音と映像を表示するにはFLASH PLAYER9が必要です。

FLASH PLAYER9のサイトに飛びます。支障がないよう、パソコンの環境が許す方のみインストールしてください。

今年に入ってからも雪山での遭難や雪崩の
ニュースがありました。 自然は恐ろしい。
それでも雪で覆われた山は究極の自然美だと 思うのです。
山は冬はスキーやスノボーとレジャーで人々
憩いととなり、やがて春となれば若葉や生命の
息吹でまた人を安らががせます。
山は穏やかで優しい面を持つ反面、
不用意に踏み込んだものや、なめてかかった者に
きついしっぺ返しをする魔の顔もあるのです。
今回のテーマは「おだやかな山、恐ろしい山」です。

「ポートレイト・オブ・ア・マウンテン」

マグリュー・ミラー
”キーズ・トゥ・ザ・シティ”より
portrait.jpgこのレコードはずいぶん前に買っておきながら、長年聞いてなかっ たレコードです。マグリュー・ミラーが注目の新人として登場して 評判をとっていたレコードだったので、勢いで買った部分はありま した。ただその頃は嗜好がビッグ・バンド重視だったので、ピアノ ・トリオという編成のよさがあまりわからなかったということもあ り、1、2回聞いて棚にしまったままになっていたのでした。
流麗なタッチで繰り出されるピアノ・サウンドは洗練されていなが ら穏やかな美しさで奏でられます。都会的いて、それで”山の肖像 ”というならば、街から見上げた山の姿を描いているのでしょうか 。それとも生まれ故郷のミシシッピ州グリーンウッドの山でしょう か。曲についての説明は簡単にしかかかれていないので、想像でし かないのですが。こうして再び聞きなおしてみると、このレコード をかけている空間には、優しいくつろいだ時間が流れていきます。 聞くところによると、ウィントン・ケリーやマッコイ・タイナーに かなり心酔しているようです。

「活火山」

原信夫とシャープス&フラッツ
”活火山”より
kakkazan.jpgトロンボーンの合奏と数人で合いの手のような手を打ち鳴らすリズ ムで始まる面白い曲です。火山に例えればモクモクとたちこめる黒 い煙と、パチパチはぜる火の粉でしょうか。それに続くオーケスラ の強いアタック音(強い音で吹き鳴らす、叩き込む音)。いっきに 大噴火の様相です。
トロンボーンのテーマが繰り返され、各パートの音の溶岩が周りを 埋め尽くし、それぞれの楽器の音が火山灰や溶岩や黒煙のようにジ ャズの地平をまったく違う姿に変えていくような勢いがあります。 この作品の出た1979年は、ジャズはフュージョンが主流となり、電 気楽器やロック・ビートが普通に取り入れられ、ビッグ・バンドも その影響を無視できなくなった時期のようです。作曲・編曲に”し かた たかし”氏を採用し、他にも日本の”音頭”をジャズ・ビート に変えるなど、斬新なサウンドを繰り広げていきます。
それにしても、レコードのラベルには”見本盤”とあります。レコ ード会社が宣伝用にレコード店や放送局などに配るもので、その後 シャープス&フラッツのレパートリーにもこのレコードの曲は取り 入れられていないことから、一枚の企画盤として終わったのでしょ うか?発売レーベルがスリー・ブラインド・マイス(TBM)なの で、CDで再発することはあると思います。

「北欧組曲」

三木敏悟 作・編曲/高橋達也と東京ユニオン
”北欧組曲 ”より
hokuou.jpg 実をいうとこのレコードには曲名に”山”のつく曲はないのですが 、ジャケットがとても印象的なので選びました。よく見ると山の部 分が人の鼻と指。その前にゲゲゲの鬼太郎に出てくる”二口女”( ふたくちおんな)のような人物が座ってピアノを弾いています。ま わりに北欧的な森林と家並みがコラージュされていて、全体的なイ メージは楽しいものになっています。見すぎると夢に出てきそうで すが。
1977年三木敏悟期待の新人アレンジャーとしてデビューしました。 しかし元々は東京ユニオンにテナー奏者として在籍しており、曲も 提供していたそうですが、その後5年半の海外武者修行を行い、その うち一年はジョージ・ラッセルに師事しました。そのためこれが本 格的なアレンジャー・デビューとなったのです。
この作品でも師匠のジョージ・ラッセルゆずりのモード理論を展開 しており、ドリアン・モードやリディアン・モードという教会旋律 を元にした幻想的な曲を提供しています。とはいえ日本人の作った 旋律のせいか、とても耳になじむメロディーになっていて、聞くほ どに新たな発見があるのです。
買った当時(確か80年代なかば)は東京ユニオンのレコードで手に 入るものはこの「北欧組曲」と「ブラック・パール」(昔を知る人 には”ひょうきんベストテン”のテーマに使われた曲が入っていま す。)しかありませんでした。”外国かぶれ”の傾向があった自分 にはジョージ・ラッセルはカッコいいが、三木敏悟はあまりわから ないといった具合でした。やっと聞ける余裕ができたというこのな のでしょう。
シンセサイザーでミッキー吉野が参加しています。シンセサイザー といっても1977年のことですから、初期の電子音楽のような音でし たありません。しかし風の音が効果的に使われ、北欧の寒さの厳し さを現しているようです。こちらのレコードもTBMで、CDとし て発売されたようですが廃盤らしく、中古レコード店ならレコード でよく見かけます。

この曲は八幡大学(現九州国際大学)吹奏楽部の
テーマです。もう25年近く前の音になりますが。
今は部員が誰もいないそうなので、
またこのテーマがかかる日を祈ってここにのせました。


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2008年02月04日

フルカワJAZZ道場:温暖化でも寒いものは寒い

guiter02-2.jpg

東京では雪が降りましたが、こちらは幸か不幸か
降らずにすんでいます。それにしても寒い、寒い。
水も凍るように冷たい。かぜを引いてしまって
なかなか直りません。
今回のテーマは「クール、コールド」です。

「お外は寒いよ(ベイビー、イッツ・コールド・アウトサイド)」

アン・マーグレットとアル・ハート
”美女とペット”より
anmag.jpgこの歌は”母親が心配するから”とか ”父親が(娘の帰るのを待ちわびて)暖炉の火のはぜる音を聞きなが ら部屋をそわそわ歩き回る”からといろいろ理由をつけて早く帰ろう とする恋人を、”外は寒いよ””手が氷のように冷たいよ” ”もう半分飲み物を飲んでいきなよ、注ぐ間にレコードをいくつかか けるから”と、なんとか引き止めようとする”言葉のかけあい”のデュエット曲に なっています。
このアルバムが作られた1962年はちょうどアン・マーグレットは歌手 や女優として、アル・ハートはジャズ・トランペッターとしてやっと 注目され出した頃で、のりに乗った歌が聞けます。
実をいうとこのレコードを買った当初、アル・ハートの演奏を聞きた くて買ったのですが、歌が主で、しかも風貌とは違う甘い歌声だった ので、さらに甘いアン・マーグレットの歌声とあいまって甘さにもた れるくらいの印象が残り、長らく聞いてなかったのですが、ひさびさ に聞いてみると、甘さは感じるものの、アンマーグレットの表情豊か な歌唱とアル・ハートの歌の掛け合いが、まるでミュージカルの一場 面のようで、拙いまでも辞書を引いて歌詞を直訳して、少しながら意 味がわかってくると、見えるはずのない映像まで思い浮かぶようでし た。その上楽器にアル・ハート・モデルと名前が付くほどのトランペ ットの名手たるアドリブも聞くことができ、意外と拾い物だったのだ と気づく一枚なのです。
ちなみにアルバムの原題は”ビューティー・アンド・ザ・ビアード” (美女とほおひげ)といい、お察しの通り”美女と野獣”をもじった ものです。

「クール・アイズ」

スタン・ケントン・オーケストラ
”ビッグ・バンド黄金時代 スタン・ケントン”より
kenton.jpg直訳すれば”冷たい目”。もっと深い意味はあるのでしょうが。 田舎から出てきた人が、都会の危ない場所に迷い込んだ時に浴びせら れる周りからの冷たい視線や、ギャングが一仕事始めようとして、獲 物をにらむ時のひしひしと伝わる緊迫感といった感じの曲です。
1940年代~1950年代に活躍したスタン・ケントン・オーケストラは、 実験的なビッグ・バンドというイメージが強く、楽譜も手に入らない せいか、学生だった頃(もう20年以上も前)は、九州では演奏する 大学のサークルはほとんどなかったですね。グレン・ミラーや ベニー・グッドマンほどなじみがなく、ベイシーやバディ・リッチと 比べれば古い感じがやはりある。しかし改めて聞いてみると、 アレンジもかなり凝っているし、ビッグバンドのリーダーになる前の メイナード・ファーガソンがハイ・ノート(誰にもマネできない高音域!) を炸裂させていたことを考えると、ダンス・バンドと言うより聞かせる バンド、明らかにモダン・ビッグ・バンドの部類にはいるのでしょう。

「コールド・テーター・ストンプ」

クラーク・テリー・ビッグ・バンド
”クラーク・テリー・ビッグ・バッド・バンド・ライブ ”より
clark.jpg このクラーク・テリー・ビッグバンドは1974年にアメリカ中西部の10日間の演奏旅行を目的に臨時バンドとして 結成しました。そして1975年のダウンビート誌でニュービッグバンドの 第1位に輝いた実力をもビッグ・バンドです。メンバーはリーダーで トランペットのクラーク・テリーをはじめ、サックス・セクションが ジミー・ヒース、アーニー・ウィルキンス、フィル・ウッズ、ピアノに デューク・ジョーダンとそうそうたる顔ぶれです。
このレコードは1974年のウイチタ・ジャズ・フェスティバルでの ライブ録音で紹介の曲はその最後を飾る曲となっています。臨時とは 思えないほどの迫力のあるアンサンブルと、ジミー・ノッティンガム のミュート・トランペットのソロが楽しい演奏を繰り広げます。タイ トルの”コールド”とは違う熱い盛り上がりの中、このコンサートは 幕を閉じます。
このレコードの他の曲にはケニー・ドーハムの「ウナ・マス」が演奏 されます。ジミー・ヒースの編曲により、コンボの曲のビッグ・バン ド版というのを越えたダイナミックな曲になっています。原曲を聞い たことのない人でも、聞いたことのある人は更にぶっ飛ぶ、大興奮に なること請け合いの一曲です。
画像が小さいのでわかりにくいかもしれないですが、ジャケットの 表にはクラーク・テリー、裏面にはアーニー・ウィルキンスのサイン が書かれています。いったいこのレコードどんな巡りあわせで自分の もとに来たのか、不思議で貴重なレコードです。

暖房をガンガンつけているのも、結果的には
温暖化を助長するんでしょうが、
そうもいってられません。
皆さんも風邪には気をつけましょう。


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2008年01月15日

フルカワJAZZ道場:あけましておめでとうございます。

nezumi3.jpg

年が明けて少し経ちましたが、
遅ればせながら本年もよろしくお願いいたします。
2008年1回目ということで、今回のテーマは
「新年のごあいさつ」です。

それでは

amoji.png






HAPPY「サムタイムス・アイム・ハッピー」

デューク・ジョーダン
”シグナルⅡ”より
signal2.jpg演奏自体からハッピーさがあふれているような、そして聞いている方もハッピーになるような、そんな曲です。ジジ・グライスのクセのないストレートな吹き方がとてもこの曲に合っているようで、かろやかでメロディアスな旋律が心をあったかくします。でもよく見ると”サムタイムス”なのです。いつもではないのです。

この曲がヒットしたのは1927年「ヒット・ザ・ディック」というミュージカルに使われた時ですが、作曲したヴィンセント・ユーマンスはすでに1923年にこの曲をミュージカルに使おうとしてカットされ、歌詞をアーヴィング・シーザーに書いてもらったものの、2回目に使ったミュージカルは地方公演のみ。3度目の正直でやっと評判になったのでした。スタンダートと呼ばれる曲でも、いくつかは最初からヒットせず何回目かでヒットにこぎつけるという曲も珍しくありません。しかしこの曲は題名も、曲の内容も「幸せも、悲しみもあなた次第」ということなので、紆余曲折をする運命だったのかも。

このレコードはA面のアルト・サックスがジジ・グライス、B面がフィルウッズ、リズム隊もピアノのデュークジョーダン以外全て変わっているので、お得です。曲も「イッツオンリーアペイパームーン」や「ユード・ビー・ソーイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」(ヘレンメリルの曲がよくCM使われています)などが入っていて、聞きやすく、楽しみながら穏やかに聞けるので、オススメです。

NEW「ニュー・ブルース」

バディ・リッチ・ビッグ・バンド
”テイク・イット・アウェイ”より
newblues.jpgニューといっても昔のニューですが、何かの映画の主題曲のようにかっこいいバラードです。バディ・リッチはダイナミックな速い曲だけではなくて、こういったブルースも聞かせるのです。アンサンブルとリズムが一体になっていて、どんなテンポの曲でも聞く人の耳を釘付けにするのです。
またこのアルバムには「マシーン」というバディ・リッチのためにあるかのような曲が入っています。緩急を使い分けたこの曲のきわめつけは、メロディーに導入する前のベースのフレーズが粋で、わくわくさせます。たとえばベースを弾くならこの部分だけでもマネしたいと思うように。
バディ・リッチもビッグ・バンドを始めた当初は、カウント・ベイシーに捧げるアルバムを出しているぐらいで、お手本にしていたようです。このアルバムにもベイシー風のアンサンブルの曲があり、その影響が伺えます。

YEAR「ア・ハンドレッド・イヤーズ・フロム・トゥデイ(今日から100年)」

ドリス・デイ
”センチメンタルジャーニー”より
year.jpgドリス・デイは歌手というイメージより、女優というイメージが自分の中では強くあります。子供の頃、土曜日の夜7時か7時半になると、「ケセラセラ」の曲が流れる番組がありました。ドリス・デイが一家の主婦で、二人の子持ち(確か男の子1人とと女の子の1人)毎回騒動が起こるが最後には解決してハッピーエンド。内容は覚えていませんがそんな記憶が残っています。また高校生以上になってら深夜放送の 映画劇場で、必ずロック・ハドソンとの共演でラブコメをやっていました。(釣りをしたことのない釣り評論家と恋に落ちる女編集者など)まだアメリカ人の中にアメリカン・ドリームという言葉が生きていた頃の、幸せな時代の物語なのでした。
本国でも日本でもジャズ歌手というよりポビュラー歌手といえるのでしょうが、「センチメンタル・ジャーニー」をはじめとするスタンダードを歌わせてもやはりウマい。フィーリングもジャズそのものです。人を感動させる歌手はジャンルを越えるんですね。
歌の内容は、

ペントハウスを欲しがっても、
それは女王が似合うものさ、
大金を持っていても、何の意味もない、
今日から百年たてば。
月の輝きの良いしるしさ、もっとそばに寄って、
ぼくのものになるといってよ。
覚えていて、この月の輝きも今日から百年たてば、
ぼくらは見られないのだから。

という恋の歌です。

今回使いましたネズミは、
年賀状に使った"チャタヌガ・チュー・チュー・バンド"の
メンバーです。
もったいないので、
別の背景を合わせて作りました。


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2007年12月23日

フルカワJAZZ道場:神の子はみな踊る

学生の頃、北九州のどこの銀行か信用金庫か忘れましたが、クリスマスのダンス・パーティーの演奏のアルバイトの依頼がきた事がありました。まあ、時代も時代ですから、松田聖子の「夏の扉」(その頃トップ・アイドルだった。)を演奏すると爆笑が起こり(冬に夏もないものだ)、みんな踊りにくそうでしたが、何曲か歌謡曲の他にも「黒いオルフェ」や「キサス・キサス・キサス」などボサノバやラテンの曲を用意していたので、やっと少しずつ踊りの輪が広がっていったのでした。あの頃はボサノバやラテンがダサいとバンド・メンバーは言っていたけど、今はカッコイイ、オシャレだと誰もが聞く時代がこようとは。変われば変わるものです。
今回は「レッツ・ダンス!!!!!!!」

「ザ・コンチネンタル」

レイ・アンソニー・オーケストラ
”キャンパス・ランパス”より
campus.jpgこのバンドはジャズ寄りというよりはダンス・バンド寄りの楽団です。バンド・マスターのレイ・アンソニーはグレン・ミラー楽団にも在籍していたこともあります。主にキャンパスやボール・ルームで人気があったようです。グレンミラー風あり、カウントベイシー風あり、その上バンド・マスターのレイのトランペット・ソロありと、スウィング・オーケストラとしては盛りだくさん内容となっております。ブラス・アンサンブルの間に挟まれるトランペットのソロが、懐かしいジャズ・エイジのロマンチックな慕情をを呼び起こすようです。
優雅に踊る人達の集うボール・ルームが見えるような、軽快なメロディーで始まりますが、途中で”そよ風と私”風のメロディーにがらりと変わり、ユーモラスな表情が急にムーディーに変わるのが面白いところです。レイのトランペットのハリー・ジェームス楽団ほどソロが前に出ていないが、ソロに入るなりみんなの耳を釘付けにする、隠れた主役的な位置がとても印象的です。
ジャケットのイラストがとても目を引きます。レイ・アンソニーはケーリー・グランドに似ていたそうなので、真ん中の人物は本人かもれ知れませんね。

「オパス・ワン(作品一)」

サイ・オリバー・オーケストラ
”センチメンタル・サイ”より
opus.jpgトミー・ドーシー楽団のレパートリーでもあるこの曲は、元々サイ・オリバーの曲です。サイ・オリバーはジミー・ランスフォード楽団やトミー・ドーシー楽団で活躍した名アレンジャーで、自ら歌い、トランペットも吹きます。スイセンの曲は音の出だしが超絶スタッカート(ものすごく速い)なので、度肝を抜かれます。気持ちよくスウィングする威勢のよい曲です。他にも同じアルバムに入っている「シカゴ」は、混声コーラスを巧みに使うアレンジがいい味をだしています。
サイ・オリバーのリーダーアルバム以外でも、クリス・コナーの「バードランドの子守唄」でも3曲共演しています。特に「アスク・ミー」は掛け声のようなコーラスと口笛の使い方が粋で、歌声と演奏のコール・アンド・レスポンス(掛け合い)が楽しいので、そちらも聞いてみるといいかもしれません。

「僕はセンチになって」

トミー・ドーシー楽団
”ザ・ベスト・オブ・トミー・ドーシー”より
senti.jpgミュージカル映画全盛の頃、ジャズ・オーケストラのバンド・リーダーは俳優としてひっぱりだこで、本人役で楽団とともにいろんな映画に出て、粋な演奏を当然よく似た俳優が出演するのですが、本人が自伝映画に出ていた例もあります。それが「フュビラス・ドーシー・ブラザーズ」、トミー・ドーシーとジミー・ドーシー兄弟です。
子供の頃から父親に楽器を教え込まれ、オーケストラを組んでヒットをとばし共に成功していくのですが、音楽的な意見の食い違いから、ケンカ別れをします。それぞれ自分の楽団を持って別々の道を歩む2人ですが、やがて父親の死をきっかけに和解するのです。なんか日本のナントカ兄弟と似ていますね。でも父親の死でも和解しなかった花○兄弟はどうなるのでしょうか。勝手な心配をしています。
スイセンの曲は多くのプレイヤーがカバーしている物悲しく心寂しさを感じるメロディーです。スイング・バンドのトロンボーンのソロ曲としても1、2を争うものでしょう。

そして演奏が終わって、パーティーの幕は降りました。
最初終わった後で残った料理を食べてもいいという ことでしたが、結局すぐ片付けるので早々に退散して 欲しいと言われ、何も手がつけられませんでした。 (まあ弁当は出ていたと思いますけど。)
それでも鳥の丸焼きをビニール袋に詰めて帰った 強者もいて、本当にアッパレでした。


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2007年12月19日

フルカワJAZZ道場:お詫びと訂正

今年の8月に紹介したベン・シドランのCDをかなり
見当違いをしていました。
輸入盤なのであてずっぽうなことを書いていたのを
お詫びします。
そもそもアルファベット読みで”クレメンタイン”と読んだ
のがそもそもの間違いで、本当は”クレモンティーヌ”
でした。あー恥ずかしい。フレンチポップ界では結構
有名な人らしいのですが、こっちが知っているのは
ボサノバを歌っているCDがあるというくらい。
実は1987年にジョニー・グリフィンとベン・シドラン
のレコーディングにデモテープを持っていって認められ、
デビューはジャズ・ヴォーカルだったらしいです。
1枚目がジョニー・グリフィンとの共演で「コンティノン・
ブルー」、2枚目が紹介したこの「スプレッド・ユア・
ウィングス」です。
感想は変わりませんが、事実関係においてここに深く
お詫びし、訂正します。

2007年12月16日

フルカワJAZZ道場:いつも心に太陽を

どんよりと雲が空一面にたちこめた凍えるような冬の朝、
はるか彼方の空の穴から、光のカーテンのように
ふりそそぐ光の帯を見ました。
その場所に行ってみたいとも思いましたが、
でもそこが特別なのではなく、
こことは違う形のあわただしい朝が
始まっているだけなのでしょう。
寒い冬だからこそ、「サンシャイン・ジャズ」です。

「ルイ・ライズ・アゲイン」

ルイ・ベルソン・ビッグ・バンド
”150MPM”より
louierides.jpg1974年の作品。ルイ・ベルソンはベニー・グッドマン、トミー・ドーシー、デュークエリントン楽団に在籍したことのあるドラマーで、ビッグ・バンドのリーダーとなってからも多くのアルバムを出してい ます。しかし、現在手に入るCDはカウントベイシーのスモール・コンボや、その他のジャズ・プレイヤーがリーダーのジャム・セッションだけで、日本ではかなりあつかいがマイナーな扱いになっていますが、ビッグ・バンド作品を聞いてみると、カウント・ベイシーやバディ・リッチと比べても遜色ないパワーと曲のクオリティーを持っています。
英語に詳しくないのではっきりいえませんが、曲名の中の”RIDES”には”日がのぼる””ジャズで好演する”という意味があるそうです。ジャズ・メンの曲名やアルバム・タイトルには、「〜ライズ・アゲイン」という名をしばしば目にします。けっこう好んでに使われているのかもしれません。
オープニングのこの曲は、ゆっくりとしたテンポのブラス・アンサンブルで始まります。それはまるで日がのぼり始める光景がに似ています。その後、急速テンポにチェンジし、この曲の本当のテーマ(メロディー)が現れます。迫力のあるアンサンブル、いきなりアップ・テンポになったり、スローテンポになったりする曲の構成の面白さ、それだけでもビッグ・バンドの魅力を十二分に発揮していますが、なんといってもこのバンドの一番の特徴はリーダーの”歌うドラム”にあると思います。ドラマーはバックで正確にリズムをキープし、アドリブをするプレイヤーの後ろでドラミングであおったり、ドラムソロで他を圧倒したりしますが、よく聞いてみるとまるでトランペットの裏でトロンボーンやサックスがハーモニーをつけたりするように、ドラミングでハモっている風に感じるのです。そこにこのルイの多才な力量と歌心を確認したのでした。 他にもアレンジャーのドン・メンザの「スパニッシュ・ジプシー」という、スペイン情緒たっぷりの物悲しく美しいトランペット・ソロの名曲もありますのでぜひとも再発売してほしいアルバムです。

「オン・ア・クリア・デイ(・ユー・キャン・シー・フォーエバー)」
(晴れた日に永遠が見える)

スタンリー・タレンタイン
”レット・イット・ゴー”より
clearday.jpg1965年に上演されたミュージカル「晴れた日に永遠が見える」の曲で、1970年にバーブラ・ストライザンドとイブ・モンタン主演で映画にもなりました。14回も転生した女性と精神科医の恋の話で、昔テレビの深夜放送で見た覚えがあり、ストーリーは覚えてませんが不思議な感じの映画だったと記憶しています。
1966年発表のこの曲は晴れ上がった青空のようなメロディーなので、タレンタインの演奏もいくぶんさわやかな感じを受け、奥さんだったシャーリー・スコットのオルガンがここでは澄み切った空気感を与えてよりポップな乗りにに乗った演奏を繰り広げていきます。同じ組み合わせでも曲によりブルージーにもなるので、面白いところです。

オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ストリート

ディジー・ガレスピー
”ソニー・サイド・アップ”より
sonnyside.jpgディジー・ガレスピー!ソニー・ロリンズ!ソニー・スティット!その名前だけでもスゴイ組み合わせです。いつもならこの曲が入っていてもパスするのですが、ディジー・ガレスピーが歌っているというので買ってみました。ルイ・アームストロングばりの歌はわざとそうしているのでしょうか?なかなか味があります。よく知っている曲なのに演奏者が変わればまた新鮮に聞かれますね。実は2曲目の「イターナル・トランアングル」が素晴らしい。スピード感のある曲でテナー・サックス中心のバトルが繰り広げられます。モノラルなのに遠くから浮かび上がって前に出てくるようなガレスピーのトランペットのバッキング、さらにテナーの二人をあおっているようです。14分10秒という長尺の曲なのに一瞬たりとも崩れない、だれない。2人のバトルの後、真打登場のようにガレスピーのアドリブ・ソロが現れます。ビーバップを作ったジャズ・ジャイアンツの名のとおり全てを超越した演奏が始まります。そして最後は3人の合奏で締めくくり。
1954年の作品ですが、最近のCDは音がよくなりました。ベースとドラムの音がホーン楽器に負けないくらいズンズン前に出てきます。スタジオ録音だというのに叫びのような掛け声がかかったり、空間を感じ取れるガレスピーのトランペット、音量を大きめにして聞くとさらに臨場感が増してオススメです。(程度はほどほどに)

あっという間に1年がたってしまいました。
回数は40回と少し足りませんが、
よく続いたものだと思います。
ペースはなかなか上がりませんけど、
これからも更新していこうと思います。


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2007年12月02日

フルカワJAZZ道場:しぶがきジャズ

昔は冬になると、軒先に縄つるされた柿が
ある家をよく見ました。
柿の木のある家でも渋柿の所はそのままでは
食べられないので、干しているとやがて甘くなって
いきます。 柿の中のタンニンが変化するからで、
最初から甘い柿だと渋柿ほど甘くならないそうです。
今回は渋くてやがて甘い、「しぶがきジャズ」をお送りします。

「セイ・ユーア・マイン」

ドナルド・バード
”キャット・ウォーク”より
sayyoure.jpg1958年から数年間このトランペットとバリトン・サックスという変わ った組み合わせのクインテットは活動しました。そこに1959年ピアノ のデューク・ピアソンが加わり、1961年に録音されたのこの「キャッ ト・ウォーク」というアルバムです。
スイセンの曲はドナルド・バードのトランペットとペッパー・アダム スのバリトン・サックスのハーモニーが美しい哀愁を帯びたミディア ムテンポのバラードです。特に気だるく入るにフィーリー・ジョー・ ジョーンズのドラムのバッキングがせつなさを強めいています。デュ ーク・ピアソン作曲はいまでは高く評価されていて、このアルバムで も6曲中3曲、内1曲がバードとの共作となっています。「セイ・ユー ア・マイン」もさすがピアソンと言える渋くて甘い印象に残る曲です 。(まあ、ピアソンにはもっと大甘の”スイート・ハニー・ビー”と いう曲がありますが。)
他にもカウント・ベイシー楽団で有名なニールヘフティ作の「キュー ト」が取り上げられています。本家とは違うテイストのこれぞハード ・パップの典型といった演奏が楽しめます。ドラムのフィーリー・ジ ョー・ジョーンズの火の玉ドラムは他の曲よりもいっそう強力になっ ていて、バディ・リッチをほうふつとされるものになっています。( 事実1940年代にバディ・リッチ・ビッグ・バンドのセカンド・ドラマ ーでした)

「天使」

ギル・エバンス・オーケストラ
”プレイズ・ジミ・ヘンドリックス”より
angel.jpgギル・エバンスの音楽との出会いは本当に偶然の重なったことでした。大学生の時、夏は六甲山ホテルで焼肉のウェイターのバイトしていました。これは八幡大学(現九州国際大学)のサークルのいくつかがサークル単位でまとまってバイトをしていたからで、元は卒業生が六甲山ホテルに就職したことに始まるようです。それから夏になると母校にアルバイトの募集をかけるようになったと聞きます。
卒業を来年にひかえた3回生の時(バイト3年目)、とにかく神戸を拠点に観光できるところはいってみようと、大阪、京都、宝塚と休みごとにでかけたのでした。宝塚に行ったとき、別に宝塚歌劇を見よう というのではなかったので、ぶらぶらしていると、大学生のジャズ・フェスティバルのポスターが貼っていました。そこで関西学院大学かどこかの演奏で「ブルース・イン・オービット」をやっていたのです。地元に戻ってから早速福岡で探して買いました。それ以来ギルエバンスのとりこになり、ずいぶん買いました。
ギル・エバンスはフリー的な要素はあるものの、アバンギャルド・ジャズに入るでしょう。ロック的な要素もあり、それがこのジミ・ヘンドリックス・カバー集です。ジミヘンがギルとの共演の企画で組まれていましたが、亡くなったためにギル・エバンス・オーケストラだけの演奏で作られたのでした。一部ボーカルをトランペットのマービン”ハンニバル”ピーターソンが歌っています。ジミヘンばりでなかなかうまい。ジミヘンのカバーはギルのそれ以後の十八番になって、ライブでは必ず演目に入っています。そののち、ロック・スターとの共演はスティングによって果たされますが、その時のレパートリーにもジミヘンの曲は取り上げられています。
「天使」のソロはデビッド・サンボーンです。オープニングになっているこの曲は、取り上げられているのはこのアルバムのみ。サンボーンの泣きのアルトのソロ・プレイのすばらしさに唯一無二のものになったのでしょうか。ジミヘンの元曲を聞いたことがなくても心に染み入るメロディーですのでぜひ聞いてみてください。

「アイ・コンセレント・オン・ユー」

J&K(J.J.ジョンソン&カイ・ウィンディング)
”ザ・グレイト・K&J.J.・ウィズ・ビル・エバンス”より
jjk.jpgこれもコール・ポーターだったのかと後で知ったものです。なぜか聞き覚えのある曲、それもそのはず、昔封切られた「地中海殺人事件」(アガサ・クリスティー原作)を見にいったからです。もちろんその頃はジャズ好きでもなく、ニュー・ミュージックのファンでラジオの深夜放送の「コッキー・ポップ」なんかを聞いていた時代でした。映画はその頃は学割でよく見にでかけていたのですけど、映画音楽もよく聞いていましたから(その頃の音楽のメインはレコードではなくラジオでした。)、もう下地はできていて、刷り込まれていたんですね。
一人一人でもリーダーを張れるプレイヤーが、しかも同じ楽器でコンボを組んだのですから、普通個性がぶつかりそうなものですが、神がかりなほど美しいハーモニーは、後に続く複数のトロンボーン・バンド「スーパー・トロンボーン」や「スライディング・ハンマー」などスタイルのお手本ともいえるでしょう。
本来の活動は1954年から1956年の2年間ほど。そんな短い期間(常に変動していたジャズにとっては十分に長いかもしれないが)の演奏活動がジャズにおよぼした影響を考えると、驚異的といえるでしょう。
このアルバムは1960年にインパルスレーベルが企画した再開セッションで、スタンダードといえる曲がつまっています。サイド・メンもビル・エバンス、ポール・チェンバース、ロイ・ヘインズ、アート・テイラーとそれぞれの楽器のバーチュオーソが集まった感があるので、非の打ち所がありません。
trombone.png

どんどん寒くなっていきます。
いずれジングル・ベルが街中に
ながれることでしょう。
西洋的な行事と和の
正月が普通に行われている
ことがおもしろいですね。


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2007年11月15日

フルカワJAZZ道場:渡り鳥北へ帰る

冬になると、渡り鳥が編隊を組んで帰っていきます。
逆に日本に戻ってきて、越冬する鳥も。
季節が過ぎて、社会も変わっていきます。
政府も安倍内閣から福田内閣に変わりました。
そしてあと一ヶ月と少しで年号も2008年へと
変わっていきます。
今回のテーマは「かわる、かえる」です。

「放蕩息子の帰還」

スーパー・トロンボーン
”ハロー・ヤング・ラバーズ”より
houtou.jpgこのアルバムをやっと手に入れました。
以前ネットで注文して廃盤と返事が返ってきて、 落胆していたのですけど、最近中古CD屋で手に 入れました。なぜそれほど思い入れがあるかと いうと、それはこの曲との出会いまで遡ります。
以前社会人になってからアマチュアのビッグ・バンドに 参加していた時、いくつかイベントがありました。 その中の一つに、豊前天狗太鼓との共演があり、 その時に用意された曲が「カムイの剣」とこの 「放蕩息子の帰還」だったのです。
豊前天狗太鼓は和太鼓の演奏と神楽の踊りがミックスされた 興味深いもので、しかも結構動きの激しいストーリー性のある 踊りです。こっけいな踊りで会場がドッと笑いに包まれた後、 演奏が始まるというものでしたが、意外と和の踊りと洋の演奏が これほどまでに合うとは。そんな驚きと共にこの曲が 思い出として刻まれたのでした。
演奏したのはオーケストラバージョンでしたが、元はレギュラー 4人のトロンボーンと3人のゲスト・トロンボーン合計7人にリズム隊 3人という最大10人編成のスモール・ビッグ・バンドで、 低中音サウンドの迫力を楽しめます。テンポのいい ロック調の曲と、息の合ったハーモニーには震えがくるでしょう。

「ユー・ブ・チェンジド」

ジョニー・グリフィン
”スタジオ・ジャズ・パーティ”より
studio.jpgこのアルバムは、スタジオをパーティー会場に見立てて、親しい友人 を集めて録音した珍しいものです。
ジョニーグリフィンのテナー・サックスのおもいっきりスローなバラ ードで始まったと思ったら、まるで観客の反応を楽しむかのように、 同じメロディーを急に速いテンポで吹き出したりと、気心が知れた者 たちの雰囲気が生むノリのよさが、音にも表れた楽しいライブです。 なかでも「ユー・ブ・チェンジド」はデイヴ・バーンズのトランペッ ト・ソロがフューチャーされた美しいバラードで、演奏にしっとりと した潤いをあたえています。パーティの終わりが近づくのを感じて、 なごりを惜しむような寂しさも聞き取れるようです。
どうも最後の曲の「ロウ・グレイヴィー」と前に紹介した「ブルース ・フォー・ドラキュラ」は同じ曲のようです。「ブルース〜」の方は ジョニー・グリフィン作となっていますが、「ロウ〜」の方は司会進 行役でヴォーカリストのバブス・ゴンザレスの曲ということで、マイ ルス・ディヴィスの例を出すまでもなく(バンドの他のメンバーが作 った曲もマイルス作でクレジットされていた。)、ジャズの場合はそ のあたりが明確でないものが時々あります。(故意かどうかはともか く。)

「フレンズ」

チック・コリア
”フレンズ”より
friends.jpg「おいおい最後は駄ジャレか」と思った方、半分当たっています。
しかし、これは歴史的にも有名な”ジャケットをとりカエル” 事件が起こったアルバムです。オリジナルはアメリカの有名な”青い 小人”(ベルギーのスマーフ)の人形をジャケットに使っていたので すが、版権の問題で使用できず、日本盤では急遽発売時にこのカエル たちの人形に”とりかえる”ことになってしまいました。 今ではそれも解消されたようで、CDはその”青い小人”の人形の写 真に戻っています。でも日本人的にいうとこちらの方も捨てがたいで すね。
やはりスイセンは表題曲の「フレンズ」でしょう。名前通りにフレン ドリーでさわやかなフルートとエレクトリックピアノのメロディーを 聞いていると、どこまでも心が開放されていくようなくつろいだ感じ になっていきます。さりげないサンバ調のリズムを支えるベースやド ラムの音さえも、ウェーブに乗っているような心地よさです。
akira2.gif

街もイルミネーションで飾られて、
季節の移りかわりをまのあたりに
しています。
きれいなクリスマス・ツリーを
見つけました。
またたく星のようです。
あなたの街にもありますか?


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2007年11月05日

フルカワJAZZ道場:秋深し!まんぷくメニュー!!

昭和の頃なら、いたる所に定食屋があって、
一軒で事足りたんですが、今はメニューが
細分化されていて迷ってしまいます。
迷った挙句、いつもと同じものしか食べなかったりと
いうのはよくあります。結局安心できる味が
一番なんですかね?
という訳で、今回は安心できる
「オススメまんぷくメニュー」です。

「ブレック・ファースト・ダンス・アンド・バーベキュー」

カウント・ベイシー楽団
スイセン曲「イン・ナ・メロートーン」
mellowtone.jpgここだけは原題のアルバム名です。なぜかというと、日本でのアルバ ム名は「ライブ・イン・マイアミ」。マイアミでのライブ・レコーデ ィングだからです。ベイシーには他にも「ファーマーズ・マーケット ・バーベキュー」というアルバムの中に、”ブルース・フォー・ザ・ バーベキュー”という曲もあります。それでもこのアルバムを推すの は、「イン・ナ・メロートーン」(デューク・エリントン楽団の曲) があるからです。楽器のセクション対セクションの楽しい掛け合いの 後、親しみやすいメロディーが続きます。合間に入るベイシーのピア ノ・ソロもこのビッグバンドのカラー作り出していて、ベイシー楽団 のミディアム・テンポでも強力にスウィングするサウンドの凄さを十 二分に引き出している曲です。ライブでのオハコのレパートリーにな っています。

「ソウル・イントロ〜ザ・チキン」

ジャコ・パストリアス・ビッグ・バンド
”ドナ・リー・ライブ・アット・武道館'82”より
chicken.jpg 本当はもっと早くこの曲を紹介したかったのですが、今回やっと実現できました。ジャコ・パストリアスを買うようになったそもそものき っかけは学生ビッグ・バンド時代にこの曲を演奏したからでした。曲 を覚えるために原曲を聞き、初めてベースという楽器がメロディー楽 器に匹敵する力があることを知りました。普通ならそれだけ突出した ソロイストがいると、ビッグバンドの方は添え物になってしまうので すが、音楽監督のボブ・ミンツァーの力により、負けないぐらいの素 晴らしいアンサンブルを披露しています。それとこのバンドの特筆す べき点はスティール・パンとチューバでしょう。スティール・パンの 高音の涼しい耳当たりのいい音が異国風のイメージを与え、低音部を 支えるチューバとベース・ラインが曲を引き締めています。アドリブ でさえ何度か聞くと口ずさんでしまいそうな、心の躍るノリのいいジ ャズ・ロックです。

「ビッグ・マック」

バディ・リッチ・ビッグ・バンド
”ザ・ロア・オブ '74”より
bigmac.jpg最近ビッグ・バンドやブラック・ファンク・ジャズのコンピレーショ ン・アルバムが何枚か発売され、その中で取り上げられました。もと は1974年の作品で、再評価されたため、バラエティーのBGMなどでも 使われているようです。このレコードのジャケットのごとく、収録曲 もスピード感のあるテンポの速い曲が何曲か入っています。今はCDで 発売されていますが、以前は輸入レコードでやっと手に入れるしかな く、国内盤は「タフ・デュード」という名前で、コンボ編成の演奏1 枚とビッグ・バンドの演奏1枚の2枚組みで発売されていたようです。 アレンジはアーニー・ウィルキンス。ベイシー楽団で編曲主任をして いたこともあり、自分自身でもビッグ・バンドのリーダーをしていま した。この曲はミディアム・テンポのブラック・ファンク・ジャズで す。特にイントロ部のエレキ・ギターとソプラノ・サックスが絡むフ レーズがカッコイイです。 ライナーノートがないので詳しい事はわかりませんが、ハンバーガー ではないでしょう。(CMで使われても違和感のないいい曲です。) 話かわりますが、今の大食いブームを受けて”メガ盛り”とか”メガ ・マック”とか出てきたみたいですね。昔だとビッグ・マックでも十 分大きいと思ったもんですがねえ。
trumpet1.gif


ジャズでは飲み物やデザートの名前の
付いた曲は多くあるのですが、
料理の名前のついたものは
少ないようです。
まあ、全部の曲を知っている
わけでもないですから、
限られた範囲ということで。


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2007年10月28日

フルカワJAZZ道場:オバケが来たりてジャム・セッション

10月31日はハロウィンです。
いろんなイベントなどがあって、
最近では定着してきましたね。
いろんな魔物や霊がやってくるので、
魔よけの火を焚いたり、仮面を被ったりしたのが、
カボチャのランタンや仮装になったようです。
今回は「ハロウィン・ジャズ」です。

「ブルース・フォー・ドラキュラ」

 フィーリー・ジョー・ジョーンズ
”ブルース・フォー・ドラキュラ”より  
dracula.jpg諸聖人の日の旧称"All Hallows"のeve(前夜祭)Halloweenと呼ばれるようになったそうです(ウィキペディアより)。ケルト人の収穫感謝祭がカトリックに取り入れられたもので、墓参りをしたり送り火をしたりと、日本で言うお盆の行事に似ています。カボチャのランタン(ジャク・オー・ランタン)を作ったり、子供たちが仮装をして家々を回って”トリック・オア・トリート”(お菓子くれなきゃ、いたずらするぞ)と言うそうです。
ハロウィンの仮装にはドラキュラもあるようなので、このアルバムがピッタリでしょう。昔このアルバムはヒットしたそうなので、知っている方もあるかもしれません。ナレーションが入っていて、一風変わっています。なんといってもこのジャケットがインパクト大でしょう。
まるでラジオドラマのスリラーのような怖さを駆り立てるナレーションの後、しのびよる影のような緊迫感のあるメロディーが続き、ナット・アダレイの叫びのようなアドリブが曲をもりたてています。演奏は他にもテナー・サックスのジョニー・グリフィン、ピアノのトミー・フラナガン支える一流のものなので、キワモノではないのでぜひ聞いてみてください。

「ビーウィッチド」

アル・グレイ
”ベイシック・グレイ”より
grey.jpg唄物で有名ということですが、インストルメンタルの物しかもっていないので、その中からの紹介です。アル・グレイはベイシー楽団に入っていたことがあり、そこで多くのトロンボーン・ソロをフューチャーした曲を演奏しています。プランジャー・ミュートを駆使した温かみとユーモアをもっていて、JJ・ジョンソンや会ウィディングにもない独特の個性を持つ存在です。2枚組み、計4面のレコードで、曲によってハービー・ハンコックやボビー・ハッチャーソンも参加していますが、このビーウィッチドは同じベイシー楽団出身のトランペットのジョーニューマン、ドラムのソニーペインがサイド・マンということもあり、アレンジがビッグ・バンドのコンボ化といった感じですね。スローな曲を叙情たっぷりに唄っています。

「キャンディー」

山中千尋
”アウト・サイド・オブ・スウィング”より
chihiro.jpg子供たちはお菓子をもらうということを聞いて、日本でも確か建国記念日だったかわかりませんけど、お米を持っていって”旗アメ”をもらっていた昔を思い出しました。今でもあるのでしょうか?日本の行事もだいぶ欧米化してきていますから、日本独自のものも大事だと思うのですがねえ。
山中千尋は最近注目されている女性ジャズ・ピアニストの1人です。レーベルが澤野工房時代は、それほどビジュアルを重視していなかったようですが、最近はヴァーブに移って、路線変更か前面に出したジャケットになってきました。見た目とは違い演奏は力強いです。オーソドックスなモダン・ジャズ継承するだけでなく、意識的に不協和音も曲に取り入れ、それでいて全体の流れを壊さず、思わず引き込まされる力があります。全体を通すと曲調は少し重いかも。その中で、アルバムの最後になるこの曲は、ピアニカ(小学校で習った人もいるかもしれない)を使ってくつろいだ演奏をしています。どこか聞き覚えのあるメロディーがさわやかです。

いろいろ探してみましたが、カボチャの曲は
やはりありませんねえ。ハロウィンを取り上げた
曲もなく、他の記念日と違って大騒ぎするイメージ
ではないのかもしれません。
日本では神様が出雲から帰省する日に
(神無月の最後の日)、
西洋では魔物がやってくるというのは
何か面白いですね。


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2007年10月22日

フルカワJAZZ道場:スポーツの秋・スポーツのジャズ

なぜかスポーツの秋とよく言われます。 10月には「体育の日」があり、昔から各学校などの 運動会が集中するので、なんとなくそんなイメージを 持っていました。
「体育の日」はいつ決まったかというと、1964年(昭和39年) 「東京オリンピック」の開会式のあった日を記念して、 1966年(昭和41年)に始まりました。 では本当に寒くなる前に「スポーツ・ジャズ」です。

「キュート」

カウント・ベイシー楽団
”キュート”より
cute.jpg カウントベイシー楽団は数多くのヒット曲がありますが、ベイシーらしさが出ているのは、この曲でなのではないでしょうか。ニール・ヘフティが作曲したこの曲は、以後ライブでも何度か演奏されています。曲調は題名どおり”キュート”といえるメロディーで、ダイナミックな演奏の他のベイシーの曲と比べると、洗練された都会的な感じがします。メロディーを一聴するとそんなに速い曲のようには思えませんが、フルートソロを聴くと以外に速いテンポだというのがわかります。それを楽々と演奏しているように見えるのがベイシーの凄さでしょう。 この他にもクインシー・ジョーンズやサミー・ネスティコ、ベニー・カーター等のアレンジャーを迎えて、多彩な展開を遂げていくのでした。ベイシーが野球選手の格好をしているのもユーモラスで面白いジャケットです。

「ミスター・スティット」

エリック・アレキサンダー
”ヘビー・ヒッター”より
heavyhitters.jpg ジャケットは演奏しているメンバーが野球選手に扮しているもので、アメリカン・フット・ボールに人気で追い抜かれているとはいえ、いまだにメジャー・リーグは根強い人気のようです。 1997年の作品なので10年前の作品ですが、まだそんなに経ってないはずなのになぜか懐かしい。若手なのにエリックの演奏は古いスタイルのジャズを彷彿とさせるよさがあります。ただオールドスタイルというのではなく、昔のブールノートを思わせるようなクールでシャープなサウンドの漂う曲作りがとてもかっこいい。録音がルディ・ヴァン・ゲルダーによるものというのも影響があるかもしれませんが。 スイセン曲はピアノのハロルド・メイバーンの作で、テナー・サックスの豪放磊落な雰囲気をよく活かした作品で、今は亡き”ソニー・スティット”に捧げた曲です。

「ストーム・アット・サンナップ/ラブ・ミー・ナウ」

バディ・リッチ
”スピーク・ノー・イビル”より
evil1.jpg

evil2.jpg
野球物が2つ続いたので、今度は空手?です。でもこれは空手の方が裏ジャケです。2つ並べているのは、中古レコード屋で探す人ののため。(探す人はいるのかな?)表ジャケットは少しセクシーな3人の黒人美女の写真になっています。内容がソウル・ミュージックぽいビッグ・バンドの曲になっているので、こちらの方がイメージに合っていますが、多くのバディ・リッチのアルバムは、バンド・リーダーのバディ・リッチの写真を使っているので、それはそれで裏面の方で全開となっているのでしょう。時代的にも1976年はブルース・リーブームの真っ只中ですし。でもアクション映画のオマージュとして見ると、表ジャケットも007のように思えてきますね。 そんなパフォーマンス好きのバディ・リッチのTV出演を昔見たことがあります。番組の名は『ルーシー・ショー』。日本でも人気のある長寿番組でした。あまりに長くて、最後のシーズンには、ルシル・ボールの本当の2人の子供が、劇中でもルーシーの子供の姉弟役でレギュラー出演していました。(その前番組のアイ・ラブ・ルーシーでは、本当の夫と劇中でも同じように結婚した所から始まっています。)その中の一話を紹介しましょう。

弟は学校のドラム・コンテストで優勝を狙います。その賞品は音楽学校への入学と奨学金。でもいくら練習してもうまくなりません。
その時母親のルーシーはひらめきました。
"一番ドラムのウマイ人に習えば、優勝できるだろう"と。
”だったらバディ・リッチに習えばいいじゃないか!”
(普通思っても実行に移す人はいませんけど。)
最初は渋っていたバディ・リッチを口八丁手八丁で丸め込み、何とかコーチを引き受けさせます。そのかいあってか、弟はコンテストで優勝!!
が、なぜか優勝を辞退するのでした。
それを聞いたバディ・リッチは烈火のごとく怒りますが、
”2位だった友だちの家が貧乏で、奨学金がなければ音楽学校に進めず、彼に譲った”と理由を聞き、本当に良い事をしたとほめるのでした。

ソウルっぽい曲で固められたアルバムですが、中で1曲バディ・リッチらしい組曲風の曲があります。
スローなトロンボーン・ソロから始まる前半の曲から急にハイテンポにうつるあたり、”やはりこうでなくちゃバディリッチじゃない!!”と思わせるドラマチックなスティックさばきがすばらしい、そして前半の曲につながる「ストーム・アット・サンナップ/ラブ・ミー・ナウ」をスイセンします。


今回はどちらかというとジャケット紹介でしたが、
ジャケットだけ見ても楽しい、曲を聞いて楽しい。
2倍楽しみが増える気がしませんか?



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2007年10月07日

台風はそれるにこしたことはない

今年は台風がもう何度かやってきましたが、
最近のは被害が大きいようです。
直撃でなくても、道路は雨水があふれて、
まるで川の浅瀬を渡っているぐらいの水位!
いまだに台風発生というニュースを聞くと、
ハラハラしますね。
今回は「嵐を呼ぶ音」です。

「エアジン」

メイナード・ファーガソン
”ニュー・ヴィンテージ”より
airegin.jpg 原曲はソニー・ロリンズの曲ですが、こちらの方を先に聞いたのでインパクトが強く残っています。おそらくこれ以上ないというほど 速いテンポで演奏しています。
メイナード・ファーガソンのハイ・ノート・トランペット(基音のドのから3オクターブ以上の高い音がで るであろう)を中心に、彼のオーケストラが嵐をまきおこすような演奏を繰り広げます。
曲調から砂嵐か竜巻のようなイメージを持っていたのですが、 AIREGINを辞書で引いてみてもありません。それにAIRの後の”E”が気になる。 最初は造語かなとも思ったのですが、いろいろ調べてみたら、どうも”NIGERIA”(ナイジェリア)を逆さまに読んだものと分かりました。言葉遊びだったんですね。
メイナード・ファーガソンは「ロッキーのテーマ」や「スタートレックのテーマ、最近では「ブラスト!」のコマーシャルで使っている曲などで有名で、ファーガソンをはじめ高音域の出るトランペット・セクションのハーモニーが売りです。オーケストラ自体が爆発するような瞬発力のある演奏なのでぜひ一度聞いてみてください。

「アイ・オブ・ザ・ハリケーン」

V・S・O・P
”ニュー・ポートの追想”より
newport.jpg お酒のような名前ですが、こちらはベリ・スペシャル・ワン・パターンではなくて、ベリ・スペシャル・ワンタイム・パフォーマンスです。
1976年ニュー・ポート・ジャズ・フェスティバルのハービー・ハンコ ックの演奏活動ふりかえる企画の一つで、マイルス・デイヴィス・バ ンドの卒業生のハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウイリアムスが、リーダーのマイルスとの再会コンサートを計画していたのですが、マイルスが演奏活動の休業に入っていたため、急遽マイルスの代わりにフレディー・ハバートを参加させて結成されたバンドです。
”マイルス抜きのマイルス・バンド”と絶賛されました。最初は言葉どおり”一度限りの特別興行”のつもりだったのですが、大反響となり、一定期間継続されて日本にもコンサートにやってきました。その時のライブは何枚か発売されていて、一つ一つがもはや伝説になっています。
曲自体難しいリズムの、台風のようにクルクルと進路の変わるめまぐ るしいメロディーです。まるで兄弟のように息の合ったプレイを披露 します。ライブなので、曲間にメンバー紹介をするときのくつろいだ 雰囲気が楽しい2枚組のアルバムです。

「ストーミー・ウェザー(荒れ模様)」

リナ・ホーン
”ストーミー・ウェザー”より
stormy.jpg 1933年”コットン・クラブ”に出演するキャブ・キャロウェイのために詞:テッド・ケーラー、曲:ハロルド・アーレンにより作られた曲です。その時はエセル・ウォーターズが唄いヒットしました。
1943年同題名の黒人オール・キャストの映画「ストーミー・ウェザー」が公開され、その映画で主演を勤めたリナ・ホーンが唄い、それ以来彼女の持ち歌となりました。
リナ・ホーンは1917年生まれ。映画やミュージカル、クラブなどに多く出演し、ニューヨークやラスベガスで活動して、ラスベガスの女王とも呼ばれました。
紹介している曲は女性ヴォーカル・シリーズのサンプリング盤「Sing!」(2枚組)の中一曲です。最近同シリーズは再発されました。録音音源が古いのか、かなりノイズが入っていますが、デジタルのおかげか歌声はクリアです。
危険な物をはらんだ不穏なイントロから一転、明るい声の情感をたたえたスロー・バラードが登場します。オールド・タイムな雰囲気の歌唱とジャケットがおススメです。

不謹慎なようですが、台風の過ぎた次の日の朝は、
空気がすがすがしいような気がします。
いろんな物が落ちていて、
漁港から魚を入れる発砲スチロールの箱や木箱が
飛んできたときは驚きました。


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2007年10月01日

美しい国ニッポン

1970年代〜1980年代はフュージョンの全盛期でした。
コマーシャリズムに乗り、多くの曲が人々に親しまれ、
日本人のジャズ・プレイヤーも多く海外に進出しています。
では、その前は?その時期にメイン・ストリームなジャズは
やっていなかったのでしょうか。 今回のテーマは「ニッポン・ジャズ」です。

「ソウルフル」

日野皓正クヮルテット
”アローン・アローン・アンド・アローン”より
hino.jpgこの最近「和ジャズ」としてレコード・コレクターやクラブDJが 昔の日本人のジャズを集めるようになり、急激に注目されるように なりました。それらは市場に出回っている数が少なく、今では一部の復刻盤を除いてなかなか手に入りにくくなりました。
これは1967年日野皓正の初リーダー作です。アドリブのフレーズに 後のフュージョンで成功した彼の片鱗はうかがえるものの、 まだきらびやかなトランペット・サウンドにたどり着く前の 演奏です。むしろ正統派のジャズ・プレイといってもいいで しょう。
当時の日野皓正は白木秀雄クインテットに在籍しており、 ベルリン・ジャズ祭にも同クインテットのメンバーとして出演し、 このアルバムのタイトル曲でもある「アローン・アローン・アンド・アローン」も演奏して、この録音はアルバムとしても出ています。
スイセンの曲は、テンポのいいリズムの大野雄二のピアノ 演奏にのって、自由自在にソウルフルな演奏を繰り広げています。

「オーディオ・クリエイトvol.2 ジャスト・フレンド」

石川晶とカウント・バッファローズ他
”オーディオ・クリエイト ジャスト・フレンズ”より
ishikawa.jpg1975年リリースのこのアルバムは、A面とB面が違うバンドのカップリングになっています。とはいっても、何人かのメンバーの入れ替わりはあるものの、多くのメンバーが共通しているので、同じ演奏だと思いきや、A面はスタンダード・ジャズ、B面はスティービーワンダーやアース・ウィンド・ファイヤーなどロックテイストと、まったくカラーの異なったナンバーが並んでいます。共通するのはアレンジャーの鈴木宏昌だけ。彼は昔テレビのバラエティーで”コルゲンさん”の愛称でジャズを披露していました。
石川晶とカウント・バッファローズは、ジャズ・ロックで有名なようですが、ここでは堂々とるドライブ感のあるオーケストラル・サウンドをやっています。
アレンジがジャスト・フレンズのようにゆったり目の曲を少し速く、 フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンを思いっきりゆっくり演奏したりと、メロディーを引き立たせて構成されているようです。
ライナーノートには曲やプレイヤーの紹介より録音機材や状態の方が詳しく載っており、”聞く前にオーディオのチューニングをしよう”と書かれているので、どうもオーディオ・チェック用のレコードのようです。録音はかなりいいでしょう。通常オーディオ・チェック用のレコードは、音はいいが演奏はよくないというのが言われていますが、バラエティーに富んだ選曲といい、アレンジといい、簡単にパスするには惜しいレコードです。

「ニカズ・ドリーム」

鈴木勲
”ストリングバンドフューチャーリング・イサオ・スズキ”より
suzuki.JPG最近のマイ・ブームに”鈴木勲のレコード”があります。何の気なしに買った「ブルー・シティー」のレコードの演奏に打ちのめされ、いきなりファンになりました。
普通ベースで曲のメロディーを演奏しようとすると、どうしても 音がくぐもったようになり、何かはっきりせずモヤモヤした感じが して、気分よく聞けたことがありません。しかし鈴木勲の”音”は抜けきっており、腹の底にズシンと響く。それでいて、演奏が重苦しくなることはなく、逆にウォームな軽快さを感じます。スウィング感というものでしょうか。
ここでは鈴木勲はピッコロ・ベースを弾いており、メンバーは ハンク・ジョーンズ、ロン・カーター、ロイ・ヘインズとストリング・カルテットです。録音は1978年で、ちょうど”ライブ・アンダー・ザ・スカイ'78”で来日していた3人と共演したものです。
ストリングス物はよくありますが、さらにダブル・ベースというのは あまりないのではないでしょうか。明らかにベースに焦点がしぼられている感じですね。アントニオ・カルロス・ジョビンの曲「ラメント」が中でも一番ストリングス・カルテットとサウンドが融合していて カッコよさの極致です。

ジャズほどスタイルの変化が激しい音楽はないと思います。
時には流行によって、半ば強制的にスタイルを変えざるを
得ない場合もあるようです。その中で自分の意志を貫くこと
(ジャズを演奏すること)は、美しい生き様のように思えるのです。
政府が安倍内閣から福田内閣に変わりました。
地元としては、安倍さんに早く元気になってほしいです。


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2007年09月16日

シルバー・ジャズ

おじいさま、おばあさま、
ごきげんよう。
あなたたちの青春時代はどんな曲を
聞いていましたか?
蓄音機にかけられたSP盤の中に、
ラジオの流れる洋楽の中に、
きっとジャズの曲もあったのでせうね…。

今回のテーマは「オールド」です。

「俺は老カウボーイ」

ソニー・ロリンズ
”ウエイ・アンド・ウエスト”より
cowhand.jpgこれはソニー・ロリンズの定番中の定番なので、ご存知の人も 多いと思いますが、今回に合わせて紹介となりました。 立派な鼻ヒゲをたくわえた老カウボーイがこれまた年老いた 馬に乗ってパッカパッカ通り過ぎていく光景が浮かびます。 コミカルなメロディーですが、ロリンズの豪快な太い音が この曲に威厳をあたえているように感じます。 それに、ジャケットの悦にいったロリンズの表情が素晴らしい。 奇をてらったものではなく、ジャズに遊びは必要だよという 余裕のようなものが漂っています。

「オールド・フィッシャーマンズ・ドーター」

ダスコ・ゴイコヴィッチ
”スウィンギング・マケドニア”より
macedonia.jpgまあこれの本当の主役は"娘"ですけど、”老漁師”という部分に魅かれました。漁に出て行く父を見守る娘でしょうか。帰りを 待ちわびる娘でしょうか。そう考えていたら、「老人と海」の ようだなとふと思いました。あっちのほうは子供(血のつながりはない)でしたけど。 幸いにもスペンサー・トレーシー主演の映画を見ていました。 セリフよりナレーションが頻繁に入る分、ドキュメンタリーぽい 印象を受けたのを記憶しています。スペンサー・トレイシーの 日に焼けたシワ深い顔が、原作と重なるので必見です。 曲の方はこのアルバム唯一ともいえる実験的なイントロから美しい メロディーのバラードへと続きます。曲中の娘が誰よりも美しい と思わせる、きれいな旋律です。 他にもアランフェス協奏曲を彷彿とさせる曲もあり、 このアルバムは様々な色合いの糸を紡いで作り上げた織物のような作品です。

「オール・マン・リバー(オールド・マン・リバー)」

カウント・ベイシー・ビッグ・バンド
”ザ・ベスト・オブ・カウント・ベイシー・ザ・ルーレット・イヤーズ”より
olmanriver.jpg これは”オールド・マン”となっていますが、人ではなく ”ミシシッピー川”のことです。もともとはミュージカルの 「ショウ・ボート」の中の曲で、1951年の映画「ショウ・ボート」を見ると、黒人の農夫の悲哀を唄った曲です。(酔っ払って歩くだけで牢屋に入れられるという時代が悲しい)しかしミシシッピー川はそれを何もいわず、ただ流れていくという内容です。 この曲は演奏の極限といえるほど速い曲で、最初にこの曲を 聞いたのもこのアレンジでした。でも、原曲はとてもスローな テンポの曲で、黒人霊歌のような雰囲気の曲なので、その違いに 驚いた曲の一つです。ジャズ・メンには速弾き、速吹きがステイタス といえるのか、スローな曲が鬼のように速いテンポで演奏される 場合が多々あります。(ビル・エバンスの枯葉は一つの例)少人数ならともかく、それをビッグ・バンド全体で一糸乱れず演奏するのですから、逆のようですけど、原曲のスローよりハイ・テンポの方がワクワクしていいですね。

今回はいろいろな職業の人が出てきて、
”はたらく老人”になりました。
また違う機会に、SP盤で流行った曲を
探し出せたら紹介します。


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2007年08月29日

ボサノバの旬はやっぱり夏

彼女はそれまで普通の主婦でした。
まさか台所で鼻歌を唄っただけで、
別の人生が訪れようとは思わなかった
でしょう。
その日の来客を迎えるまでは。
そして”新しい”音楽は生まれていった!
今回のテーマは「昔ボサ・今ボサ」です。

昔ボサ

「イパネマの娘」

アストラッド・ジルベルト
”ザ・エッセンシャル・アストラッド・ジルベルト”より
gilberto.jpgボサノバを代表する女性歌手ですが、スタン・ゲッツとの 共演によりジャズ・ファンにもなじみの深い1人です。 冒頭の逸話は彼女のデビューの時の話で、ギタリストで歌手の 夫ジョアン・ジルベルトの元に訪れたプロデューサーが、彼女を 見初めてこの歌を唄わせたのでした。1963年にジョアンが ポルトガル語で唄い、アストラッドが英語詞で歌い、スタンゲッツが演奏したこの曲は大ヒットし、ボサノバの中でも一番知られている曲といってもいいほどです。
ボサノバとは”新しい傾向”という意味で、元はブラジル音楽の サンバ・カンソンをルーツにしています。しかし、スロー・テンポで 絶望感を唄うサンバ・カンソンに馴染めない若者たちは、ジャズや アメリカのポピュラー音楽と融合させて、ボサノバを作ったのだと いいます。それがアメリカのジャズ・メンに広がったのは、ブラジルが一時軍事体制に入って、多くのミュージシャンがニューヨークへ移住したからでした。
曲の内容としては、イパネマの海岸をサンバのリズムで歩く、若く 日焼けした美しい娘に思いをよせる歌で、日本でいったら「モンロー・ウォーク」のような曲です。(海岸と歩く姿がミソ)
昔ボサ

「ハイ・インセンシティブ」

笠井紀美子
”キミコ・カサイ・インパースン/フューチャーリング・オリバー・ネルソン”より
kasai.jpgこのアルバムは1973年東京郵便貯金ホールでのリサイタルの ライブ盤で、原信夫とシャープス&フラッツのジャズ・オーケストラ に、シャンブル・サンフォニエットというストリングス・オーケスト ラ加えた編成になっています。笠井紀美子はこれが初めてのソロ・ リサイタルで、かなり力を入れていたようです。このリサイタル は2部構成で、録音されているのは2部だけのようです。
最初は他の曲ユー・ド・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・ トゥを目当てに買ったのですが、ストリングスをバックにした この曲を耳にして、いいようのない夏の終わりの寂しさを感じました 。開演日が9月だったからでしょうか、カーニバルの後のような、やるせな い胸を打つ歌となっています。
ちなみにタイトルのハイ・インセンシティブとは、”お馬鹿さん” という意味だそうです。
今ボサ

「ウェーブ」

ハリー・アレン
”アイ・キャン・シー・フォーエバー”より
allen.jpg はじまりから夏の海辺を思い起こさせるアレンジです。
アルバムの1曲目を1日のはじまりにたとえるなら、夜明けからようや く日が差し始めた浜辺で、まだ淡くきらきらと輝く水面の光を浴びて砂浜を歩き ながら、いい1日が始まる予感がしている、そんなイメージです。
ハリー・アレンはどちらかというとボサノバのレパートリーの方が 多いプレイヤーです。かといってポピュラーに流されているのでもな く、ジャズのスタンダード曲の方もきっちり素晴らしい演奏をしてい ます。つまり両方の使い分けを楽しんでいるようです。
このアルバムは前に紹介したスタンダードのアルバムに比べると 演奏に幾分かリラックスが感じられるようです。むやみに音を付け足すのではなく、 彼独自のタイム感覚とメロディーラインで新しい息吹を注ぎ込んでいるようです。
サックス・プレイヤーは、4ビート・ジャズとフュージョンを使い分ける人が多くいます が、メインストリームのジャズと、ボサノバの使い分けもアリかなあ と、ハリー・アレンを聞いていて思うのでした。
今ボサ

「マシュケナダ」

安井さち子
”マイ・ウィル"より
yasui.jpg この曲は有名すぎて、ヴォーカルだと同じようなイメージがつきまとってしまいますが、おもいきってインストルメンタルに した方が、その演奏者の色がでるようです。楽しく力強い音に 心が弾むようなサウンドで、耳慣れた曲が生まれ変わったようです。
アルバム一枚の中には何曲かは素晴らしいが、他の曲はちょっとイマイチ というものが少なくないです。だけどこのアルバム自体演奏者の表現力の 勝ちでどの曲も一聴の価値があります。有名曲か自作曲かを知らなくても、 十二分に楽しめる作品になっています。
自作曲では「ザッツ・ザ・スピリッツ!」がオススメ。

ボサノバも日本人に受け入れられて、
今では一年中かかっているようです。
少し冬のスイカのみたいですね。
あと少し本当の旬を楽しみましょう。


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2007年08月16日

ひんやりデザート始めました。

JazzCafe.gif

期間限定のジャズ・カフェの開店です。
冷たいものあります。
ぬくいの置いてません。

「オレンジ・シャーベット」

カウント・ベイシービッグ・バンド
”ベイシー・イン・ヨーロッパ”より
orangesherbet.jpgこれはカウント・ベイシーが亡くなった後に、 未発表のライブ音源が発掘されて発売された ものの一枚です。70年代初めの録音となっているが、 曲目をみると、1975年リリースのアルバム「ベイシー・ ビッグ・バンド」に収録されている曲が何曲かあるので、 半ば前後ではないのでしょうか。ミュンヘン、南フランス でのライブ演奏を集めたものです。ベイシー・ビッグ・バンドは、 ほかにもスウェーデン、ロンドン、日本と、いかに勢力的に ツアーを繰り広げていたかがわかるというものです。 各地で多くのファン声援を受けながら、ライブ盤を多く残して いるのですが、録音技術のためか、ベイシーの元気だった頃に 出したライブ・アルバムは、あまり音のいいものはありません でした。しかしこのレコードを含め、発掘されたものは録音 状態のいいものが多く、ファンにはベイシーよりの最後で最高の プレゼントとなったのでした。その後バンド出身者のサド・ジョーンズ、 フランク・フォスター、グローバーミッチェルをバンド・リーダーに 迎えながら、バンドは存続していくのですが、選曲のためか、段々 ベイシー・イズムが薄くなっていった気がします。
スイセンの曲はミュートをつけたトランペット1本ともう1本 トロンボーンの2本でメロディーのソロをとります。これはよく ベイシー・ビッグ・バンドがとる手法です。なんともユーモラスで 軽妙な、冷たいシャーベットを食べたときのようなさわやかな曲です。
ベイシーには、このアルバム以外にも、フルートのソリ(フルート 中心のメロディ演奏)とフルーツをひっかけた、「フルート・ジュース」 という曲もあります。

「ミルク・シェイク」

ケニー・クラーク=フランシー・ボーラン・ビッグ・バンド
”オープン・ドア”より
opendoor.jpgケニー・クラーク=フランシー・ボーラン・ビッグ・バンドは、 ケニー・クラークとフランシー・ボーランの双頭リーダーのバンドで、 主にヨーロッパ中心に活動していました。ケニー・クラークは1952年に MJQに参加、1955年に脱退後パリに渡って、自分名義のオーケストラでも やっていましたが、ジジ・カンピの後押しでフランシー・ボーランと組んで このオーケストラを結成。もう1人のフランシー・ボーランはベルギー人で、 このバンドの作・編曲をほとんどやっています。 最初、クラーク=ボーラン・アンド・カンパニー(8人編成)で結成しましたが、 ブルー・ノートにオクテット(10人編成)で吹き込み、 1961年に13人編成になってからこの名前に変更しました。ダイナミックで厚みの あるサウンド、ソロに重きをおいた演奏で、テナー・サックスのジョニー・グリフィン、 トランペットのダスコ・ゴイコヴィッチ、バリトン・サックスのサシブ・シハブが 参加しています。 このバンドが解散したのを惜しんでサド=メル・オーケストラが 結成されたのは有名な話です。
この曲は甘みがかったムードのオープン(ミュートをつけていない通常の状態)と ミュートのトランペットの二重奏、それにこたえるかのようなサックスのパートの メロディーと、それを後ろから支えるトロンボーンのバッキングが、 いろんな素材を混ぜて一つになったミルクシェイクのように、それぞれのサウンドの うまみを引き出しているようです。

「チョコ・オア・バニラ」

高橋達也と東京ユニオン
”モントゥルー・ザ・ベスト’78"より
montreux.jpgこれは東京ユニオンが1978年第12回モントゥルー・ジャズ・ フェスティバルに初めて出演したときのライブ録音です。 タイトルが”チョコにしますかバニラにしますか”と聞いて います。あなたはどちら派ですか?昔は両方のミックスと なったら、ごちそうもんだったんですがね〜。いまはゴマ やら紫イモやら巨峰やら色んな味があって、うらやましいです。 では曲はそんな甘ったるい曲かと思うと、なんともスピード 感と緊迫感のあるハードな曲になっております。
自分たちの世代の東京ユニオンというと、”西部警察とひょうきん族” に尽きます。コマーシャリズムではとても親しみやすいけれども、 いざ本業のジャズとなると、スタンダードを多くレパートリーとする シャープス&フラッツに比べ、三木敏悟やハービー・ハンコックなど 斬新なアレンジャーを使ったアルバムは、学生には少し敷居の高いもの がありました。
このアルバムは歌手の中本マリがフューチャーされていることもあり、 スタンダードやスタンリー・タレンタインの名曲中の名曲「シュガー」 が取り上げられていて、とても聞きやすいものになっています。
このライナーノーツによると、当時は原信夫とシャープス&フラッツ、 宮間利之とニューハードなどのバンドがそれぞれ海外へ進出したとあり、 ビッグ・バンドが群雄割拠した戦国時代があったのだなあと懐かしく 感じてしまいます。

お盆休みはどこかへいきましたか?
熱中症にかからないように水分を
十分にとって暑さを乗り切りましょう。


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2007年08月01日

歌の彼方に水平線が見えた夏

暑中お見舞い申し上げます。
毎日暑くてどこか涼しい所へ
行きたいですねえ。
普段行けない、生活から完全に
切り離された別天地へ。
まぁなかなかそうもいきませんけど。
今回のテーマは「避暑」です。

「海への魅惑」

ペギー・リー
”貝がら”より
kaigara.jpg古いアメリカ映画とかを見ていると、1ヶ月もの 間、外国の避暑地へ旅行へ出る話がよくあります。 金持ちだと、家族全部で別荘に滞在したり。普通 そこでドラマがあるんですけど、何か刺激を求める というより、ゆっくりくつろいで、その仕事から 開放された生活自体を楽しんでいるように見えます。
この歌もそんな日々の中で、波打ち際を散策しながら 珍しい貝がらを拾っているような光景が浮かびます。 なによりハープとハープシコード(ピアノの原型) という取り合わせの少し古びた趣きが楽しく、選曲が トラッドやフォークソングというのがしんみりしていて グッドです。それでもなぜかジャズのバラードを 唄っているように聞こえるペギー・リーの歌声は、 暑さに疲れた心にしみいることでしょう。

「ストレンジャー・
イン・パラダイス」

ジゼル・マッケンジー
”ジゼル”より
gisele.jpg澄み渡った青空、どこまでも続く水平線。 その中の南洋の島にいて、まわりは誰も 知らない人々ばかり。歌声がその蒼(あお)の 中へ溶け込んでゆく。
この曲は孤独感というか、寂しさを聞くたびに 覚えるですが、元々ミュージカルの「キスメット」 の曲で、歌劇「イーゴリ公」の中のバレエ曲「ホロヴィッツ の乙女たちの踊り」のメロディーを元にかかれたものです。 ジゼルの折り目正しい学校の先生のような唄い方は、 この歌に透明感を与え、楽園をさまよう傷心を感じさせる のです。
ジゼルは1950年代から歌手として活躍し、いくつかの TVショーを自分で受け持ち、ミュージカルにも多数 出演しています。このアルバムは1950年代のヒット曲を 集めたものです。

「チャンスズ・アー」

ベン・シドラン&クレメンタイン
”スプレッド・ユア・ウィング・アンド・ナウ!!"
chancesare.jpgこれはどちらかというと暑さしのぎにバーに 飲みに行って、興がのったのでピアノ弾き語りで おまけに女性歌手とデュエットしたというノリ です。
クレメンタインは極端なウィスパー・ヴォイス (ささやき声)で、それが特長なんですが、あまり 声量がないのか、一本調子な感じがあります。なぜか デビュー当時の”風吹ジュン”を思い出しました。
スイセンの曲はサンバのリズムで、清涼感のすがすがしい 出来になっています。しかしジャズ色は薄く、ジャジーな ソフト・ロック風という雰囲気ですか。男女のデュエット といえばジョアン=アストラッド・ジルベルトにせまる ものがあります。
このアルバムは1988年作で収録曲数は6曲で、 総時間が約23分と、かなり短いです。ジャケットの イラストがユニークで、ライブ感があります。裏ジャケット にはほぼイラストと同じクレメンタインの写真があって、 美人のようですが、でももう少しいい写真がなかったの でしょうか。表ジャケットの左上にニュー・タレントとある のでデビュー用のミニアルバムなのかもしれません。
それにしてもベン・シドラン唄いすぎ。ほとんど自作曲なので 上機嫌で唄っています。

暑さしのぎも様々です。
自分なりの涼を探しましょう。
台風の渦を乗り越えて!


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2007年07月27日

帰ってくれたら大騒ぎ!〜邦題つけたいホーダイ〜

外国映画の邦題って、何でこんな題が 付いているのだろうって思うものはありませんか?
原題を見たら全然ちがっていることも。
中には明らかにおかしいものもあるようです。
今回はジャズの曲名が映画名になっている
ものをとりあげましょう。

恋人よ帰れ!わが胸に
koibitoyokaere2.jpg
オープニングからBGMにジャズの有名なスタンダードが流れます。 題名が「恋人よ帰れ!わが胸に」=ラバー・カンバック・トゥ・ミー なんですから、当然でしょう。でも、”あれっ!ちょっとちがうぞ!!” ユー・ド・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥが流れてる? それじゃあ『帰ってくれたらうれしいわ』じゃないか。なんだかなぁ。
それならということで原題を見てみると、「フォーチュン・クッキー」 となっていて、”富くじ”ってどういう意味だろう、どこに出てくるん だろうとそっちのほうが気になってしまいます。
登場人物を見てみると、ジャック・レモン扮するTVカメラマンのハリー、 有名な黒人フット・ボール選手のジャクソン、ハリーの姉の夫で 弁護士のウィリー、ジャクソン側の弁護団の3人、バンドリーダーと 駆け落ちした売れない歌手のハリーの元女房、ハリーを見張る 探偵2人など。
ストーリー
TVカメラマンのハリーがフット・ボールの中継中に 選手のジャクソンと衝突し、転倒して気を失うところから始まります。
義兄のウィリーはチームやスタジアムから多額の賠償金を取れる チャンスだと思い、軽傷を一生マヒが取れない重傷と偽って告訴 します。相手が超人気フット・ボーラーということもあって、マスコミは 大々的に取り上げます。ハリーの逃げた元女房は鳴かず飛ばずの 歌手生活に嫌気がさし、大きなショーを開こうと賠償金目当てに ハリーの心配したフリをして戻ってきます。加害者側の弁護士たちは、 ハリーの重傷を疑い、2人の探偵を24時間張り込ませて、ウソを あばこうとします。その騒動の一部始終を描いた風刺劇でなんですが、 とにかく登場人物が腹黒い人物ばかり、まともなのは、被害者と 加害者の2人のみといった、人々の駆け引きの面白さが画面いっぱいに あふれています。相手側の弁護団と腹のさぐりあいをし、なんとか 賠償金を吊り上げようとするウィリー、元女房に戻ってもらいたくて、 渋々寝たきりを演じるハリー、何の疑いも持たず寝たきりのハリーの 世話を親身にやく人のいいフットボール選手のジャクソン、義兄にお金を 取られまいと戻ってきたが、あげくは手を組む元女房、ビタ一文払う気もなく いろいろ画策するジャクソンの弁護士たち、職務に忠実な太った男と 平凡な監視にやる気をなくした、神経質なやせた男の探偵2人、 さまざまな登場人物の思惑が同時に進行するシュチュエーション・コメディの 傑作で、シーンごとに16もの題名が画面にテロップされ、舞台劇とというより 戯曲そのままを映像化したような雰囲気が特徴です。
それにしても内容を見ても”恋人よ帰れ”というのはあまり重要でも ないようです。
富くじはどこに?と思われた人、これもほんの少ししか出てきません。 悪巧みを皮肉る出かたなのですが、まあ、日本で言えば、
♪だあ〜れもいないと思っていても、どこかでどこかでエンゼルが〜♪
”お天道様はお見通しでぃ”
まぁ悪いことは隠せないということでしょうか。
三谷幸喜のコメディが好きな人にはオススメです。
キャスト
ジャック・レモンとウォルター・マッソーは コメディにおける永遠の名コンビだと思います。この映画は白黒映画ですが、 2人はこれが初共演。そのあと「おかしな二人」「ラブリー・オールド・メン」 「カリブは最高」などがあります。始終強気な太った男と神経質な内気やせた男の パターンは往年の”アボットとコステロ”より続く王道といえるのではないでしょうか。 そういえば、探偵役の2人もこの型に入るでしょう。
スラップスティックコメディもいいですが、たまにはこんな人間喜劇も
面白いのではないでしょうか。

ちなみにユー・ド・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥは コール・ポーターの曲です。
最近知ったのですが、これも題名が名誤訳?だそうで、 歌詞からすると”あなたのところに帰りたい”と 懐かしむ男が歌った曲のようです。
ヘレン・メリルの曲がヒットしたおかげで、女性歌手が よく唄うレパートリーとなったのでした。


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2007年07月13日

ハリー・ポッターは知っているが、コール・ポーターは知らない

今年はハリーポッターの新作が公開されます。 おそらく今、世界中で一番有名な魔法使いでしょう。
では数多くの曲を作詞作曲してヒットさせ、 スタンダードに
変えたミュージカルの魔法使いとは 誰でしょう?
とはいっても、自分自身、最近曲と名前が一致したような
程度なんですが。えらそうなことは言えません。
さあ、コール・ポーター・ショータイムの開幕です。

「ユー・ド・ビー・ソー・ナイス・カム・ホーム・トゥ」

ソニー・スティット
”パーソナル・アピアランス”よりヴァーヴ
personal.jpg1957年の作品。元はコール・ポーターが1942年に作曲した もので、いくつかの映画にも使われました。 日本ではヘレン・メリルの唄ったバージョンが有名ですね。
このアルバムはソニースティットがワン・ホーン(リズム・ セクションに対して吹奏楽器が1本のみのこと)で吹きまくった もの。スタンダードの曲とスティットの自作曲が半々です。 ピアノには「モーニン」の作者のボビー・ティモンズが参加して います。
緊迫感のあるミステリアスなイントロ。何が起こるのだろうと ハラハラします。それに続くドスのきいたテナー・サックスの メロディー。邦題の「帰ってくれたらうれしいわ」を信じて もどったら、怖い事になりそうです。なんとも火曜サスペンスな 曲です。(もちろん録音されたころには、火サスは始まっても いませんが。)そういう意味で異色なアレンジです。

「恋とは何でしょう」

パット・カービー
”ワット・イズ・ディス・シング・コールド・ラブ(恋とは何でしょう)”よりデッカ
pat.jpg1929年のレビュー「起きて夢見て」の中の曲で、 コール・ポーターの出世作ともいえる曲です。
このアルバムは1956年の作品で、LOVEという言葉の入った恋の歌を集めたものに なっています。ジャケットは恋の授業というところでしょうか。
パット・カービーはタレント・スカウト・コンテストで 優勝経験者。例えば「アメリカンアイドル」のファイナリストの戦いを 見ていると、もうどちらが優勢なのかわからないぐらい白熱 したバトルを繰り広げていて、アメリカのコンテストはレベルが 高いですね。昔も今と変わらず歌手を夢見た実力者たちが競い合った のでしょう。その中で勝ち残ったのですから歌唱力はお墨付きなのは 間違いありません。彼女はここぞとシャウトするのでもなく、テクニックを 見せびらかせるのもなく、歌のムードを大事に歌っている感じを受けます。 そのためどのスタンダードを唄っても破綻というものがない。安心して 聞ける歌声の豊かさを持っています。
しかし、それでも売れるのは難しい世界。数枚のSP盤とこのLPを出したのみで、 消息がわからなくなったそうです。でもたった一枚しか出せなかったのではなくて、 一枚出したおかげで、こうして何十年後にみんなの耳に声が届いたのですから、 感慨深いものがあります。(一種の魔法のようですね。)

「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」

ハリー・アレン
”テナーズ・エニワン?”よりBMG
tenors.jpg1939年にコールポーターがミュージカル「ジュビリー」のために書いた曲。 ”あなたとの一瞬のの恋の熱狂も、そう、『よくあること』”いう、 醒めた心を唄った歌。フランク・シナトラなどが主演映画で唄ったことも あります。
スタンダードのカバーも様々。自分の音楽性を推し進めて曲を極端に 破壊したり、動物の鳴き声のようなフリーキーな音を連発して他の共演者を 圧倒したり。まあ、料理法もたくさんあります。しかし、その曲の本来の 良さを崩さずに、まるでアドリブまで一篇の歌のように流れて淀みなく、 さらに個性をだすのは並大抵ではありませんが、そこにこそ醍醐味が あると思います。ハリー・アレンはいつもはボサノバのカバーが多いのですが、 スタンダードを吹かせても、音だけ聞くと昔のジャズ・ジャイアンツが演奏 しているかのような堂々とした雰囲気があります。まさに王道をゆくといった 感じ。若いジャズ・マンが新しさのみ追求しているのではないことがわかります。 過去に敬意を払いつつ、曲を確実に自分のものにしています。 かつて新伝承派と呼ばれたプレイヤーのように、過去の再現に留まらないところが 彼らしい生き方といえるのでしょうか。
chikuonki.jpg

もう、台風の季節がやってきます。
やっと雨が降るようになったかと思うと、雷まで!
どしゃぶりの雨で外に出れなくなったら、家で雨音と昔のジャズのメロディーとのハーモニーもいいんじゃないでしょうか。


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2007年06月28日

六月の天気予報は当たらなくなっている

雨が降らない、たまに降ってもすぐにやんでしまう。
昔から日本の6月は、梅雨でジメジメした
イメージがあります。例年異常気象で
6月は空梅雨でも、7月いっぱい雨が
降り続くなど、予想できないような天候が
増えているようです。
ではアメリカはどうでしょうか。梅雨が
ないのなら、夏前の過ごしやすい気候なのでは?


「ムーライト・セレナーデ」

阿川泰子
”ジャズ・バラード”よりビクターエンタテインメント
agawa.jpg この曲はグレン・ミラーが自分の楽団を持つ前に 作曲の練習として作った曲で、1939年の作。映画 「グレン・ミラー物語」を見ると、この曲を他の 楽団に提供したとき、自分が思ったように演奏されず、 それがグレン・ミラー・オーケストラの結成につながる 一つになったようです。歌詞は後からつけられたもので、 ミッチェル・パリッシュによるもの。

「あなたの門の前に立ち、六月の夜にあなたの手がバラの花束に触れるまで、ムーンライト・セレナーデを口ずさみながら待っています。だからやさしく迎えに来てください。」

歌詞の一部をを要約するとこうです。グレン・ミラーが過ごした時代のアーリー・アメリカン調の家が見えてくるようです。さぞかし月影の美しい、おだやかな夜だったのではないでしょうか。
日本では小野リサのカバーが有名ですが、ボサノバの人なので、ここでは阿川泰子のCDを紹介します。歌い方にクセがあるのをジャズ・ヴォーカルだという人には物足らないかも知れないですが、まっすぐでムーディな聞きやすい歌声だと思います。

「ジューン・ナイト」

ウィントン・ケリー
”ケリー・グレイト”よりヴィー・ジェイ
junenight.jpgハーマン・ミュートを付けたトランペットでリー・モーガンが ソロを吹く、なんだかかユーモラスな曲です。このアルバムを ウィントン・ケリーが録音した1959年は、マイルス・デイヴィスの バンドに参加しています。トランペットがリーモーガンながら、 マイルスを彷彿とさせる演奏です。ただウィントン・ケリー作では ないので、もっと古い曲なのかもしれません。 全5曲のうち3曲でミュートをつけて演奏していますが、リー・モーガン だけに関していえばミュートをはずしてオープンで吹いた他の2曲の 方が生きがいい。ミュートで演奏をコントロールしながら吹いた鬱憤を はらすような勢いです。残念ながらウェイン・ショーターのアドリブは まだスタイルが確立していないのか、あまりよくないです。ジャズ・ ジャイアンツといえども、一日ではならないということですね。 とはいえ、演奏に遜色があるわけではなく、この一枚は歴史に残る ウィントン・ケリーの”定番アルバム”となっています。

「六月のメンフィス」

ジュリー・ロンドン
”カレンダー・ガール”よりリバティ
menfis.jpgこのアルバムは1月から12月の歌を集めたアルバムになっています。 ただ他と違ってユニークなのは最後に”13番目の月”という曲が 入っているところです。 ジュリー・ロンドンは女優としてスタートしましたが、あまりぱっと せず、歌を唄って成功した例です。ほどよい色気を含んだヴォーカルは、 スロー・バラードで実力を発揮しています。 ジャケットに関していえば、今出ているCDのジャケットは”夜の雰囲気” を感じさせるものが多いようです。このアルバムは”明るい昼の雰囲気” があります。”カレンダー・ガール”というタイトルのためか水着の ピンナップ・ガールのような格好をしていますが、女優出身の面目躍如 といったところです。 紹介の曲はラブ・ソングではなく、六月のメンフィス地方のことを 唄っています。 ”六月のメンフィス、日陰のベランダ、日曜の青空の下。 いとこのアマンダはダイオウパイを焼いている。 私は時計のそばでチックタックいう音を聞いている。 何事も平和ですばらしい。 おばさんは体を揺らしながら通りを渡り、 きょうちくとうの花は空気の中に香りの香水を振りまく。”

なんともアメリカの田舎ののどかな風景を喚起させる
歌ではないでしょうか。


miller.jpg

なんかあっという間に6月も終わり

です。紫陽花の花のみが、

季節の移り変わりを

物語っているようですね。



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2007年06月14日

カリブの海賊にも聞かせたい

20世紀に生まれた楽器はスティール・パン(ドラム)と
シンセサイザーだと聞きました。
カリブ海にあるトリニダードトバコでは、いたるところで
スティール・パンを演奏している音が響き、
カーニバルでは100人編成のオーケストラも
組まれ、観光客でにぎわいます。
ジョニー・デップも撮影中に聞いたかと思ったら、
ロケ地は全然別の場所!映画では多いですね。
今回は「ジャズ・カリビアン」です。

「マティルダ」

デイブ・パイク
”リンボ・カーニバル”よりプレステッジ
llimbo.jpg1961年からデイブ・パイクはフルートのハービー・マンのグループに参加していて、 その同じ時期にリーダー盤として発表した作品。 このアルバムは古くからのカリプソの曲と、カリプソにインスパイアされて ジャズメンが作曲した曲の2パターンから構成されています。「マティルダ」 「ジャマイカ・フェアウェル」などが前者で、「マイ・リトル・スエード・ シューズ」「セント・トーマス」などが後者にあたります。 デイブ・パイクはカリプソでよく使われるスティール・パンの音をマリンバに 見立て、得意のヴィブラホーンから持ち替えで演奏しました。ヴィブラホーンの 時の重厚な音作りとは違い、軽やかで踊り出したくなるような楽しさに満ちた 演奏なのでした。 デイブパイクは1938年ミシガン州デトロイト(デトロイト出身のジャズ・メンは多 い。)生まれで、ジャマイカやカリブ海の島々とは直接の関係はありません。 しかし、彼が影響を受けたチャーリー・パーカーやディジーガレスピーがカリプソ に傾倒していたことから、そこに行き着くのは当然のといえるでしょう。 ラテンやボサノバでアルバムを1枚作るプレイヤーは多くいますが、カリプソのみ にこだわったアルバムはほとんどないと思います。貴重な一枚です。

「アンダー・マイ・スキン」

アール・ブルックス
”スティール・ラブ・ワールド・ワイド”よりプレステッジ
steellove.jpg「あなたは私の肌の下に棲みついた
私の心の奥深くに
そして私の体に溶け込んだ」

コール・ポーターの作曲でフランク・シナトラも愛唱曲にしていた歌です。ここでは元がスタンダードとは思えないくらいにポップで新しい響きに仕上がっています。スティール・パンは打楽器に入りますが、高音部は涼やかな金属的な音色なのに、低音部はむしろくぐもった温かみのある音色といった相反した表情を見せます。
スティール・パンのバンドは初めはカリプソやハワイアンの曲など民族的な要素の強い曲が多かったのですが、ここ数年のうちに何回かブームが興り、古い歌、新しい歌にかかわらずカバー物が増えてきているようです。
スティールラブの主催者ヨー・ワタナベはマガジンハウスのライターを経てNYに移住。DJ,プロデューサー、レコーディング・エンジニアなど幅広い活動をしています。彼が9.11同時多発テロの時、停電したマンハッタンを対岸のブルックリンから見て感じたこと、同じ鉄から出来た弾丸や爆弾とスティール・パン。一方は破壊を繰り返し悲劇を生む。ならば自分はもう一方のスティール・パンで愛を伝えていこうと。多くのスティール・パン奏者に呼びかけて出来たアルバムです。(現在3枚のシリーズとダブ・ミックスのベスト盤1枚が出ています。)暑い夏でも涼しい気分になれる、気持ちの落ち着くアルバムです。

「メドレー〜インプレッション〜ソー・ホワット〜」

モンティ・アレキサンダー・フューチャーリング・オセロ・モリノー
”アイボリー&スティール”よりコンコード
ivory.jpgジャマイカ出身のジャズ・プレイヤーの登場です。
モンティー・アレキサンダーは1944年ジャマイカ島のキングストン生まれ。 彼の自作曲のうち特にスティール・パンの入ったものは、「ジャズ・カリプソ」といえるような陽気で楽しいリズミカルなものばかりです。トリニダードトバコやジャマイカは、テレビの映像でしか見たことがないのですが、陽光がサンサンと降り注ぐ中で音楽好きなハッピーな人々が暮らすパラダイスのような、そんな光景が音符の中から見えてくるようです。
オセロ・モリノーは1939年トリニダード生まれ。 彼の繰り出す手水メロディはピアノの早弾きにも負けていません。 その上、音色や表現力の豊かさではスティール・パンの方が勝っているかも。 モリノーのソロやアドリブを一聴すれば、彼のファンになる人もいるのでは。
オススメの曲はジョン・コルトレーンの曲とマイルス・デイヴィスの曲の メドレーですが、ほとんどソー・ホワットが占めます。 この演奏を聞けばモンティー・アレキサンダーの本質がやはり ジャズであるとわかるはずです。
mypan.jpg

6月も半ばになりました。やっと雨も降るようになったようで、
日本はこれからじめじめした季節に突入です。
昔の日本人は雨に風情を感じる心がありました。
そんな気持ちがあれば少しでも楽しくなるでしょう。


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2007年06月03日

甘いにもほどがある〜スウィート・ジャズⅡ〜

ジャズ・メンは意外と甘くリリカルなメロディが
好きなようです。スウィートという言葉も。
で、今回は「甘口ジャズⅡ」です。
なぜⅡかって?実は前回の曲は最初一緒に
組んでたのですが、勝手に一人(1曲?)歩き
してしまったからです。


「スウィート・ラブ・
オブ・マイン」

ジャッキー・マクリーン
”デモンズ・ダンス”よりブルーノート
demons.jpgこの曲はずいぶん前にTVでマウント・フジ・ ジャズ・フェスティバルを見ていたら、日野皓正が 演奏していて、いい曲だと思ったのでいろいろ探してみたら、 彼の曲ではなく、ウッディー・ショウの曲だとわかりました。
それからこのアルバムに辿り着くまでには少しかかったのですが、 日本ではその時発売されていないブルーノートの1枚だったので、 確か福岡のタワー・レコードの輸入盤でみつけたのでした。
しかし、さすがにこの諸星大二郎の「オンゴロの仮面」のような ジャケットにはやや引きましたが、ジャケットと中身は大違い。 買い得の一枚でした。
ウッディー・ショウの吹く、少しテンポの速い美しさとカッコよさを兼ね備えたメロディーは、 ”トランペット吹き”なら一度はトライしてみたい曲ですね。
(まあ、腕がついてくればの話しですが。)

「スイート・ハニー・ビー」

デューク・ピアソン
”スイート・ハニー・ビーより”ブルーノート
bee.jpgこの作曲者は「辛口」の方でも取り上げた デューク・ピアソンです。前々回の曲とは正反対の 甘さがもたれるくらい甘い、でも初めて聞いても なぜかどこかで聞いたように懐かしい、親しみのある メロディーです。ジャケットの女性の写真もかなり 印象的で、ジャケットも曲の良さを盛り立てているようです。
演奏者を見ると、トランペットにフレディー・ハバード、アルト・サックス& フルートにジェームス・スポールディング、テナー・サックスにジョー・ ヘンダーソンの3管をフロントにすえた6人編成で、まさにブルーノートの醍醐味 といえるもの。ピアソンの作曲の腕が冴えます。
ブルーノートのジャケットの写真の特徴は、プレイヤー自身の モノクロ写真にブルーやレッドのフィルターをかけたような ものや、女性を主役にしたものが多いようです。ただこの アルバムの女性の写真は”夕日をうけたような”もしくは ”ハツミツ色”ともいえる総天然色写真的な色合いになって いて、とても美しい。さすがです。ブールノートの中でこの”色”はこれ だけでしょう。
ちなみに後ろに小さく写っているのがピアソン氏です。

「スイート&ラブリー」

ソニー・スティット
”ザ・チャンプ”よりミューズ・レコード
lovely.jpgデューク・ジョーダンのピアノのイントロが始まると、 古き良きスウィング時代の甘き香りが感じられますが、 ソニースティット(アルト&テナー・サックス)のソロ が始まるやいなや、その音の津波に感傷的な思いは追いやられて しまいたした。
しかし、騒々しいかというとそうではなく、口数の 多い男がマシンガン・トークでまくしたてているようです。
(なぜかエディー・マーフィーの顔が浮かびました。でも本人は モーガン・フリーマンに似ています。)それでも情感がそこなわれる ことなく、スタンダードでスロー・バラードの有名曲を、こういう 調理の仕方があるのかと感心させられます。
このアルバムはジョー・ニューマン、デューク・ジョーダンと 名手揃いなので、スティットも全開で吹きまくっています。
他にジョー・ニューマン作の「ミジェッツ」も入っていますが、 少しでもジョー・ニューマンを知っている方、「また紋切り型か」 と思うなかれ。構成やニュアンスのかなり違った楽しい演奏になって いますゾ!

もう梅雨に入ったそうで、
蒸し暑い気候になりましたが、
まだかたまった雨は降っていない様。
今年は水不足は解消されるのでしょうか。


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2007年05月21日

昭和ノオト

13.jpg

個人的昭和ノオト

その映画館は天神1丁目の少し中に入った道路に面した入り口から、 地下に降りていった所にあった。派手な看板などなく、よく見ないと 通り過ぎてしまいそうな正面。出窓のようなガラスケースに、上映中の ポスターと上映時間のスケジュールの紙が貼ってあるといった、 およそ映画館の外見をしていなかった。

その頃はまだミニシアターという呼び名も、シネコンという施設も影も形も ない時代。天井の高い一度に多くの客を収容できる大型の映画館が主流で、 そのシアターは普通の半分の大きさしかなかったように思う。
当時の僕はというと、大学を卒業後、福岡の会社に就職して吉塚に1人暮らしを していた。仕事は電話営業だったので、残業も多くたいてい帰りも遅かったが、 土曜はなぜか残業のない日が多かった。仕事が早く終わると、天神で夕食を 食べるのが楽しみで、その日も食事をとる前にうろうろしいるところだった。
お客はまばらしかいない。もっともウィークエンドの夜に、他にたくさん映画 があるにもかかわらず、”ジャズの記録映画”をみようなんて思う”ヘソ曲がり” はそういないに違いない。だが、僕は学生時代サークルでジャズのビッグ・バンドに 入っていて、ジャズの洗礼をとっくに受けていたので、その”ヘソ曲がり”の1人 であった。とはいうものの、古いジャズにあまり興味のなかった僕は、そう期待しな いで入ったのである。

明かりの落ちた館内で、映写機の回る音と、浮かび上がる光の画面を見ていると、 不思議にタイム・スリップしてそのコンサートを目の前でじかに見ているような感覚 になる。ルイ・アームストロングは映画「ハロー・ドーリー」で歌ってトランペット を吹いているのを見ただけだったが、前からのファンであったかのように心に響いた 。アニタ・オデイの「スイート・ジョージア・ブラウン」は普通のテンポより少し遅 めに、元の曲をずいぶんくずした歌い方でセツセツと歌う。声を張り上げるだけが 熱唱ではないことに気づく。その他にも初めて見聞きするプレイヤー達。もう歴史の 生き証人になったかのようである。おだやかな熱っぽい時間が流れていく。実際にコ ンサートを見れた人達がうらやまかった。そしてラストはマヘリア・ジャクソンの 歌唱へ。ゴスペルはもともと黒人達が神に捧げた歌だが、彼女の歌には体の底の方か ら震えが走った。天上界への道標がそこにはある。魂がすいこまれるようだ。 ただのヒマツブシのつもりが、映画一本で”至福の時”を迎えることが出来ようとは。 ジーンときた。ますますジャズの深みに落ちていく。

電灯の消えた天神の街並を帰途につく。今はどうか知らないが、その頃の天神ときた ら、夜8時を過ぎるといっせいに店じまいしていた。その時間を越えると食事をするの にも困るくらいだ。やっと一軒開いているレストランに入って食事をとった。残念な がら何を食べたか覚えていない。
あと3年も経てば、昭和が終わってしまうなんて思いもしない夜の出来事だった。

というわけで、スイセン曲は”真夏の夜のジャズ”より”
アニタ・オデイ 「スイート・ジョージア・ブラウン」です。
manatsu.jpg


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2007年05月15日

辛いものほど美味しく感じる

辛ければ辛いほど食べたくなるモノがあります。
聴けば聴くほどヤミツキになる曲も。
今回は「辛口ジャズ」です。


「チリ・ペッパーズ」

デューク・ピアソン
”ブルー・ン・グルーヴィー”より 
chiri.jpg見るからに極辛そうな題名です。ブルーノートなので、 イントロからカッコイイ。同じジャズ・ロックでも事始とされるリー・モーガンのサ イド・ワインダーよりスリリングででメロディアス。(サイド・ワインダーはいきず まったモーガンが苦肉の策で放った作品とされます。それが大ブームとなるのだから 、世の中わからないものです。)
1967年の作品ですが、デューク・ピアソンが注目されるようになったは、 1984年からのDJ達による”ジャズで踊る”ムーブメントに よるものが大です。
彼は60年代ブルーノートのA&Rマンとして新人発掘とプロデュースで 活躍しますが、その間レコーディングはブルーノートだけでなく 他のレーベルでも行い幅広く活躍しています。
ただ、当時ビッグバンドを作ってヴィレッジヴァンガードにレギュラー 出演していたときも、別の曜日でサド=メル・オーケストラが 出演しているなど(メンバーの多くは共有していた)、運が悪いのか 大きく取り上げられることはありません。
プレイヤーとしてよりもコンポーザーやアレンジャーとしての才能の方が長けており、 全精力をブルーノートを捧げたのか、ブルーノートを作ったアルフレッド・ライオン が引退し、フランシス・ウルフが亡くなると、ブルーノートを去り、第一線をも引い たのでした。

「TABOSCO(タバスコ)」

SOULIVE
”ブールーノート・ジャムズ・ア・
ニュー・グルーブ”より
 
tabasco.jpgまさに激辛。ジャム・バンドはまるでジャズに必要な感情移入や、ヨコノリを拒否し たような曲づくりです。(ジャズの4ビートは2拍目と4拍目にアクセントがあるので 、頭打ちのロックのタテノリと違いヨコノリとなる。)今までの形式を破壊したいよ うにも感じます。
ウォームな音色のオルガンをあくまでクールに弾いて、オルガンとギターのかけあい のようなメロディ。アドリブの回し合いというのではなく、各楽器のソロが絶え間な く続くという感じです。
ジャム・バンドは武器として生のピアノより含みのある響き のオルガンやエレクトリック・ピアノを選びました。よりグルーヴィーにダンサブル にを貫くためには、アコースティックなピアノ・トリオでは限界があるのでしょう。
ゆがんだ音やひずんだ声を入れたり、初期のヒップ・ホップのようなスクラッチ音を 入れたりして、さらに聞いたことのない新しい音楽へと進んでいっているようです。
ソウライブはアラン・エヴァンス(ドラム)とニール・エヴァンス(オルガン)の 兄弟と、エリック・クラズノーによるユニットです。そこに今回はベテランの ジョン・スコフィールドが自由自在にかっとんだソロを展開しています。
このアルバムは様々なジャム・バンドを一枚に取り上げ、ジャズの現在を紹介してい るドキュメントと言えるでしょう。

「ジンジャー・ブレッド・
ボーイ」

ジミー・ヒース
”オン・ザ・トレイル”より 
ginger.jpg最後はピリ辛でしめましょう。ジミー・ヒースは同時代のジョン・コルトレーンのよ うな派手さはありませんが、渋く聴き応えのあるテナー・サックスを吹きます。 プロでの最初はアルト・サックスを吹いていましたが、多くのアルト・サックス吹き の例にもれず、チャーリー・パーカーに似すぎているということで、断念した組です 。しかし、彼は味わい深い演奏力と、作曲の才能があったため、この「ジンジャーブ レッド・ボーイ」は多くのプレイヤーが取り上げるスタンダードとなったのでした。
ちなみにジンジャーブレッドとは地中海西部の戦争から戻った十字軍が11世紀末の西 ヨーロッパ全土に広めたもので、ジンジャー(しょうが)、ミックススパイス、ブラ ック・トゥリークル、ゴールデン・シロップを使った甘味のすくないビスケットとい うことのようです。中でも人形型に切り抜いたものをジンジャーブレッド・マンまた はジンジャー・ブレッドボーイと呼びます。砂糖で蝶ネクタイやボタンをあしらった 祭りのお土産や贈り物として有名です。(といってもイギリスのことなので、食べた ことがありませんが。)

先日大学の時の先輩と電話で話していたら、
在籍していた吹奏楽部(=ジャズ・ビッグ・バンド)
が部員が卒業して1人もいなくなったため、休部状態に
なっていると聞きました。コツコツ練習するのは今風
ではないのでしょうか?
クリスタル・ハーツ(バンド名)よ、もう一度よみがえれ!!


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2007年05月05日

ジャズは大人だけの物じゃない

数は少ないですが、アルバムに1曲のみ
子供のヴォーカルの入ったものがあります。
子供の歌手というのではなく、リーダーの
子供だったり、参加者の子供だったりのよう
ですが。今回はチルドレン・ソングです。


「ビート・ゴーズ・オン」

バディ・リッチ・ビッグ・バンド
”ビッグ・スウィング・フェイス”より 
beatgoes.jpg1967年発表の作品。ビートルズの1965年の曲「ノルウェイの森」のカバーが入っていて、このバンドは時代を先取りする選曲がうまいと 思います。
レコードで出たときは、A,B面合わせて全部で9曲でした。 しかし、CDの発売時には18曲に増えており、ライブ録音なのでカット されていた曲がたくさんあったことがわかります。
紹介曲はリーダーのバディ・リッチの娘キャシィが歌っています。 当時12歳半でした。これが彼女の歌手としてのデビューとなります。 バディ・リッチのアルバムは数多く持っていますが、記憶ではアルバムに 収録された曲はこれのみです。のちに彼女はプロデューサーとなり、 バディ・リッチ亡き後メモリアル・コンサートを何度も開催し、その中で 歌ったりしたそうです。

「クワイエット・ドーン」

アーチー・シェップ
”アッティカ・ブルース”より 
quietdawn.jpg1972年発表の作品。最初この曲を他のオムニバス盤で聞いたときは、 アーチー・シェップの名前と結び付きませんでした。 アーチー・シェップもフリー・ジャズという印象が 強いので、聞かずに毛嫌いしていたところがあります。 ところが、このアルバムの1つ前の1971年の作品から音楽の傾向が 変わったということで、ファンク調のイメージになっています。
ヴォーカルを最大限にいかした、ロマンチックなムードさえ感じる 楽曲たちが、黒人の公民権運動を背景に時代を映し出している ようです。ちなみにアッティカとはニューヨークにある刑務所で、 71年にそこで黒人囚人の暴動が起こったそうです。
紹介の曲はトランペッターであり作曲家のキャル・マッセイの曲で、 当時7歳だった彼の娘のワヒーダが歌っています。少し音の調子の はずれるところもありますが、堂々と歌っている様は小さいながらも 大物の片鱗を感じさせます。このアルバムはこの珍品中の珍品ともいえる 歌で幕を閉じます。

帰省ラッシュも始まって、
ゴールデン・ウィークも
もうすぐ終わりです。
いい休みになりましたか?


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2007年05月03日

リズムにのらなきゃ始まらない

5月3日は憲法記念日ですね。
ジャズではさすがに憲法の曲は
ないので、今回は音楽の法律=リズムが
テーマです。


5(5拍子)
「テイク・ファイブ」

カシミア・ステージ・バンド
”テキサス・サンダー・ソウル”より 
kashmere.jpgオリジナルはデイブ・ブルーベック作曲、 ポール・デズモンドのソロで知られています。もう何年も前、 タケダのアリナミンのCMにも使われていたので知ってる方も いると思います。たいていのカバーは元の曲に オマージュを捧げるように演奏されるのですが、この曲ほど 大胆にアレンジされることの多い曲はないでしょう。 時にはグルーヴィーに、時にはファンキーに! このアルバムでは後者の方で、ソウルフルなジャズ・ ロックになっています。
カシミア・ステージ・バンドはヒューストンのカシミア高校の生徒の ビッグ・バンドで、このアルバムはその1968年〜 1974年の未発表曲集&ライブ集になっています。ハイスクールバンドとは 思えないほど、迫力のあるファンキーなサウンドが爆発しています。 このCDは2枚組で、2枚目のライブ集のほうはエンハンスドCDになっていて、 パソコンで再生すると、レコーディング・エンジニア達のメイキングに なっているようです。(最初にカシミア・ステージ・バンドのスナップ 写真が何枚か映し出されています。)ジャケットになっている小冊子の中には 当時活動時代の写真が掲載されています。ファッションも懐かしさを感じますが、 総勢31名のほぼ全てがアフロ・ヘア(女の子も7名参加していて、そのうち4名のみが普通の髪型)なのも壮観な眺めです。

3(3拍子=ワルツ)
「ワルツ・アゲイン」

デビッド・マレイ・4テット
”ワルツ・アゲイン”より  
waltz.jpg これまでデビッド・マレイはフリー・ジャズだからと 手が伸びませんでした。しかし、このアルバムは フリー・ジャズが苦手な人たちにもオススメです。
それぞれの楽器がまったく別の曲を同時に 演奏しているイメージを受けます。 不協和音なストリングス・アンサンブルが グッド・ハーモニーと金切り音の間を 揺らぎながら行ったり来たりしています。その中から 浮かび上がるごとくサックスの演奏が以外にも ストレート・アヘッドな4ビートジャズになっているのに 気づくと、急に曲全体が絶妙なバランスを保って まるで集団即興を繰り広げているかのように感じられてきます。 (むろん、ストリングスの方は譜面があると思いますが) ウィズ・ストリングス物はオーケストラは伴奏という概念に とらわれがちですが、このアルバムでは音楽を作り上げる 重要なマトリックス(母体)といえるでしょう。
紹介曲はワルツ(3拍子)なので少し変わったメロディーに なっていますが、各楽器のパートが全然別の性格を持っていて 様々な表情を見せているのに、総合的に美しい響きを持った 輪舞曲(ロンド)になっています。

憲法改正が話題にのぼりますが、
”戦争の放棄”だけは変えてほしく
ないですね。


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2007年04月29日

すべての旅路の幸運を祈って

ゴールデンウィークに海外に行って羽を伸ばす
人もいるでしょう。国内旅行でも日本の美しさを
感じられる季節になりました。今回はすべての
旅路の無事を祈って、”旅”がテーマです。


「ハワイへ行きたい」

ザ・スクエア
”脚線美の誘惑”より 
cakusenbi.jpg スクエアは電気楽器”リリコン”を演奏に導入した人気バンドです。途中T-スクエアと名前を 変えて現在に至ります。伊東たけしのソロを中心とした曲 づくりは、多くの名曲を生みました。”リリコン”という 楽器名を定着させたのもこのバンドからでしょう。
日本のフュージョンはTV番組のテーマやCMソング など、メディアとタイアップしたものが ほとんどだったので、ちょっと聞けば これは何に使われたのかすぐわかるものばかりでした。 それはヒットにはするには重要な条件でしたが、かえって イメージが固定してしまったきらいがあります。 とことん大衆消費されてしまったので、20年も経つとやはり 古く感じられるのでした。
それに外国のフュージョンのように他のミュージシャンの 曲をカバーするということがなく(日本のほかのジャンル ロックやニュー・ミュージックではよくあるが)、そのため ハービー・ハンコックやウェザーリポートのような スタンダードと呼べる曲を生み出せなかったように思います。
その中でスクエアは生き残り、F1のテーマソングなど子供から大人まで 幅広く支持される曲を創造し、独特なサウンドとパワフルな演奏で いきの長いバンドなっています。
紹介曲はマイナー調の憂いをおびた曲で、底抜けに明るい 一般的なフュージョンの特長とは少し違うのですが、それゆえ 心にひっかかってしまう曲です。ハワイに対する切なる思い が伝わるような曲想です。

「センチメンタル・
ジャーニー」

べヴァリー・ケニー
”ライク・イエスタデイ”より 
sentimental.jpg 1945年にレス・ブラウン楽団でドリス・デイが 歌った大ヒット曲。数多く歌手やプレイヤーが レパートリーにしています。”感傷旅行”という 題名のとおり、”傷心で我が家に帰る”内容の曲ですが、 ジャズというよりポップスとして知られている曲です。
人によっては、少々物悲しく歌われたりもします。 ヴィバリー・ケニーは”懐かしい我が家に帰るので、 心がウキウキしている”風な感じの、楽しそうに 歌っています。冒頭のハミングがこの曲を彩りをそえ、 彼女の個性が出ているようです。アルバム全体から歌うのが 楽しくてたまらない彼女の気持ちが感じられるようです。
このアルバムは過去の偉大な女性ヴォーカリストの持ち歌を 集めたもので、そのためかジャケットの衣装やバックの劇場の 聴衆のイラストも少し古めのイメージを狙っているよう です。

「フライト・トゥ・
デンマーク」

デューク・ジョーダン
denmark.jpg北欧の厳しい寒さが感じられるジャケットですが、 デューク・ジョーダンは今では『シネ・ジャズ』として 知られる”危険な関係のブルース”や”殺られる”の 作曲者です。
他のジャズピアニストがひたすらクールに 演奏するのに比べて、ジョーダンの音は一言で言えば ”暖かい音”。マイナー調の曲を弾いていても、それは 変わりません。まるでしっとりと歌うヴォーカリストの ように繊細にスウィングするピアノと、それに輪をかけた ぐらいウォームなマッズ・ヴィンディングのベースがよく 相性があっていて、ピアノ・ソロの時は強力にバッキングし、 ベース・ソロの時は少し引き気味のエド・シグペンの ドラミングが三者の調和を保っているようです。
熱気あふれるアドリブ合戦も楽しいですが、たまには こんな落ち着いた演奏もどうでしょうか。

なぜか今年から4月29日は「昭和の日」だそうです。
「みどりの日」は5月4日になりました。
こんなに変わると戸惑いますね。


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2007年04月22日

春に想うこと

今年の少し気候が変ですね。4月になって
暖かくなったかと思えば真冬のように寒く
なって雪やヒョウが降ったり。
桜の季節も終わりやっと春めいてきました。
今回は「春に想う」です。


「四月の思い出」

クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ五重奏団
”モア・スタディ・ブラウン”より 
iremenberapril2.jpg おそらくジャズを聴き始め出して最初に 同じ曲でも演奏者やアレンジで全然違うと 思った曲です。踊るようなイントロ、これは サンバだろうか。ラテンっぽい曲なんだと信じて いました。でも、他のプレイヤーが演奏した同曲を 聞いたとき、むしろものすごくスローバラード だったりして驚いたのを覚えています。 クリフォード・ブラウンとマックス・ローチの 双頭バンドは、どの曲もその決定盤と言えるような アレンジ、アドリブ、躍動感を持っています。それが、 長く聴き継がれる理由なのでしょう。
ジャズにはテイク違いの曲(同じ曲を何回も録音し 直した場合、テイク1、テイク2となる)を同じアルバム にのせたり、何年もたってから、未発表集としてテイク 違いの曲ばかりを集めた発掘アルバムを出すことがあり ます。特にリリースの少ないプレイヤーや活動期間の 短かったプレイヤーによくあります。このアルバムは 後者で、貴重なクリフォード・ブラウンのモニュメント となっています。

「エイプリル・イン・パリ」

カウント・ベイシー・オーケストラ
”エイプリル・イン・パリ”より 
aprilinparis.jpg これから何が始まるのだろうというわくわくするような イントロ。そしてパリの四月のメロディーが奏でられる。 ウォームなトロンボーンのソロに続き、おどけたトラン ペットのアドリブが他の曲のフレイズを引用して彩りを 添えます。曲はさらに盛り上がり、ついにエンディング。 と思ったら”ワン・モア・タイム”のかけ声と共に、 まるで針が飛んだかのように同じエンティングのフレーズが 繰り返されます。(それだけ正確無比な演奏ということ なのです。)曲は最高潮となりエンドを迎えたかと思うと、 再び”ワン・モア・ワンス”のよびかけで3回目のエンディング が始まりそれでラスト。こういう仕掛けは他のビッグ・バンド にはなく、ボスのベイシーのユーモラスな人柄も垣間見えて 後々十八番になるぐらいに大ヒットしています。ジャケットの 写真もパリの春の雰囲気がよく出ていると思います。

「スプリング・ウィル・ビー・ア・リトル・レイト・ジス・イヤー (今年の春は少し遅れる)」

ジョニー・ソマーズ
”ソマーズ・シーズンズ”より 
sommers.jpg 天候不順の今年にピッタリの題名ですが、元は1944年 フランク・レッサーが映画「クリスマス休暇」のために 作詞・作曲した曲です。明るいほのぼのとした曲ですが、 歌の意味を知りたくて、英語詞を探して驚きました。
”1月、2月は悲劇的に空っぽで灰色ではなく、私には泣いて いるように感じる。””昔の4月にあなたが去ってから、私は 死んだも同然だ。それからは冷たい冬が続く。”とやけに 寂しくなる言葉が綴られています。そして”もし春がゆっくり 始まるなら、私の心に音楽は甦るだろう””時間は全てを癒し、 私には恐れは必要ない”(そして今そうでないのは)”ただ 今年の春が少し遅れているからだ”と結ばれています。(拙い 訳ですいません。)
ジョニー・ソマーズは1941年生まれ。10歳でテレビ・ショーに デビュー。1960年に彼女をモデルにした「バイ・バイ・バーディ」 というミュージカルで歌った「ワン・ボーイ」がヒットしました。 少し鼻にかかったかわいいヴォイスは歌い方に特長があり、ヴィブ ラートに入る前に少しハスキーにかすれて、ヴィブラートというより シェイク気味に小刻みに振るえます。この一見明るい曲のサビの 部分をまるで歌詞の違う曲のようにいろんな表情を変えた歌いまわしで 思いっきり何度も繰り返して歌います。このアルバムは季節を テーマにしたもので、春夏秋冬の曲が3曲ずつ入っています。 たいていカレンダーどおり1月から12月までの12曲(例外でジュリー・ ロンドンの”13番目の月”というのがあるが)というのが多く、 このアルバムは珍しい部類に入るでしょう。

ゴールデン・ウィークまであと少し。
みなさん忙しいでしょうが、
楽しみはすぐそこです。


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2007年04月09日

サロンで室内楽を聞くように

サロンでお茶を飲みながら室内楽を聞く
ように、エレガントなジャズはいかがですか?
うぐいす色の春風とおだやかな日差しを
感じながら。
今回は「室内楽のようなジャズ」です。


「言い出しかねて」

バド・シャンク・アンド・ボブ・クーパー
”ザ・フルート・アンド・ジ・オーボエ”より 
flute.jpgフルートとオーボエのソロ。と聞いてクラシックだと思う人も いるでしょう。でもバド・シャンクもボブ・クーパーもれっきと したジャズ・プレイヤーであり、このアルバムのためにだけ 楽器を持ち替えたのではなく、それぞれ他でもこの楽器で演奏して います。あくまでジャズ・フィーリングを持ちながら、この2つの楽器の 競演により、上質な室内楽のような響きになっています。ねらいはそこにあった のかもしれません。 推薦した曲は、まずボブ・クーパーがオーボエでクラシックのごとくに、 情感たっぷりなメロディーをストレートに奏でます。それに続くバド・ シャンクのフルートが急に倍の速さで軽快にスイングしたアドリブ繰り 広げます。そして曲が再び元のテンポに戻り、ボブクーパーとバド・シャンクの かけあうようにして幕を閉じます。くつろいで洗練された曲調です。 バド・シャンクは他にアルトやテナー、バリトンなど各種のサックスを吹き分け、 ボブ・クーパーはテナー・サックスやイングリッシュ・ホルン、クラリネット を演奏します。2人とも多彩なマルチ・リード・プレイヤーです。

「やさしき伴侶を」

ザ・グレイト・ジャズ・トリオ
”ザ・クラブ・ニューヨーカー”より 
newyorker.jpgサムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミーという原題が、 「すてきな伴侶を」という邦題になるとは。ジャズでもときどき取り上げられる エブリバディ・ラブス・サムバディが「誰かが誰かを愛してる」といったように 直訳的な邦題が多い中、誰がつけたのかセンスがいいと思います。 ここでは、トリオ演奏とバイオリンのルイス・エリーが加わったカルテットの演奏の 2パターンを収録しています。注目されるのはトリオ演奏がナイト・クラブで繰り広 げされるプレイなの対し、バイオリンが加わったパターンの曲はエレガントな ”昼のお茶会で流れるような調べ”になっていることです。この両方を聴き比べると はっきり違いが分かれ、このアルバムの面白い特長になっています。 紹介した曲は、”昼のお茶会”の方で、クラシック愛好家でも聞きやすい曲調に なっています。

「過ぎ去りし哀愁〜気まぐれな貴方」

クラウス・オガーマン・オーケストラ
”夢の窓辺に”より 
gate2.jpgクラウス・オガーマンが、元はバレーのために書いたものをベースとした 組曲風の1976年の作品。 冒頭の{過ぎ去りし哀愁」からキーボードとストリングスが幻かうつつの世界に 誘ます。夜のとばりをさまよいながら、港から大海原に航海に出て行き、 やがて見つけた新しい大地で困難や罵声(アルトサックスによるアドリブ) を乗り越えがら旅をつづけていくうちに夜がしらじらと明けてくるいった感じの 曲です。 おすすめは4曲めの「気まぐれな貴方」という曲で、ストリングスとブラスの 渾然一体となったオーケストレーションが、このアルバムのクライマックスを 作ります。発表された時代的に、フュージョンよりのサウンドになっていますが、 クラシックの醍醐味も盛り込まれ、今聞いても古びないものになっています。 クラウス・オガーマンは他にも多くのジャズ・ミュージシャンと共演(ビル・ エバンス、スタンリータレンタイン、このアルバムに参加したマイケルブレッカーもそう) してますが、スタンリー・タレンタインなどはどちらかというとバックオケといった スタンスであり、このアルバムはそれらと違うオーケストラの方が主役となった作品 です。

曲の感じが暗い、重い、猛々しいだけがジャズというもの
でもありません。ジャズの曲も楽器の編成、演奏の仕方で
ずいぶん変わるものです。明るく、軽快で、柔らかいものを
紹介しました。


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2007年04月01日

日本人の好きなさくら

J-POPでは毎年のように「さくら」という
題名の曲がヒットしています。それは
日本人の心の原風景に響く言葉だから
でしょう。ジャズの方ではあまり多くあり
ませんが、”さくら”または”さくらんぼ”
に、ちなんだ曲を紹介します。


「チェリー」

ダラー・ブランド
ノー・ブランド・ジャズ・シリーズ1
レッツ・グルーブより
 
lets.jpgこのアルバムはアシッド・ジャズが流行出した頃にでたオムニバス盤です。 いきなりけたたましい始まり方の曲ですが、そのメロディーが 何度も繰り返されるうち心地よく思えてきます。ノリのよい よくスイングしたピアノに魅了されていきます。 ダラー・ブランドのピアノは歌を唄うというより、アフリカの 悠久の歴史のごとく、いろいろな文明を見守ってきたナイルの 蕩々とした流れのごとくメロディーが切れ間なくつながれて いきます。この曲はダラー・ブランドの十八番ともいえる曲 なので他のアルバムでもたびたび取り上げられていますが、 他のものは長く物語を語っているような演奏です。このアルバム ではあきらかにアドリブで唄っており、短く簡潔にまとめられて 他に比べ完成度が高いと思います。

「チェリー」

スタンリー・タレンタイン
ザ・ベスト・オブ・スタンリー・タレンタインより 
stanley.jpgおよそブルースの権化のようにテナー・サックスを吹きまくるスタンリー・タレンタインが、 この曲だけは脇に回った感じがあります。ヴィブラホーン のミルト・ジャクソンがフューチャーされているので、敬意 を払っているのでしょうか。しっとりと落ち着いたバラードで、 まるでバー・ラウンジの窓から満開の夜桜を見ながら ウィスキーかカクテルをかたむけているようなそんな 雰囲気の曲です。ヴィブラホーンの音のせいかなぜか 昼間というより夜のムードをを感じさせますね。

「チェリー・ポイント」

カウント・ベイシー
ライブ・アット・ラスヴェガスより 
lasvegas.jpgカウント・ベイシー率いる安定したリズム・ セクションに乗っかるようにハーマン・ミュート のトランペットのアドリブが始まります。その後に ブラス・セクションのアンサンブルが続きますが、 トランペットとトロンボーンのメロディと同じ フレーズをサックス・セクションが追っかけるように 何度も繰り返します。そこには大勢の人が騒いでいる ような面白さがあります。アメリカでは花見で宴会という 習慣はないでしょうが、ワイワイガヤガヤ満開の桜の 下でたくさんの人が見物をしている光景が浮かびます。 この曲はスタジオで録音される曲というより、ライブ で演目に入る曲のようで、他にも「ニュー・イヤー・ アット・バードランド」(1953年1月)にも収録されて います。

陽気も少しずつ良くなってきて、花見には、
多くの人がつめかけるのでしょうね。
あなたは昼間の桜と夜桜のどちらが好きですか?


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2007年03月25日

スピード・ジャズ(超鈍行・超特急・超音速)

ジャズの曲には乗り物を題材にしたものが
多くあります。今回はそのスピードに焦点を
あてて紹介しましょう。

「テイク・ジ・A・トレイン」ハーブ・ポメロイ・アンド・ドナ・バーン
ウォーキング・オン・エアより 
pomeroy.jpgおそらくAトレインの中でも一番テンポの遅い演奏にちがいありません。歩くより 遅いはず。この遅さはヨーロッパの片田舎ならある かもしれませんが、日本ならトロッコ列車か おサルの列車ぐらいでしょう。
おサルの列車といえば、「車掌の本分」を思い 出しました。SF作家のかんべむさしの短編で、 おサルの列車が好評なので、お客をたくさん 乗せるためにどんどん車両を増やして、最後尾に もう一匹のおサルの車掌を乗せたところ、先頭の おサルは目の前にもう一匹の後ろ姿が見える ようになってノイローゼになってしまったと いうものでした。アイデンティティーの崩壊 らしいです。
かつてビル・エバンスは「枯葉」を超高速で 弾いてリスナーの度肝を抜きました。ハーブ・ ポメロイは誰が演奏しても変わりようのない くらい演奏し尽くされた曲を逆の方法で意表を ついていますが、かえってゆっくり走っている 列車の情景が浮かぶような雰囲気を醸し出して いるところが面白いと思います。よく知られた 曲を選曲するというのは、そのプレイヤーの力量 とアイディアをためす意味での有名曲の持つ存在 証明のようなものなのでしょう。
このアルバムはヴォーカルのドナ・バーンとの 共作で、紹介曲は歌抜きのナンバーですが、 大部分はヴォーカル・ナンバーです。 彼女の歌唱には歌力があり、「ジャスト・ワン・ オブ・ゾーズ・シングス」が抜群にカッコよく 粋に出来上がっております。
ハーブポメロイのリーダー作は幻がつくほど 寡作の人で、ドナ・バーンは日本ではあまり 知られていませんが、聴くほどに味わい深くなり、 このアルバムだけは侮れません。
「リトル・トレイン」バディ・リッチ・オーケストラ
アメイジング・バディ・リッチより 
buddy.jpg次はもう少し速い列車について。といっても 最初は普通電車くらいです。しかし、バディ・ リッチのドラム・ソロとブラスアンサンブルの 掛け合い後、急激にテンポが速くなり、超特急 となります。例えて言えば、小倉駅まで鈍行で やってきて、そこから新幹線に乗り換えた旅と いった具合です。
バディ・リッチ・オーケストラの曲は長尺のものが 多く、しかも組曲風の構成になっているものがあり ます。そのため1曲の中でのチェンジング・ペースは お手の物で、特長とも言えます。神業のドラミングと 一糸乱れぬ迫力のアンサンブルのメロディライン、 次々に変わる曲の表情は、全て聴衆を楽しませる 魅力的な技といえます。
「マッハ2」サド=メル・オーケストラ&ローダ・スコット
サド・ジョーンズ・アンド・
メル・ルイス・オーケストラ・
ウィズ・ローダ・スコットより
 
mach.jpgこの曲はローダ・スコットがコンコルド広場に取材したもので、その名にたがわずスピード感あふれる 曲調です。しかもローダ・スコットのオルガン・ソロが オーケストラをバックに繰り広げられ、ブルース・ フィーリングのある緊迫感にあふれた作品になっています。
ローダス・スコットは女性オルガン奏者でニュー ジャージー生まれながら、パリで成功したため、ヨー ロッパで活躍をしています。昼は音楽学校で理論を勉強 しながら夜はクラブで演奏活動という時間が長く、 カウント・ベイシーの経営していたハーレムの「ベイシーズ」 でサド・ジョーンズと知り合いになります。もう1人のリーダー メル・ルイスがヨーロッパに行った時に共演の話がでましたが、 実際にはニューヨークでサド=メル・オーケストラを聞いて 感動し、自作曲を5曲サド・ジョーンズに送ってからでした。 サドはその曲をアレンジし、自分の曲2曲を加えレコーディング の運びとなったのでした。
サド=メルのサウンドはソプラノ・サックスやクラリネットを 使って独特のハーモニーを得ています。それにローダ・ スコットのブルージーなハモンド・オルガンが加わりいつもと 違った味を出しています。

もうすぐ行楽の季節になります。
列車や飛行機で遠出をされては
どうでしょう。


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2007年03月03日

スタンダードのルーツをたずねて---トラック1

スタンダード・ソングとは昔のミュージカルや
ヒット・ソング、映画などからのものがほとんどです。
あまり古いものだと原典が見れないものもありますが、
映画ではそれにまだ触れることが出来ます。
多くのものの中から、前回取り上げた「サムソンとデリラ」
をご紹介しましょう。







ROOTS1
sam&deli1.jpg
紀元前11世紀頃ヘプライ人のダンの民は神の怒り
をかいペリシデ人の圧倒的な武力の支配を受けていた。
サソムソンはヘブライ人のダンの民の英雄で、
神から授かった怪力の持ち主。ペリシデ人には
絶世の美人姉妹がいて、姉はセマダル、妹はデリラ。
サムソンはその姉に恋をし、結婚したいと考えた。
異教徒のため反対されるが、ペリシデ人の王にライオン
を素手で絞め殺して、毛皮を捧げ許しを得る。
サムソンに恋するデリラは、てっきり自分のことだと思うが、
姉のほうだと知り、嫉妬に駆られサムソンを陥れようとする。
傾国の美女と言う言葉があります。楊貴妃しかり、
クレオパトラしかり。でも映画の中でひときわ輝くのは
デリラの他いないでしょう。サムソンを憎みながらも
恋慕の情は捨てられず、サムソンを誘惑しますが、
再びサムソンが自分を置いて去ろうとすると、サムソンに
仕返しをします。その情の怖さが家族を殺し、愛する男から
希望を奪い、自らと自らの国を滅亡へと導くのでした。
サムソン役ののビクター・マチュアは、1916年生まれ。
自動車修理工などをやりながら、ロサンゼルス郊外の
パサディナプレイハウスで演技を勉強し、舞台役者から
映画界へ。代表作に「紀元前百万年」(トカゲに角をつけて
アップで撮った恐竜物)、ジョン・フォード監督の「荒野の決闘」
(ドク・ホリデイ役)他多くの史実物に出演。
デリラ(劇中ではデライラと発音している)役のへディ・ラマーは
「美人劇場」「ブーム・タウン」(この映画ではクラーク・
ゲーブルと共演している)などに主演しています。彼女の
妖しい美しさはこのデリラの役のためにあったと言える
でしょう。
驚くことにデリラの姉役のアンジェラ・ランズベリーとは
後年「ジェシカおばさんの事件簿」のジェシカおばさんなの
だった!(当時23か24歳)
この映画の見所はサムソンとデリラの心の移り変わりの様と
ロバのあご骨で1000人?のペリシデ軍を叩きのめすシーン
などです。特にラスト・シーンは今でもスペクタクル映画の
歴史に残る見事なものです。ぜひご覧ください。



今回は神に愛され力を授かった男と、嫉妬に狂い
神から見放された哀しき美女のラブ・ストーリー
でした。


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2007年02月17日

神話の時代

ジャズと映画産業は長い間共に歩んで来ました。
フィルムに音楽を提供したり、使われた曲を
ジャズ風にアレンジしたり。今はジャズ以外の
音楽が使われるほうが多いのですが、今回は
”名画”と結びついた曲を紹介します。

「デライラ」

クリフォード・ブラウン・アンド・マックスローチ
旧約聖書:サムソンとデリラクリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ
deliah.jpg 「十戒」など歴史物などスペクタクル映画を得意と したセシル・B・デミル1949年の作品で、1950年に アカデミー賞にも輝きました。神から授かった剛力 を持つサムソンと、異教徒の娘で自分の姉とサムソン の仲に横恋慕し、彼を陥れようとするデリラ(デラ イラ)の物語。その主題曲をクリフォード・ブラウン (トランペット)とマックス・ローチ(ドラム)の 双頭バンド(リーダー格のプレイヤーが2人いるバン ド)がジャズにしました。ミュートを使ったトラン ペットで女声的なメロディーと、入れ替わるように 入って来るテナー・サックスの男声的な演奏が、 まるでサムソンとデリラの会話のように聞こえます。 曲の構成が素晴らしく、映画の様式美を表わしている ようです。

「黒いオルフェ」

テテ・モントリュー
「フェリシダージ〜黒いオルフェ〜オルフェのサンバ」
ギリシャ神話テテ・プレイズ・ボサノヴァ
orfeo.jpg ギリシャ神話のオルフェウスとユウリデケの物語を 元に、舞台を現代のリオのカーニバルに変えて、 路面電車の運転手でカーニバル一番の歌い手でギター の名手のオルフェと田舎から姉を訪ねてやって来た ユーリディスの運命的な恋と悲劇的な結末を描いた 1959年のフランス映画。音楽はアントニオ・カルロ ス・ジョビン、ルイス・ボンファでボサノバのはしり となり、映画自体はカンヌ映画祭グランプリ、アカデ ミー賞外国語映画賞を受賞しました。 紹介するアルバムのテテ・モントリューは盲目の ピアニストで、バルセロナでは英雄的な存在でした。 そのテテが1973年に発表したボサノバ曲集。 それぞれの曲でカバーする人は多いですが、メドレー で3曲つなげているのが珍しく、得した感じです。 流麗なタッチのピアノにあふれるジャズ・フィーリング は心地よく、情景の浮かぶような演奏です。

「ジーザス・クライスト・
スーパースター」

バディ・リッチ楽団
新約聖書デファレント・ドラマーより
superstar.jpg 新約聖書のイエス・キリストを題材にしたロック・ オペラの映画化で1973年の作品。音楽は「オペラ座 の怪人」を手がけたアンドリュー・ロイド・ウェー バー。昔テレビの深夜放送で見たのですが、いきなり 黒人のユダがイエスをダンス・ステップを踏みながら 告発するシーンがあり、頭から離れない異色作。最後 はあまり覚えていません。(途中寝てしまったようで す) バディ・リッチはその主題歌をさらにジャズ・ロック 化しています。このアルバムは1971年リリースなので、 映画というよりミュージカルの方のカバーとなるので しょうか。バディ・リッチは女性コーラスを使う ことでミュージカル的な雰囲気を活かしています。 ハイ・ノート(超高音域)のトランペットのバッキン グが群集の喧騒のようで、クライマックスを盛り上げ ています。

映画の方も有名なものばかりなので、
見てみるとより楽しいでしょう。


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2007年02月12日

バレンタインに贈るもの

かつて昔の人が「君といれば毎日がバレンタイン・デーだ」と
唄いました。その曲はジャンルを越えたヒット曲となり、
今では一年中どこかで聞き続けられています。
今回のテーマは「バレンタイン・デー」についてです。

マイ・ファニー・
バレンタイン

チェット・ベイカー
valentine.jpg もうこの曲しかないでしょう。いろんな人が演奏して いますが、唄ものとしてはこの人に並ぶ者はありません。 12、3才の頃からトランペットを吹いており、生まれつい てのトランペッターのように自由自在に吹けたそうで、 こういう話があります。友人のミュージシャンが親に 「誕生日のプレゼントは車がいいかピアノがいいか」と 聞かれて音楽の勉強のためにピアノを選びました。 それを聞いたチェットは、「なんで車を選ばないんだ」 といったそうです。友人はチェットのように楽器を思い 通り演奏したかったと語っています。甘い歌声とは 裏腹に麻薬中毒になったり、借金のかたに上の歯を 全部折られて休業したり、波乱万丈な人生を送った 人です。

ギフト (リカード・ボサノバ)

ズート・シムズ・アンド・ヒズ・オーケストラ
"リカード・ボサノバ"より
recardo.jpg 曲には2つの名前を持つものがあり、”リカード・ボサノバ”の方で この曲は通っていますが、一番最初についていたのは”ギフト!”で 1962年にイーディー・ゴーメが唄ってヒットしました。1965年にハンク・ モブレーが”ディッピン’”というアルバムで演奏してから、リカード・ボサノバが一般的になりました。 ズート・シムズ盤の方はズートのテナー・サックス以外はフルート、クラリ ネット、ギター、ベース、ドラム、パーカッションで、そのためボサノバ色が 強く出ています。選曲もボサノバが多く入っており、くつろいで聞くには最適 でしょう。

チョコレート・チップ

マイルス・デイヴィス
”ドゥー・バップ”より
chocolate.jpg マイルス・ディヴィスのラスト・レコーディングであり、 ヒップ・ホップを取り入れた1992年発表のアルバムです。 マイルス名義のアルバですが、前作の「ユア・アンダー・ アレスト」とはかなり異なり、ラッパーのイージー・モー・ ビーとの共作の感があります。このアルバムではいつも のクインテット形態は取らず、イージー・モー・ビーのラップ と過去のジャズ曲のサンプリングとキーボードのデロン・ ジョンソンのみで、お得意のミュート・トランペットをブロー イングしています。ジャズとヒップホップのフュージョン (融合)によりジャズの未来形を示唆し、後のグールー (ギャングスター)やUS3にループして(つながって)いますが、 当時はウィントン・マルサリス率いる新伝承派によるメインス トリーム(主流)のジャズが息を吹き帰していたので、ブーム にはなりましたが本流とはなりえませんでした。今ではジャズ・ グルーヴとしてジャズの可能性を発展させています。

ジャズ、ボサノバ、ヒップ・ホップと色とりどりの”味”を仕入れ
ました。どうぞご賞味ください。


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2007年02月04日

ジャズ進化論

ジャズはいつも時代を映してきました。
ジャズは元々黒人音楽なので、差別に対抗して
表現することが政治と結びつくことも多く、
一つの人類史であるとも言えるでしょう。
硬軟とりそろえてジャズの曲でその道程を
紹介します。

「直立猿人」
チャールス・ミンガス

cokuritu.jpg

直立猿人が勇ましく歩いてくるような
そんなイメージの曲ですが、背景には
もっと深いものがあります。人類の
祖先はアフリカという説があり、人種
差別への批判をこめた曲です。黒人の
公民権運動が高まっている頃で、他にも
アーカンソー州リトル・ロックで公立
学校に初めて黒人の学生が入るのを
白人が取り囲んで阻止し、州知事が派遣
した州兵も暴行されるのををわざと見て
見ぬふりをした事件を題材とした「フォーバス知事の寓話」など、怒りを
ジャズで表現したものがあります。
リトル・コンボ(小編成のバンド)でありながら、ダイナミックな印象を感じる
サウンドを作り上げているので、一度聴いてみてください。

「ヒューマン・ネイチャー」
マイルス・デイヴィス
”ユア・アンダー・アレスト”より

human.jpg

元曲は言わずと知れたマイケル・ジャクソン
であり、マイルス84年の作品。
マイルスはお得意のミュー・トトランペットを
駆使しています。シンセサイザーをふんだんに
使ったサウンドはマイルスには珍しく透明感の
あるものに仕上がっています。当時はフュージョン
真っ盛りであり、ジャズ・ミュージシャンが
新し目のポップスをカバーすることはあまりなく、
(今は多くなっているが)そのことでも先鞭を
つけたといえるでしょう。他にはシンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」のカバー
も収録されてます。紹介曲は今では何人かのジャズ・ミュージシャンが取り上げており、
マイルスからニュー・スタンダードが始まったと言っても過言ではないでしょう。

「ESP」
デューク・ピアソン
”ワフー”より

wahoo.jpg

日本でアシッド・ジャズが流行りだした頃から
注目されるようになったミュージシャンですが、
ブルーノート・レーベルではコンポーザー、
アレンジャー、プロデューサーとブルーノートの
屋台骨を支えてきた一人で、ブルーノートの歴史
を作った一人とも言えるでしょう。彼自身の作った
曲もインパクトの強いものが多いです。
この曲はミディアム・テンポでユーモラスな雰囲気
の曲です。1曲目に入っている「アマンダ」という
女性の歩く姿からインスピレーションを得た曲なので、”超感覚”というより”直感”と
いうようなものですね。

猿人からミュータントにまで飛んでしまうのは、
少し漫画的ですが、言葉遊びだと思ってください。


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2007年01月25日

同じ月でも違って見える

世界中の誰もが同じ月を見ている。
でもみんな見え方は違うはず。
月の名の曲もプレイヤーが変われば
すべて違う形をしている。
でも、どちらかと言えば
”穏やかな夜の闇を照らす月”
なのです。

「ムーングロウ」
エロール・ガーナー

moonglow.jpg

このトラックはピアノ・ソロです。
”カクテル・ピアノ”(バー・ラウンジで
聞かれるピアノ)のようだという人もいますが、
よくスイングする超絶技巧の持ち主なので、
ほっておけばいつまでも歌っていられる
感じを受けます。聞くところによると、ピアノ・
トリオの形態を最初にやった人とのことです。
彼の紡ぎ出すきらびやかな音たちが、優しく
人々の暮らしを照らしている月の光のようです。


「ヴァーモントの月」
ジョニー・スミス


vermont2.jpg

ジョニー・スミスは外国ではギブソンから
ギターのモデルが出されるような人気の
あるギタリストらしいが、日本ではあまり
知名度がないらしい。再発されるアルバムも
この一枚のみ。でもこの一枚を聴けば分かる
とおり、独特の個性を持っています。
3本のサックスの早吹きをさえ凌駕する早引きの
テクニック、それはまるでさえずる鳥のようで
あり、ハーモニクスを使ったバラードは聴く者の
心に深く染み入ります。
ここでの月はなぜか懐かしい、故郷を思い起こす
人が見ているような少しセンチメンタルな月です。


「ポルカドット・アンド・ムーンビームス」
チェット・ベイカー
”ドウ・ジャズ・トランペット”より


polkadots2.jpg

これは有名なトランペッターのベストな曲を
集めたオムニバス集の中の一曲です。
長ったらしい曲名だなあと思いませんか?
でも日本語で”水玉模様と月光”と言えば
なんか洒落ているじゃないですか。
この曲を知らないことは損をしていると思える
そんないい曲です。上の他の2曲が短いリフ
(簡単なメロディー)の繰り返しのような曲なのに
対し、このスロー・バラードには起承転結のような
ものがあります。チェット・ベイカーは甘い歌声でも
有名ですが、ここでは叙情豊かにトランペットを
吹いています。彼の場合、歌うことと楽器を演奏
することとは同義語であるといえます。曲をあまり崩さず吹いているのでメロディーの
美しさがよくわかることでしょう。

風邪ですごく体調が悪いです。
いずれ曲を具体的に現せたらと思案中です。


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2007年01月16日

春一番が待ち遠しい

息も凍るような季節になりました。
春の便りもまだまだ先です。
だからせめて心の中に、
「暖かな風」を感じましょう。
ホットなジャズの演奏で!

「風とともに去りぬ」

ジューン・ハットン
”アフター・グロー”より afterglow.jpg

この題名を聞くと、映画の方の
”タラのテーマ”かと思うが、同名異曲。
でもハーブ・マジソン(作詞)と
アリー・リューベル(作曲)がマーガレット・
ミッチェルの同名小説をイメージして
作ったものなので、まあ姉妹のようなものです。
歌手のジューン・ハットンとバックの
男性コーラスの心地よいハーモニーを、
心を空っぽにして聴いてみてください。
ジーンと暖かくなってくるはずです。

「シー・ウインド」

MALTA
”サファイア”より seawind.jpg

こちらは「真夏の海風」といった曲調です。
一度聴けば口ずさめるような印象的なメロディー
が、爽やかな気分にしてくれます。
MALTAはコマーシャルや番組テーマなどで使われた
アップテンポな曲が有名ですが、この曲のように
ミディアム・テンポ(歩くような早さの曲)や
スロー・バラードにいい曲がたくさんあります。
今までに野外フェスとコンサート・ホールの
ライブに行ったことがあるので、思い入れは
一層です。黒井村の夏が懐かしい。

「そよかぜと私」

アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ
”ジャズ・コーナーで会いましょうvol.1”より soyokaze.jpg

ジャズ・メッセンジャーズと言うと昔は凄く
偏見を持っていて、おきまりの”モーニン”と
”ブルース・マーチ”だけと思っていました。
しかしこの数年いろんなジャズのコンピレー
ション盤でアート・ブレイキーの曲に接し、
かなりダイナミックで実験的なこともやっていたの
だなあと考えを改めたのです。それもそのはず、
その昔はマイルス・デイヴィス・コンボと並ぶ
ジャズ・スクール的な新人発掘トラの穴といった
存在でした。このアルバムは初来日して”モーニン”ブームを起こしたのと同じメンバー
です。いつもはゆっくりとしたエキゾチックなはずの「そよ風と私」が、当時はやったモード
奏法によりテンポ・アップされたモダンな響きになっているのが面白いです。他に熱に
うかされたような「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」も聴き物です。

いい曲をガンガン聴きましょう。”冷たいすきま風”が
入り込まないように!!


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2007年01月08日

空より高く鳥が羽ばたく

もうみなさん仕事は始まりましたか?
学生さんも新学期ですね。
いにしえより新しい出発を人は鳥のはばたきに
たとえています。初夢の鷹も縁起物に数えられ
ます。
今回は”鳥ジャズ”です。


「フラミンゴ」
タル・ファーロウ・カルテット
”タル・ファーロウ・カルテット”より


flamingo2.jpg

ブルーノート(レーベル名)の中でも人気のある
1500番台、4000番台はよく再発されます。
これは再発されることの少ない5000番台の1枚。
このアルバムはギター中心のカルテットですが、
ピアノではなく、もう1人ギターが加わっている
変則カルテットです。そのおかげかギターの
ソロの響きが際立っています。紹介している
曲はメロディー部分をハーモニクス奏法で弾いて
いて、少ない音数ので静謐さの中にある美しさを
描いています。フラミンゴの立ち姿に気高さを
感じたのでしょうか。

「フライド・バザード」
ルー・ドナルドソン

fried.jpg

これはソウル・ジャズのシリーズの1枚として
発売されてます。ユーモラスな曲想の「フライド・
バザード」の”バザード”とは、ハゲタカ類の
”ノスリ”という鳥です。ライブ盤なので、
演奏のグルーブ感(ジャズ独特のビート感や
うねりの感覚)が観客のノリを生み、会場全体を
包むのがわかります。もう一曲「ペック・タイム」
という曲が入っており、”ペック”とはつつく、
ペッカーとはキツツキです。
それに”ジャケット・デザイン”。まるで松本零士先生の漫画に出てくるような
鳥の絵に魅かれて買いました。
余談ですが、keep your pecker upとは、”元気を出せ”の俗語とのこと。

「バーズ・オブ・ア・フェザー」
フィル・ウッズ・カルテット

birds.jpg

アルト・サックスのフィル・ウッズがワン・ホーン
(この場合はサックス一本)で吹きまくっています。
それは音の洪水のようで、グロウル・トーン
(わざと歪ませた音)を連発しています。
ここまで使うとまるで演歌のコブシのようで、
フィル・ウッズ節炸裂といったところでしょう。
アルバム・タイトル以外、鳥に関連した曲はありま
せんが、写真のように見えるオウムの絵が印象的
です。

「リトル・ウィング」
”ラスト・セッション・
 スティング・アンド・ギル・エバンス”より

little.jpg

1987年のスティングとギル・エバンス・オーケストラ
の最初で最後のセッションです。
このアルバムが発売されるまでには一つのエピソード
があって、まずこのアルバムが最初に世に出たときは
ブートレグ盤(海賊盤)でした。おまけにこのライブで
共演してもいないマイルス・デイヴィスの写真入りで。
そのわけは、バンドの一員のマイルス・エバンス
(ギル・エバンスの息子)ととりちがえたとか。
(今考えるとかなり意図的ですが。)
しかし、レアな音源ということも幸いし、輸入盤を取り扱っている専門店に注文が
殺到したそうです。
それからしばらく幻の名盤となったのですが、正規盤が1992年に発売されました。
取り上げた曲は元々ジミ・ヘンドリックスの歌で、ギル・エバンスの重要な
レパートリーの1つです。
いつもはインストルメンタルなのが歌がプラスされて、この曲の味わい深さがより
濃く出ています。


紹介できる逸話があったので、いつもより多めに
しています。


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2007年01月03日

新年に花と咲く

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
今回はジャズを彩る花の名前の曲を
贈ります。

「デラシネイテッド・フラワー」
秋吉敏子&ルー・タバキン・ビッグ・バンド
"マーチ・オブ・タドポール"より

deracinated.jpg

トランペットよりウォームな音色の
フリューゲル・ホーンがソロをとる
バラード。華やかできらびやかな
オーケストラ・サウンドの中で、
哀愁を帯びた悲しさをテーマ(主旋律)
に感じるのは、”根無し草”という
タイトルのせいでしょうか。外国で長く
活動すると”根無し草”になるという
例えらしいです。


「ロータス・ブロッサム」
ケニー・ドーハム(トランペット)
”静かなるケニー”より


quiet.jpg

この曲を初めて聴いたのは、ソニー・
ロリンズ(テナー・サックス)でした。
そちらの方は別名で、「エイジアティック・
レエズ」と言います。
少しオリエンタルな感じのするメロディー
が耳に焼き付く、何回続けても聴けるいい
曲です。
ケニー・ドーハム作の曲には、ロータス・フラワー
という曲もあり、そっちはスローなバラードで、
「アフロ・キューバン」という名のアルバムに入っています。聞き比べるのも
面白いでしょう。

afro.jpg

コレ→



ブルー・レディー紅いバラ」
カウント・ベイシー楽団
"ベイシック・ベイシー"より


blueLady.jpg

1948年シド・テッパー詞、ロイ・C・ベネット
曲で、アンディ・ウィリアムスなども歌って
おります。
このアルバムは映画やポップス曲を多く
取り上げています。
演奏はスウィングの王道ともいえるもの
で、後半のホーン・セクション(トランペット、
トロンボーン、サックス)によるシェイク
(音の長延しでヴィブラートよりもっと音を
振るわせる奏法)の心地よさを感じてください。


みなさんの新しい年が花開きますように。


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2006年12月24日

ジャケット買いのススメ

CD(もしくはレコード)を買いに行き、お目当てのCDを
探していると、”おやっ”と手が止まるときがあります。
「キレイなジャケットだな、でも名前聞いたことないから
よしとくか。」
いったん棚にもどしたものの、やはり気になります。
他のCDを見ていても、もはや半分以上気持ちを持って
いかれて、最後は買ってしまっています。
まるで”魔法”にかかったように。
そんな「後ろ髪引かれる美麗ジャケット」を今回は紹介します。



ドロシー・コリンズ
「ピクニック」


dorothy2.jpg

アルバム・タイトル通りの絵柄ですが、総天然色の
昔のピンナップのような色合いがいいです。
ヴォーカルのドロシーはアメリカのショー・ビジネス界
では有名で、「月影のナポリ」などのヒット曲もある
そうですが、日本ではあまり知られていない歌手です。
バラードは朗々と歌い上げ、スウィンギングな曲は
感情豊かに時にコミカルに歌っています。
「ジス・クッド・ビー・ザ・スタート・オブ・サムシング」
(マイ・フェア・レディの曲)がオススメでしょう。


キャシー・ヘイズ
「イッツ・オール・ライト・ウィズ・ミー」


cathy.jpg

ズバリ”都会の夜”という感じのジャケットと
曲想です。テンポのいい曲はオーケストラが
バックなのですが、スローバラードはギターと
ヴィブラ・ホーン中心のスモール・コンボと
なり、”夜に物思いにふける”といった雰囲気
です。こんなにヴィブラ・ホーンとジャズ・
ヴォーカルが合うとは思いませんでした。
シンガーのキャシーは少しハスキーなヴォイスで、
はつらつと歌います。
伴奏もバーニー・ケッセル(ギター)他西海岸の一流ミュージシャンばかり。
有名な[イフ・アイ・ワー・ア・ベル]の途中で、ブレイクぎみに入るバース
(序奏部)が曲に面白みを加えています。でも彼女のアルバムはこれのみ。
ジャズは厳しいですね。


プリシラ・パリス
「プリシラ・ラブス・ビリー」


priscilla.jpg

プリシラ・パリスは、アルベス、シュレル、プリシラの
三姉妹からなるグループ「パリス・シスターズ」の
一番下で、1954年から1967年まで活動しています。
グループ解散後プリシラはソロ活動をしますが、
このアルバムは1974年に発表したもの。ビリー・
ホリデーの愛唱曲集。
もともとポップス畑なので、他のジャズ歌手と違い、
声を張り上げることもなく、淡々としっとり歌って
います。まあ一言で言えば”猫なで声”ですか。
中古レコード屋で2,800円(当時レコードの新譜が
2,800円〜3,000円)で購入したのですが、他の店で9,000円で売っていたので、
かなり稀少品だったと思います。
その歌声そのものの「テンダリー」が聞きどころでしょう。


他にも取り上げたいものはあるのですが、
フィメール・ヴォーカル3枚のみに絞りました。


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2006年12月18日

もろびとこぞりてクリスマス・ソング

ジャズ・メンは太陽・夏・サンバが大好き。
寒いのは嫌いなのか、冬をイメージする曲は
あまり取り上げませんね。
でも、クリスマスだけは別。お祭りですから。
今回のテーマは「クリスマス」です。


「ゴッド・レスト・ヤ・メリークリスマス、ジャズメン」
デクスター・ゴードン・カルテット他


god.jpg

これは1981年に様々なジャズ・ミュージシャンが集って
作ったクリスマス企画物です。アメリカと日本のクリスマス
の定番の曲が違うのか、渋い選曲になっています。
デクスター・ゴードン(映画「ラウンドミッドナイト」に主役で
出ていた)のいぶし銀のサックスがよく歌ってます。
他にはウィントンマルサリス(最近i podのコマーシャルに
シルエットで出ていた)のデビュー直後の若々しいプレイも
聴き物です。


「ホワイト・クリスマス」
ビング・クロスビー他


white.jpg

クリスマスキャロル(古くから歌われてきたもの)や
ヒット・ソングなどいろんなジャンルのクリスマス・
ソングを集めたヴォーカル盤。こちらの方が日本人には
なじみ深いでしょう。クリスマス=ビング・クロスビー、
と連想できるくらいヒットしたホワイト・クリスマスは、
一曲目とラストに入ってます。しかも最初はクロスビー
で、ラストはフランク・シナトラ!
聴き比べるのもおもしろいかもしれません。


「ア・チャイルド・イズ・ボーン」
ビリー・ミッチェル”リトル・ジューシー”より


born.jpg

このアルバムはクリスマス物ではありません。
B面の最後のナンバーであるチャイルド・イズ・ボーンに、
後に歌詞がついて、その内容がキリストの生誕を思わせる
ことから、クリスマスソングの仲間入りをしました。
(少し商業的なものも感じますが)
作曲者のサド・ジョーンズは有名なジョーンズ兄弟
(ハンク、サド、エルヴィン)の次男で、オーケストラの
バンドリーダーでもあります。これはビリー・ミッチェルの
スモール・コンボによるもので、この曲のもう一つの名前
「キッズ・アー・プリティー・ピープル」でクレジットされてます。
サドも参加しているので、ジャズの曲がクリスマス・ソングになった例として紹介しました。


みなさんはロックやポップスのクリスマス・ソングが
お気に入りですか?ジャズ・ヴォーカルも、古き良き
時代のアメリカがかいまみれていいですよ。


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2006年12月10日

楽園ジャズ

みなさん、寒さが身にしみる季節になりました。
こういう時、「冬のない国へ行きたい」と思ったりして。
実際に、年末年始「南洋の島」に行く人も
いるかもしれませんね。
テーマは”熱い国への憧れ”です。


ウェイン・ショーター
「ネイティブ・ダンサー」


native2.jpg
ウェイン・ショーター(テナーサックス、ソプラノ・
サックス)がブラジルのミルトン・ナシメント
(ヴォーカル・ギター)と競演した作品。冒頭の
曲のナシメントの歌により異国へと誘われ、
ブラジルの暑い空気に包まれるようです。
マイルス・デイヴィスが1969年「ビッチェズ・
ブリュー」を発表した後(ショーターもバンドの
一員として参加)、フュージョン・ジャズの嵐が
吹き荒れました。
ショーターはマイルス・バンド卒業後、マイルスが
アフリカやスペインのリズムに傾倒するのに対抗して、ブラジル音楽への融合
(フュージョン)を深めています。今で言えば、ワールドミュージックのくくりに
入るでしょうが、新しい物を作り出そうとしていた気風のようなものを感じます。


ジャコ・パストリアス
「ホリデー・フォー・パンズ」


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ジャズ・ベースをソロ楽器にまで高めた男であり、
優れたサウンド・クリエイターでもあるジャコ。
ジョー・サビヌルとウェイン・ショーター率いる
ウエザー・リポート退団後の1981年、ビッグ・
バンド作品「ワード・オブ・マウス」と別プロジェクト
で推し進めようとしたのがこのアルバム。
しかし同時期にリリース予定が、時代にあわない
として10年以上オクラ入り!日本では折からの
スティール・パン・ブームに乗り2001年再発しました。
カリブ独特の楽器スティール・パン(ドラム缶を加工した楽器)の涼しい音色が耳に
心地よく、ジャズ・ファンにもスティール・パン・ファンにもオススメの逸品です。


マンハッタン・ジャズ・クインテット
「ブルー・ボッサ」


bluebossa2.jpg
ボサノバのカバー曲を多く取り上げているアルバム。
メンバーはファースト・コールと呼ばれる、スタジオ・
セッションにまず最初にオファーがかかる一流
ミュージシャン達。さすがにこの人たちがボサノバ
をカバーすると粋ですねー!
中でも「サンバ・デ・オルフェ」がスピード感があって
ハジケてます。選曲では一曲「イングリッシュマン・
イン・ニューヨーク」が異彩を放ってますね。
リーダーでアレンジャーのデビット・マシューズは、
同バンドやオーケストラを率いて何度も来日して
います。
2004年には20周年を迎えており、息の長いバンドになっています。


今回は少しジャズ色が薄いかもしれませんね。
いつかジャズ・メンのラテンやボサノバも
取り上げたいと思います。


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2006年12月03日

あなたの聴く夢

みなさん夢をみていますか?
夜寝て見る夢、日々の夢。
ジャズの曲名にも「夢」はあります。
今回は「夢」にちなんだ選曲です。


クレオパトラの夢
 「チュニジアの夜」
  ウィル・ブールウェア


cleopatora.jpg

オリジナルはバド・パウエルで、原曲より少しゆっくり目の
テンポです。
ピアノのウィルは、かなりメロディーのリズムを崩した
弾き方なのですが、強力なドラムのサポートにより、
曲の難解さよりも爽快感を感じます。特にドラミングがカッコいい!
アルバム全体の曲へのアプローチの斬新さから、新人かと
思いましたが、6歳の頃から50年近くピアノを弾いている
ベテランとのこと。


ニカの夢
 「ブリース・フローム・ザ・シーズン」
  東京アンサンブル・ラボ


nica.jpg

コンセプトは「踊れるフルバンド」。発売は1988年です。
1986年頃から始まった、ディスコでジャズを踊るムーブ
メントの影響からか、良くも悪くも”メローなフュージョン”
です。でもこの一曲だけダイナミックな純粋ビッグ・バンド・
ジャズ!!ホレス・シルバーの原曲を超えていると思います。
紹介したアルバムは、長らく再発されてないので、この曲を
聴きたい人は、ビッグ・バンド・ジャズのコンピレーション盤
「バトル・ジャズ」でどうぞ。

battle3.jpg

コレ→




ナイト・ドリーマー
 「ナイト・ドリーマー」
  ウェイン・ショーター


night.jpg

前面にウェイン・ショーター(テナー・サックス)とリー・
モーガン(トランペット)という当時の最先端の
ミュージシャンを揃えた、メロディアスなバラード。
まだショーターがマイルス・デイヴィス・バンドに入る前
なので、わかりやすいほどストレートなジャズです。
この曲と同アルバムの「ブラック・ナイル」は、親しみ
やすいので、あなたのフェイバリットになるかもしれま
せん。



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2006年11月26日

道場開き

さあ道場開きです。みなさん来てください。

ここではこれからJAZZを聞こうとしている人、何を選んだら
いいか迷っている人に、「JAZZ好き」になるかもしれない情報を
ストレンジ・アイズ(変わった見方)で送ります。

まずは入門ということで、聞きやすいものから行きましょう。

カウント・ベイシー・オーケストラ
「ベイシー・ストレイト・アヘッド」


straghtahead.jpg

かなり前のスウィング・ガールズ&ボーイズの
マスト・アイテム。今はCDで手に入ります。
抑制のきいたベイシーのピアノ率いる鉄壁の
リズム陣と、ノリのいいブラスアンサンブルで、
ビッグバンドのお手本ともいえるアルバムです。
A面の「ベイシー・ストレイト・アヘッド」と
B面の「スイッチ・イン・タイム」がオススメ。


クリフォード・ブラウン
「クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス」


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数多くあるストリングス・オーケストラ伴奏ものの中で、
ベストといえるスタンダード・ジャズ・アルバム。
彼は若くして自動車事故で亡くなりましたが、
トランペットの天才で、今生きていたら
ジャズは変わったかも知れないとよく言われます。
オリジナルはモノラルですが、これはエコーをかけて
ステレオに聞こえるようにした珍品。
中でも「スターダスト」が絶品です。


ジェリー・マリガン・クインテット
「ストーリーヴィル」


storyville.jpg

バリトンサックスとトロンボーンが紡ぎ出す、
心地よいメロディーラインと低音のハーモニーが、
おだやかな午後の日差しのようです。
ジェリー・マリガンは名アレンジャー兼ビッグバンドの
リーダーでもあるので、曲作りが冴えています。
オープニングの曲をはじめとするくつろいだ楽しさが
ジャケットにもあふれていて、おもわずジャケ買いして
しまいますね。


ハービー・ハンコック
「スピーク・ライク・ア・チャイルド」


speak.jpg

フリューゲルホーン、トロンボーン、フルートの3管と
リズムセクション(ピアノ・ベース・ドラム)の編成で、
少し変則的なのですが、厚みのある流れるような
美しいサウンドが展開されます。
後で何度も再演される「ライオット」や「ソーサラー」も
入っており、まるで映画のサウンドトラックのようなので、
曲の世界にすんなり浸れるでしょう。


BBCスウィング・オーケストラ
「ジャズムード」


jazzmood.jpg

これのみカバー曲集ですが、グレン・ミラーや
ベニー・グッドマンの曲が入っています。
特に「イン・ザ・ムード」や「シング・シング・シング」は
最近のジャズ・ブームやミュージック・スクール・ブームの
功労者(曲?)といえるでしょう。
「イン・ザ・ムード」はTV版「嫌われ松子の一生」にも
使われていて、古き良き時代の音楽でありながら、
今でも色褪せません。


今回はモダン・ジャズの定盤ははずしています。
最初から難しいとイヤになりますからね。
定盤はまた今度紹介します。


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2006年11月09日

道場設立!

はじめまして。ジャズ好きのフルカワです。
おススメのアルバムを紹介していきますので、
よろしくおねがいします。


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